彼女は、柔らかな鋭い魔物に
背中を喰われている。
しかし、
実際は彼女が魔物の耳を
自分の喉の指に押し込んでいる。
魔物を押し込んだ指が嗤う。
からからからから、
喉の奥の水車小屋で
....
懐かしさを覚える町並みに深いため息をつく。
明日に向き合う為のはっきりとした記憶。
永い旅路を終えるとき、
思い出すのはきっとそんなものだろう。
青空がどこまでも澄んで見える ....
一年に一度
ピアノの屋根は開かれて
確かめられる
狂っている、ことを
どうやら
人の営みから生まれるノイズが
そのうすぐらい闇の中にあった
木や羊が暮らす小さな世界を
ゆるがせなが ....
テレビで荒れ狂う砂嵐を見つめる
知覚は生の証なはずだ
とか
まだ死んではいない…
故に生きている
とか
たとえ心が凍っても
まだお前の心臓は動いてる
とか
伝えた ....
柚子の白い綿をつみあげて
ふう、と吹いて飛ばした幻想
あずきをひとつひとつ積みあげて
空っ風に突き崩された夢
かぼちゃを練り込んだ生地のパイ投げをする日
誰もいない日常は
白く白く光ば ....
カツカツと甲高い音を立てて
小さな体を精一杯伸ばした君は
誇らしげに指をしめる金属を
見せびらかすけれど
そこに叩き付ける冷たい息を
吹かせているのは僕であって
じんわりと体温を奪って ....
【おへそ】
りんごちゃんと なづけられた おんなのこ
今日は りんごのようにいいにおい
きのうは もものように いいにおい
林檎のおへそは いいにおい
林檎の ほかのどこの部分よ ....
この広い宇宙のなかから地球を選び
多くの生命のなかから人間を選び
そのなかから選んだのです
お父さん お母さん
子供は 親を選べないなんて
私は選んだのです
愛の光 ....
荒波白波 眼底痛
堪え堪えて書いて書く
笑ってくれよ、地蔵虫
少しの集中で火を噴く目玉
だから書けるうちに刻み込む
生きているから痛いのさ?
そんな生半可な答えでは納得せぬ
....
私の影の
じめじめに
いつしか
キノコがはえていた
いけそうなのを
つまんでみると
なかなかオツな
味がした
だめそうなのも
なかなかあるが
だめなキノコは
うつくしかった
....
脳髄に出来た亀裂から饒舌な空虚が垂れ流される夜だ、信号はどこかに、信号はいつもどこかに…アンテナのないところで途切れる、雨を待つ空は紗幕のように奇妙な光を放ち…まる ....
駐車場、軽トラの下
多分猫が死んでる
見てみないと分からんけど
多分死んでる、分かってる
シュレディンガーの猫だっけ
世界は可能性に満ちている
台所、僕の足元
鼠が死んでる
窮 ....
(羊が32匹 ────)
おととい髪の毛を自分で切る。
乾燥麺がふやけていく間に何となく思い立って、バサバサいってしまった。右サイドを切りすぎて、少しハゲのように目立つ。駅前にはコスパのいい1 ....
ホームに立ち尽くして 聴いていたよRock 'n' roll
今夜わかり合えるのは このメロディだけさ
ひと気のないシートにもたれながら
去っては消えていく景色を いつまでも追いかけて ....
盗人に追い銭とかってさらに損したなんて云ってるけど
追い銭をしたのはあなたの方でしょう
自分がしたことをまるでなかったことのようにするなんて
盗人よりもふてぶてしいわよ あなた
....
驟雨になって過ぎていく時間の中で、
詩を書かせてくれないか、
誰かが囁いた。
誰かの声は確かに、
黒いペンで、
と言ったはずなのに、
私は赤いペンを背中から差し出す。
私は赤いものば ....
さむい朝
ベッドのうえで
あなたは眠っているのではなかった
あしたにも雪が降りそうな朝
似たようなことが
いくつもあった
雨の日や 風の日に
なまぬるく繋いだ体のなかで
あなた ....
生きていること
に
意味なんてないよ
(それをソノマンマ問うのを頭デッカチ観念論と言うんでさ)
生かされているナゾ
それだけがあるんだよ
人生はその謎解き掘り下げ時間
出来事の目眩す ....
中学一年のとき
後に野球部主将となる
円行寺くんに
下駄箱で告白されました
僕はノンケでしたので
その思いに応えられなかった
僕はその時
松田聖子に夢中で
彼女を想像しながら
毎日覚 ....
彼はとても静かに暮らしていた
職業は図書館の司書だった
毎日職場に行っては
本を分別し
新たに購入する本を検討する
静かに帰宅すれば
柔らかに妻が頬笑み
お疲れさまでした と言う
....
ひと足歩くと メェ―と啼く
ふた足歩くと
メェー メェー
やっと見つけた
あたしの足にぴったりの
ショートブーツ
シンプルでオシャレ
これからのシーズンにぴったり
気どり過ぎても ....
ぼくの最古の食べ物の記憶は
母の乳の味だ
いまだに憶えているんだ
兄弟姉妹の中で
ぼくだけが母乳で育った
何故かというと
当時の哺乳瓶の吸い口はゴム製で
ほんのと苦かったからだ
や ....
バスでピッてやったら
残額が表示されるけどさ
それって
財布の中身見られんのと
一緒だろ
もし俺の後ろに
連続強盗殺人犯が並んでいて
そんとき残額が5000万だったらどうすんだ
間違い ....
人が進化してきたのは
森羅万象に名前をつける事にあるだろう
分類し
混沌の中から或る物質を抽出し
何らかの意味付けをする
人は絶えず名前を付けて
繁栄を願っている
永遠に追い付か ....
あなたがすきです
まともでないあなたがすきです
はなしがかみあっていないけど
あなたがすきです
わたしをみないあなたがすきです
あなたのいうあなたが
わたしのことではないけれど
....
ぞんび
ぞんびがやって来る。
廊下の向こうから
のそーのそー
膝を抱えて
鍋の
煮凝りを
見て
いる
膝の二つの丸い丘
なでなで
凍える身体に
小声で話しかけて ....
昨夜の夕食は
なにを食べたったか
なぁ
あぁ そうだった
カレーライスだった か
いぃ ....
CDだとかテレビだとか
結局は何かを燃やしてる
何かを燃やすプロフェッショナル
の言葉だから
何も燃やしていない
何も燃やしたことのない奴の言葉は
お前らの耳には届かない
煙
知ってる ....
不自由という言葉の中にも自由という字がある
不自由な環境の中で思考だけが自由
有り余る自由を抱えたら それが重すぎて不自由になった
それを抱える為に生きるようになった
重すぎて途中で座 ....
エリナは九月の終わりに堕胎した
父親はケンジだ二人とも学生で他 ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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