幼い日にあなたの眼を潤ませたものは
ないだ海の夜に掻き立つ縞模様の水音ではなく
照明の暗い
ガラスの箱で区画された
文字に起こされた生態であったのかもしれない
古びた ....
こんなことがあった
神奈川県鎌倉市手広のあたりを
自転車で走っていたら
宅地の一角に建つ物置のような家から
おばあちゃんが丼鉢にラップをかけて突然出てきた
なんですかそれ?
厚揚げと大根の ....
きみの手は、
しっとりとした雪が、
もうすでに降り積もっている、
ひんやりとした夜の雪原である、
まあ読めるんよ
十代のころ滝沢馬琴とか読んだし
十返舎一九も上田秋成も読んだしな
だからまあ無理すりゃ書けなくもないんだな
幕末や明治の本も読んだしなあ
明治の本ってさ
むしろお江戸の ....
夢は別の世界で
自由なのに束縛されて
真夜中の街に出た
街はもうひとつの世界で
お金がなくても
歩いているだけ でも
楽しかったはずなのに
休まる場所が見つからない
暗い歩道に ....
冒頭に流れる陽気なラジオ
今年一年を振り返ってる
あてもなく車を走らせながら
あなたとの結末を思い出してる
ねえ、気付いたかい?
クレジットの旋律が物語全体と同じなんだ
側 ....
ぼくが
ぼくが
兄弟揃って母へ伸ばす手
引っ張り合いをして
母を困らす
大人になっても
おれが
おれが
兄弟揃って母の気を引き
マウントをとり合い
母に苦笑いさせる
....
ランボオは明らかに
佛文學の發展に寄與しやうと云ふ氣が
彼の戀人より尠なかつた
だからと云つて
彼は能く愛された男娼の
つもりもなかつた
彼の詩には秀才は秀才なりに*、なる
衒ひはないが ....
言葉を
落とした
気付かない
人たち
有り余る余白は
透明色に…
彩られつつも
黒に程近くなってゆく
いつしか
すっぽり
街は影に埋まり
人々はココロ明滅させ
まるで星空 ....
夜中にはたと目覚め 妙な異和感
何か重たい記憶を背負った様に
ふっと気付く 、深々と
どこかにいた
今まで俺は確かに何処かに居た
想い ずんと
落ち来る如く
沸き起こる
け ....
深い夜には市場も眠り
猫も夜盗もいないでしょう
ただ美しい死の香りがする
ただ月光が石畳を照らす
町をみおろす山の手にある
煙突がある洋館には
少女が眠る寝室があり
恋に ....
どこかへ行くのを縋って留めた
私達はどこにもいけないはず
粘ついた湿度が君の手から溢れて
しどどに濡れた服の袖を
振る
重みが自分の価値を表す
そう言われるうちが花であり
言われなければ ....
こんな夜更けに誰だろう心の扉を叩くのは
あらん限りの力を込めて救いを求めて呼んでいる
土砂降り雨のその中で頼る当てなくたどり着き
今にも喉張り裂けんばかりに救いを求めて呼んでいる
覗き ....
ぼく、うしどし。
おれは、いのししで
おれの方が〝し〟が多いよ。
あらら、ほんとね。
ほかの〝えと〟では、どうかしら?
たしか、国語辞典の後ろにのってたよね。
調べてみましょ。
うう ....
○「二刀流」
大谷選手はやはり二刀流だった
昼も夜もバットを振り回していた
二世誕生おめでとう!
僕のバットは昼も夜も萎れている
○「ウララ」
ウララ ウララ 裏金よ
ウララ ウララ ....
身体の隣には
太平洋があった
太平洋は凪いでいた
名の無い
小さな海が好きだった
その海は机の
引き出しの中にあった
机は遠く故郷に
置いてきてしまった
それなのに
....
愛つてなーに?
心悸亢進のと或る形だよ
?
シンキコーシンつてなーに?
愛、さ
?
機智の詩は書きたくないね
ウィットさへあればいゝと
思はれるのは恥辱だ
重い物を引き摺つて書くんぢ ....
大聖堂の中にゐる
埃がもうもうと立つ
その伽藍は
とうに廢されたものなのかも知れない
コノハズクみたいな服を着た
善男善女の亡霊
私は見たのか
見なかつたのか
司祭はゐない
寒けがす ....
『百日後に屠殺される豚』
タイトルはこれで行こう
家畜を〆る際、恐怖心を与えると
肉が固くなる
ので恐怖心を与えずに
スパッと
そうなんだ
サイコ味が深い
ペナルティが ....
手のひらですくえるほどの軽さ
ふっと息をかければ羽毛のように
水のようにさらさらと
それくらい
それくらいと言いたいのに
あなたが踏んだ泥は何億年後かにも
化石になって残るだろう
た ....
きみキューピット、
おんなのこの、
キューピット、
しろいましゅまろみたいな、
ほっぺたを、
ふたつのてのひらで、
おさえながら、
すこぉーしだけ、
くびを、
ななめに、
かしげて ....
LINEを交換した時
心も交換しました
有人ロケットに
眠たそうな亀を乗せて
月の兎の言付けは
葬祭場の灰に混じり
新たな嵐が発生しました
未曾有の試練に備えてください
猫ちゃんかわい ....
そのさざなみがいつまでも
ちいさな揺らぎを伝えてる
むかし夢みた船の旅
どこへ行ってもしあわせそうな
その船室でひとりきり
小窓からみる赤い月
ゆらりゆられて波のうえ
ここ ....
空がとても青いから
ぽろぽろ涙を流します
ハンカチを持っていないので
涙を拭うことはできません
地図を持っていないので
トコトコ家に帰ることも難しくて
夕陽が沈む頃 ....
真昼の銀河の蜘蛛の糸
薬指で行う空との会話
花の幽霊が二人居て
一人は私と共に来て
一人は影と共に去る
....
明日は
子どもを一万一千人売り払って
ところてんを買う日だ
誰にも
話しかけられませんように
緑と白の渦のなかに
切り落とされた龍の手首
それは何かを掴もうとして
ひらかれたまま漂っている
君の鼻歌を引き出すために
何を話したらいいだろう
緊張を含んで発した言葉は
白々しい空気となって
沈黙の中に霧散してしまう
きっと些細で単純なことと思うのは
僕だけなのかな
意思を感じる ....
何かの幼蟲が皮下を這ひ回る
所謂コールドターキーの苦痛を
かう表現する者もゐる
ゆくりなく禁煙してゐて
煙草は決して嗜好品などではなく
麻藥の一種だと知るが
幼蟲が現れぬ分
マシかとも
....
向こう林立する樹木の暗闇から手前こちら、
苔生す巨岩の平らかな頂きに
絶えず大量に溢れ流れる水がある
そうして溢れ流れるこの水の内に
絶えず脈打ちうねり律動スル力、
水の溢れ流れの大 ....
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