一、方法
いつも使っている水道で手を洗う
思った通り今日は水が冷たく感じる
いつも聴くお気に入りの歌を流す
思った通り今日はその歌がスロウに聴こえる
日常と違う蛇口をひねれば
....
朝よ
朝露よ
異国の万華鏡よ
熟しきった永遠よ
露は葉を忘れ気化せよ
昼は夜は六月に無窮
を土中で悟れ
なみだは泉川を遡り
辿り着いた源泉
に致死量のヒ素を
さて枯れたふるさと
....
澱んだ空が憎たらしくて
蹴りをいれたいのだけれど
殴りつけたいのだけれど
想いさえも届かなくて
精一杯に唾を吐きかけ
考えつく限りの罵声を浴びせ
それでも気持ちが収まることはなく
さらに ....
胃が痛い
胃が
僕が裏返るような気分だが
それは嘘だ
マイナスの方向に
社が立つ
いく千匹の獣が
雪の野原に立つ
彼らの顔が
雪で冷えているおぞましい
更紗
爾来
味噌
現実的に考えれば
相手が油断しない限り
大振りパンチで
ノックアウトは難しいものだ
だから
こいつ豚でもないことしそうだな
もとい、とんでもないことしそうだな
と警戒されているうちは
....
胎児の仕事のかなしさよ
望まれたのは一声と
嬰児の仕事のかなしさよ
{ルビ乳=ち}を飲むばかりで終わらずに
歩けたその日のかなしさよ
靴を覚えるかなしさよ
憂える人あるかなしさよ
応えて ....
瀧の夜
火を拾う指
音の無い径
水たまりの径
水の音は鈴
鈴の音は夜
夜の地図は水
光の指をひたす子らの声
火は火のまま底へと沈み
水面に言葉 ....
切ないね
わたしの世界にわたしは必要、けれど
あなたの世界にわたしは要らない
あなたの世界にあなたは必要、だけど
わたしの世界にあなたは要らない
わたしが好きなのはあなた ....
毛布のなかで
太陽が 頭をのぞかせた
わたしはまだ死んでいるから
もう一度 生まれなければいけない
脇腹から肩胛骨をとりだし
きみの白い項に移植する
行き場を失った うるんだ指 ....
夕暮れ時の寒い裏通り
透き通るくらい引き伸ばされた薄軽い
ビニール袋の中には食材と
もう片手には人の身を覆い隠せるほどに巻かれた
トイレットペーパーを持ち
返事のないアパートに帰る
....
コンパスのように立て
最初から最後まで
近寄ることも遠ざかることもない
己の中心に
想いは帆のように憧れを孕み
どこまでも出歩くだろう
コンパスのように立て
滾る情熱は千切れるほ ....
夕方ふと足を止めた
流れ去る風は何処へと向かうのか
気付いたらここまで来ていた
借り物の身体 何処まで行けるかな
明くる朝ふと息を止めた
細胞は許してはくれなかった
何だか胸が苦しく ....
入院すると
生きる目標が
はっきりしてくる
「退院」という二文字へ向けて
すべてが動き出す
入院病棟は
死と隣り合わせの生きる力が
みなぎっている
いつまでも誰かのそばにいて
猫背で暮らす
二日酔いが始まる前に
冷蔵庫を開けろ
そんでなんにもない
一日を過ごし続ける
どんな暇もここにはない
続いてる一人の暮らし
見えてる場 ....
赤でチェックの模様
赤いカップがついたファミリーサイズ
中はなにが入っているのだろう
見た目よりずっしりとしている
内蓋を開けて中を覗くと意外と狭い
この狭い空間に星のような小さな閃きときら ....
ボケた!という
自覚のあるうちは
まだだいじょうぶである
しかし
「ボケてない!」
と言うようになると
深刻になる
貴方が他の誰かを求めたりしないように
その腕を切り落としてしまいましょう
もう二度と何処かへ逃げてしまわないよう
その足を切り落としてしまいましょう
私のことを考えるだけなら
首から ....
画面ばかり見て患者をよく診ない医者
決めつけるような言い方をする医者
やたらと薬を出す医者
患者の質問にきちんと答えない医者
患者の不安を煽る医者
横浜駅が増殖する――増幅する悪意(マリス)によって書店に平積みされた横浜駅SFが引き取られていく――、大歓迎ですよ――ライトなバースの誘う眠気から逃れられない、まるで網のようなそれに絡め取られて「所詮 ....
バス乗り場には行き先が書いてある
花が飾ってある
まるで旅程のために生じた偶然のように
駅のターミナルには大樹と季節の花
何も告げずとも伝言は明らかだ
来歴がばらばらな人たちが集まっ ....
きみのいた四ッ谷の町に
ぼくだけが今もいるよ
気持ちが津波にやられる
思い出作るしか出来ない
ぼくだけが一人いるよ
きみのいた四ッ谷の町に
優しいピアノでケンケ ....
女に生まれた私は誰よりも自分自身の価値を理解していたわ
それは長続きしないものだと最初から分かっていたわ
気ままに生きてきたようで本当は焦っていたのかもしれない
私が一番欲しかったものを結局は手 ....
鎹
恐竜
石舞
損なわれていく感情の中
ネオンのアリジゴクを歩く
六本目のタバコに火を点けた時
倒錯した売女は踊る
なんてナンセンスな命だろう
刹那主義がこの身の錆になり
鈍ら隠して美学を語る
....
自称詩人は
ミサイル発射には
とても寛大で
怒らないどころか
下手すりゃ
米軍基地にでも落ちやがれ
と思っている
まあ、俺としても
沖縄辺りに落ちて
プロ市民もろとも
木っ端微塵に ....
滝壺の
ひんやりとした雰囲気が好きだ
那智の滝
赤目の滝
一人でも家族でも
友人とも
訪ねた
雪が降るような冬に
滝をみた記憶はないが
秋の紅葉の中
赤に包まれて水の
はじけてゆ ....
{引用=あなたのやさしさは
七日後の月の白い夜に
粉雪のように降ってくる}
あなたはいかがですか
東京の部屋は大丈夫です
あなたへの先日の暴言
はずかしく 項垂れるばかりです
明 ....
上品な甘さと香り
色色とりどり触れるとほあほあ
頬張ればすぐに溶けてなくなってしまう
それでも
その日のために たったその日のためだけに
いいでしょう構わないでしょう
お願い、これは今 ....
IDカードをぶら下げながら
コンクリートのビルに出入りをする
飼い猫の首輪が軽くなるのは
見上げた空に星が浮かぶ頃
明日もまた胸にメダルを掛けて
1191 1192 1193 1194 1195 1196 1197 1198 1199 1200 1201 1202 1203 1204 1205 1206 1207 1208 1209 1210 1211 1212 1213 1214 1215 1216 1217 1218 1219 1220 1221 1222 1223 1224 1225 1226 1227 1228 1229 1230 1231
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