{引用=ぼくの記憶の螺旋の、森
その先に蔦の茂った廃屋がある
寂れた椅子に 小雨が降りつづけ、
緑は天を刺す、あるいは、地に従属する
苔生した兵士たちは歩みを止めることもなく
繁茂 ....
偏頭痛というのか
なんだかぼんやりとしている
気持ちが宙に浮いているというか
目が覚めている気がしない
声がくぐもる
気をしっかりしていないと
涎を垂れ流しそうだ
誰かにもたれかかりたい ....
うまいねえ。とつぶやいて
しわくちゃな口元が動く。
赤と黄色が交じり合い
庭先を照らす日なたにも似たオレンジ色が
口の中を多い尽くす。
最後の一個を残したまま
父は昨日の夜
飴玉を食 ....
久しぶり、今なにしてる
お前が居なくなって、もう何年も過ぎる
何年も忘れなかった
そんなことは恥ずかしくて言えなかった
そっちの世界はどうですか
昔とあんまり変わらないかな
変わったことは ....
舟が港につながれている
波がゆれている
生き物の呼吸のよう
あたしは森からそれを見る
ひっきりなしの鳥の鳴き声
それがあたしの胎教
何度も生まれて
一日に何度 ....
「愛しているよ。」と言い残して
見慣れた姿が粒子になった。
きらきらと暖かな光に包まれて
零れ落ちる粒子を取りこぼさぬように
私は見えなくなるまで抱きしめた。
氷の粒が背筋を下っていった
この氷はほんとうの愛のかたわれ
歌われることさえ禁じられた愛の
遠くて近い末裔がいま
背筋から皮膚全体に広がり
太陽が一つ終わっていった
お前はもはや風 ....
雪が溶けた駒ケ岳の山頂は
空よりも色濃い青で
夏休み初日の朝を告げる。
裏の畑から
私を呼ぶ父の声がした
長靴を履き麦藁帽子を被って
くるくると螺旋を描く葉や茎を折らぬように
夏野菜 ....
男同士で乗るボートは
沖をどこまでも
漕ぎ出せそうな気分にさせる
女の子たちに
声も掛けられずに借りたボートで
出たのだから尚更だ
浜辺の人々の
男女の区別がつかないほど
離れ ....
(呼び名は市道というのだが)
わが家に接した舗装路は
歩道と車道の区分なく
往きかうかげは
乏しく淡く
そのうえ しばしば
三毛猫さえも巡 ....
昭和24年3月
kusataroこと
林一臭は生まれた
一臭は
子供の頃から
読み書きが不得意で
国語の成績は
ずっと丙だった
特に古文漢文は大の苦手で
赤点ばかり取った結果
....
自由というのは
主義主張が通ることではない
周りを気にせずに
グズグズできることでしょう
焦げたソースの薫る
烏賊の入った焼きそばがうまい、
湯気の立つソースに塗れた太麺には
紅生姜もたっぷりのっていて
そっと隠れて
刻んだキャベツや
玉葱だの
もやしも入ってる
青 ....
覚めない感覚が
私を苦しめる
何が欲しいのか
興奮と葛藤の中
諦めきれないものがある
価値のないものに懸命になり
本当の宝をないがしろにしている
後ろめたさに ....
サルビアの陽射しへ
うつむいた頸がいろどる
あなたが放つすみれ柄の微熱
この愛しさと出会うために
幾度自らを{ルビ擲=なげう}ってもいい
振りむいた睫毛に弾む ....
(なんのことはない)
傘寿のリビングに鎮座し続ける
ねこぜのトルソは
冷たい時空におどされて
いまや
吸う息を灰色に ....
食卓にウンコがあった
チョコボールのようだった
拾って臭いを嗅いでみた
完全にウンコ臭だった
「何故、此処にウンコボールが?」
ペットもいない
赤ん坊もいない
それなのにウンコボ ....
ふと 夢から醒めたかのように
素足に石畳がしみる
独り雪吹きすさぶ外から暖かな窓を覗き込んでいる事に
気が付いて切なくなる
自分が立っている場所は外なのだと
思い知らされる
さっきまで ....
こともあろうにアオサギが 公園の池の鯉を狙っています
全く困りもののアオサギです 追い払うわけにもいかず
そのまま見ていると とうとう大きな鯉をとっちゃいました
ところが大きすぎて丸のみ ....
雨に閉ざされる
時がくる
カエルは喜び
人は憂鬱になる
夏はまだかと愚痴り
夏が来れば
汗をかいて
また愚痴る
お前は五月が好きだと言い
俺は十一月が好きだという
....
ここから始まる
ここが始点
ここはどこだ
ここはここでしかない
ここに居たいのか
ここから逃げ出したいのか
それでもここに居なければならないのか
今、私はここにいて私ができることをしてい ....
永遠を旅する人は
時計という余計な物は持ち合わせていなかった
通り過ぎてゆく
傍らの花や青葉や
水や石を瞳に映し
旅を続ける
旅人の血液は
青く透明で
鼓動も無く
さらさらと ....
どっかいーところがあればな
花とかみて満足してられるんだ
人と違うとこなんて無かったよな
みんなみてーに笑っててもいいはずだろう
君にあって僕にないもの
僕にあって君にないもの
誰かが ....
もっと先まで見せてあげる、と
君が伸ばす手を
掴む勇気が足りなくて
でも離れたくはないから
迷子になりたくないの、と
嘘をついて
どこまでも
その声に導かれて
君のぜんぶを抱きしめ ....
犬がイカれちまった
じつにぼくは二千四百円の損害だ
ぼくは二千八百円の損害だ
狸穴から鍵穴峠を抜けて
....
IT怪獣は眠ることのない夜の暴力だ
昼間は仕事をしている
夜間も仕事をしている
いつ眠ってるんだ怪獣リファラ
そうだ眠る必要はないんだ
あとでたくさん与えられるから
リファラは ....
役立たず役立たず
聞こえる言葉
役立たずは役をやめたんだ
意味には縁がなくて
笑顔には手が届かない
頭の中ででっかいスピーカーが鳴って
信じられないくらい寂しい気持ちが泣いて
なにか ....
それしかないものを撃ちたい
なにを撃ったらいいかわからないと言いながら、いつまで経っても撃つことができない
撃つだけの弾はあるのに、撃つものがない
もしかすると弾もない
弾がなくてもどうで ....
ある日夢を見た
大統領専用機をハイジャックして
銀翼のブーメランは肥えた豚の脇腹をえぐる
全ての核が夜明けのように地球を照らし
先史時代の遺跡に月が冷たく口付ける
砂場で遊ぶこどもの和毛が音 ....
土曜の午後
甘ったるいコーヒーを飲みながら
考えている
風は南風
明日は梅雨入りの様だ
蛙の鳴き声がうるさい季節に
少し戸惑って
答えを急いでいる私
薬指に指輪がない君は ....
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