ランプスポットに明かりが灯る頃、
私は常連客に珈琲を淹れていた。
柔らかな音楽が流れ、
店内は優しい暖色に包まれていた。
お客の一人は英字新聞を何かに切り張りしていた。
他の ....
さて、私の航海はこれで何度目だろう。
未だ明けきらない朝に、港の喧騒は透明だ。
果物かごを抱えた婦人が通り過ぎ、
口髭をたくわえた紳士に足音はない。
静寂なのだ。
この神 ....
拙訳
空舞う者
われらが主クリストに
今朝、夜明けの{ルビ族=やから}を見た。光の国の
{ルビ御子=みこ}、隼はまだらな暁を浴び、天の
波涛を飛ぶ。その下に風は止まず流れた ....
暗闇で会話する
わたしの鼓動と
悲しくはない?
―かなしくはない
寂しくはない?
―さびしくもない
無理 ....
産まれたくて産まれたんじゃない
生きたくて生きてるんじゃない
誰かが生きたかった明日なんて
知ったこっちゃ無いさ
御愁傷様
死刑になりたいから人を殺す
分からなくもないかもな
自分を ....
「 もう、5年 」
「 まだ、5年 」
それぞれが描いた復興
それぞれが歩んだ復興
少しずつ分かれていく その理想
少しずつ分かれていく その現実
残す
....
母親がくれたジャガイモとニンジンを洗い、味噌汁をつくる。泥がついている。うちの畑でとれたものだろう。でこぼことしたニンジンの表面をゆびさきでなぞっていると、すこし落ちつく。水と野菜の関係は、なんだかと ....
俺って人気者だったんだ
次から次へと
俺の偽もんが現れてくるじゃねえか
10年前の東南アジアの
カラオケでの俺の人気が
思い出されるぜ
オネエチャン同士が
俺を取り合って
取っ組み ....
四年目の夏、私たち四姉妹は四回のお引越しをしましたの。
一つ目のお屋敷には大きな蔵が一つついてましたの。
ただ壁がぼろぼろで一番上の姉が崩れた蔵の下敷きになってしまいましたの。
それで私たち ....
+
枯れ草に香水を垂らし
毒を取り去った美女の白い手
いま、土を染めた雪の
冷たい抱擁がそう見える。
ミルクを朝がきれいに嘗め
吹雪の中で夜を過ごした君の黒髪
あの、頬を ....
あなたの
心と身体が
ひとつずつあるから
名前通り
全身全霊
風を感じたり
海を見たり
光に触れたり
するべき
いろいろな人の
怒ったところとか
涙を流すところとか
....
人生はいつも空回り
理想や目標どおりにはいかない
小説みたいな人生がおくれればいいなと思う
残酷にも現実はそうはいかない
どこへもつれってってくれないのだ
詩を書いても小説を書いてもひと ....
死者はいつでも待っている
あなたの過ぎゆく並木道で
枯葉舞う、からっ風と共に
思いの外
素敵ないたずらを、起こそうと
腫れていた喉に
苦い珈琲を――流す。
少し、楽になったようだ。
時には苦いものも悪くない。
じっと見つめた掌に
透きとほったプリズム
君の望む色を
薄っすら、放射する
心が海を渡る時
2016.3.11.
光と風が結ぶ足跡 心が海を渡る時
見えるよ 君にも 見えたよ 僕にも
"もしも"はやめた "きっと"にする ....
穏やかな日々を
カップに入れて朝を飲み干す
苦みや甘みを口にふくむ
めぐるという
気づかない音色に耳をそばだてる
あれから
かわらないものを撫でる
空を切りわける風に
....
グァバ茶を飲むようになって久しい
しかし女房にはすすめていない
何となくグァバ、グァバになりそうだから
そういう私は
ガスが溜まって、溜まって、キンタマッて
5分おきにメガトン級の
大爆発 ....
曇の上の雨
陽が照らす鏡の背
朝の径に降るかけら
午後の径をすぎるひとひら
空の海が
黝く干いてゆく
まばたきのなかの無数の月
夜が 流れ込んでくる
....
おまえが生まれた年に
菜の花が庭にはびこって
それはそれはたいへんだったよ
おまえはまだ二ヶ月だか三ヶ月だかで
はじめてみる菜の花に
はじめて嗅ぐ菜の花に
目をまるくしたり ....
うさぎは
ときおりたちどまり
ふりかえる
そこに菜の花がうすくゆれていた
まるで
なにかのじゅそみたいで
なにかのしゅくふくみたいで
ながい耳は
遠い音をつかまえるため
生きるこ ....
貴方が好きだった
好きすぎて
貴方になりたいと思った
貴方の名前を名乗った
大好きな貴方の名前アンドレを名乗った
少しだけ
貴方になれた気がした
アンドレ・・・・
ああ、アンドレ
....
海上は大きな波がうねり
雲は重石のように心にのしかかる
平静を求めて 安楽を求めて
ゆっくりと底へ底へと
熱めのコーヒーと
うつ映画が私を導いてくれる
時が 光が
小さな泡 ....
言葉には魔法は無い
あるのは願いだけ
たとえ音になっていなくても
伝えたい想いはなんとしてでも
ひとは伝えようとするんです
それをきこうとしてくれる
人の前に
みなみ町の角を曲がると
尾ひれがついてくる
それが嘘だと決められれば
楽だったのだが
尻尾と箒を間違えたから
柄で叩かれた
太鼓のバチ以上に 罰当たりな当たり方で
....
桃始笑
ももはじめてさく
コートを脱いだら
沈黙していた鎖骨が
独り語りを始める
ポケットから出た
あてどない指先が
止まり木を探している
音符を思い出した
爪先 ....
その昔読んだ
犯罪心理学の本に
凶悪犯の子供時代の特徴として
夜尿症が挙げられていた
小六の秋まで寝小便垂れだった私は
痛く憤慨したものだ(実話)
小六の秋に
ふとしたキッコけで
マス ....
風呂上がり
コップに氷を入れた
君が好きなアイスクリーム
目に入ってしまう
あれからどれくらい
時間たった?
君が居なくなってから
ほんとに別に何もなかったんだけど
い ....
どうでもいいことを
ヘタクソな書にして
額に飾る自称詩人が
急増している
ガキの一人や二人
殺したっていいじゃない
自分の子だもの
(千田みつを)
その中でも
この作品は
....
出発は時刻を持たない
ただ消長する獣の声が遠くに響くのみだ
石たちは獣とともに鳴動する
その冷たいおもてに私はまなざしを遺していく
かつて出発とは地上から月へ向かうものだった
だ ....
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