熟柿の臭いにおぼれる眼底
海の深み遙かに沈んだ蓚酸の
記憶がこみあげ喉を焼く
都会の底をさまよう脳が
見上げた夜空の淵に
人魚の嬌声が泡立ち
怒りで放った銛は
領巾にから ....
断章として出会う
わたしたちは
繋ぎ合わされた
死に往く者の断片として
齟齬と違和で腫れ上がりながら
ひとすじの清流であろうとした
二人の詩人
....
ぽつりぽつりと歩いてゆけば
やがてはいつもの食堂にたどりつく
今夜はどうしても
揚げたてのカキフライ定食が誘う
おかみさんにタルタルソース多めに頼み
大相撲中継を観ながら
カキフライの揚が ....
ゆりかごに横たわる
緑児の口元に
朝霧のように蟠る
言の葉の胎児たち
邪気の無いむずかりは
苛立ちか歯痒さか
未生の語彙が萌え出ようと
口蓋をくすぐっているのか
まだ意味を ....
君の指先の温度を
以前触れて測ったのに忘れてしまった
まだ火のついた吸い殻 逆再生される夢
千円札は五百円玉二枚にはならないし
五百円玉二枚は千円札にはなれない
....
才能がありそうだな
という人から辞めるか
投稿しなくなって行く
今ではコンスタントに
クソごみを投稿する
奴ばかりだ
下手すりゃ一日に
制限一杯してくる奴もいる
(代表例 キンタマ王子 ....
日常風景の只中に、立つ
そこを掘るべし。
――{ルビ足下=あしもと}に隠れた、天への通路。
*
(君の投げたボールは
君に返ってくるだろう)
*
昔々、葉蔭の下 ....
川は下って
海ひろく
道を登って
山たかく
北上するのは
雲のおび
南下してゆく
風のまま
力動の間に
生きてる
実感
不動の時を
畏怖する
直観
消えてしまったよ
いくつも重なっていくうちに
それらは透明になって
ゆらいでいるのさ
何処かへ
風はすがた無くすすむ
僕の体温をひやしながら
斜めにばかり向かっていく
もうなん ....
押し寄せる悲しみに
何もできず
声をなくした青い鳥
飛び方さえも忘れてしまった
本当に失ったものは何?
声?
飛び方?
それとも
いつも側にあった
....
晴れた空が広がっているのは
誰かが空に感謝を投げたから
海がいつまでも青いのは
誰かが海に感謝を流したから
「ありがとう」は持続する響き
どこまで遠くへ行っても決して衰えない
....
武蔵野の林に分け入り
小鳥のさえずりを聴きながら
止まった時計を垣間見る
足と手のひらが石化する夕方の不安から逃れ
商店街の何時もの食堂
今夜は大盛の鯖味噌定食にたっぷりとした豚汁
俺はた ....
真夜中の吉野家には
わけのわからない親爺が一人
何かを呟いている
苦役の連続で
おれは特盛に玉子をふたつ
紅生姜を盛り
ただただ牛丼をかきこむばかり
夜中の視線に注意して
俺は ....
この時間
どこを歩いてみても
ラーメン屋はやっていない
乾燥したファミレスが灯りを灯しているだけで
目的のラーメンは何処にもない
彼らもきっと眠いのだろう
けれど
キツネ顔のチャルメ ....
財布を眺め
躊躇する
最近の鰻重は
札束を散らしたようで
食指がどうにも動かない
想像の中では美味いはずなのに
ぼくはただ口を閉ざす
それでも妻はネットを舐め回し
美味そうな店 ....
これは引退した松井から直接聞いた話しでもなく誰かしらのフィクションなのだが
本人が引退を決意した翌日の練習は鬱蒼とした曇り空で自分の打った打球が運わるくネットの角に当たり金魚飴のように跳ね返った ....
あまりにも透明なソーダ水は
一体何処へ行けばよいのだろう
透明なコップの中ではしゃぎながら
君たちは好きな歌を歌っていた
少し口に含めたなら
君はイタリアのオペラを歌ってくれた
アマポ ....
風よ、聴け。息吹きの営みと市井の歌を
風も恋をするのだろうか
風になりたいと思っている、食欲の束縛から解放されて
カメレオンみたいに
自分の色を変えることは出来ない
モノマネをする人のような
本人そっくりになる事も出来ない
けれど自分にはなりたいものがたくさんある
空になりたい海になりたい
雨になりた ....
この腕にしがみついた、
性という薄皮の、
一枚一枚をゆっくりと剥いでいく。
そこには薄く赤みを帯びた痛みが咲いている。
煙で見えなくなった、
風呂場の鏡に映る、
あらわになった腕や脚、 ....
「一」という字の、地平を
我が胸に…刻む
「一」という字の、地平から
熱い湯気は…立ち昇る。
「一」という字の、念力で
切り拓かれる、明日。
いつの日か
ふり返った背後に
....
明け方 季節を忘れた
冷え行く寒さの中で
冬は姿を消し
沈黙は空気を透明に染めた
朝 差し込む光を浴びて
言葉を忘れた
荒涼とした会話が砕かれ
鳥の鳴き声は静寂に木霊した
昼 ....
今日もまた
子供が
虐待されて死んだ
捕まったのは
内縁の夫だと言う
世の中に
内縁の夫が
何人いるのか知らないが
善人の内縁の夫って
どれくらいいるのだろうか?
内縁の妻 ....
オランダのチューリップ畑の{ルビ畔=ほとり}に
浅い川は緩やかに流れて
カーブを描く辺りに
一人の風車は立ち
やがて赤と黄色の無数の{ルビ蕾=つぼみ}は
過ぎゆく風に身を傾げ
遠い風車 ....
キャッチコピー「質問は受け付けない・曖昧を大事にしている詩」
何故、人は人を好きになるのか? 答え、愛情と同情、感情があるから
何故、人は綺麗になりたいのか? ....
大人が好むうたを
だれもいない道々うたいながら歩いた
こどもだったわたしの
精一杯の背のび
ひとりでも平気だと
おもうために必要だった
夕焼けは演出過剰気味に赤く
そこを目指さず ....
珈琲の混ざった粘膜に唾液が滲みる
先刻の鳩の血液も蹴り足から鼻腔を貫いたか
公園で撒いたパンにありついた鳩を執拗に追い回していた
追手の鳩を蹴ったのは気紛れ
砂糖のない珈琲では消えない後味
....
生姜焼き これは一番 祖父の角瓶チョロリと啜った5歳の春
トンカツ ソースが命 息を止めてガツッリと向き合いあう勝負は刹那
カキフライ タルタルソースにトンカツソースレモンを絞り海の音きく
サバ ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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