皿の上に1/4に剥かれて干からびた林檎がふたつ
淋しくて寄り添うように折り重なってる
音のない世界にカサリと観葉植物の葉の落ちる音
それでも君は決して起きたりしない
のそのそと目覚める ....
光る宝石を身に付けた時は
それより輝く命を見逃す
一瞬の煌めきの中で揺れる
原石を持った人の夢だから
重たくて軽い口笛を吹くと
眩しい世界へ届きそうになる
真っ白なノートを開いただ ....
見慣れた景色にさよならを告げて
目新しい景色には今日からよろしくと呟いた
真っ白なノート
予定も何もない
一文字目を書くのは
さぞ緊張するだろう
まだ何も書かれていない
新品のキミ
わたしはキミを汚しながら
明日を生きていくんだ
いい友達にな ....
枯れ葉がからから
秋の子どもたちの
足音、からからと
町ゆくひとの足を
いたずらに撫でて
風のような笑い声
枯れ葉を燃やせば
秋の子どもたちは
舞い上がりおどり
それを見 ....
常夏の陽が波にとけ
波の子生まれ遥々と
この島国へ流れ流れて
夏を運んで、春を流して
波の子ゆすら
ゆすら、すら
鰯の群れや鯨の髭を
気ままにゆらし
ゆすらすら
浜辺に埋め ....
例えば僕がこんな夜更けから
突然珈琲を淹れだしている今、
君は同じ国の中で
ところで何をしているんだろう
などと思う
君が誰かを強く想うとき
僕も誰かを強く想っていて
二つの想い ....
何物かからのご加護にあずかっている
そんな感受性は失言かウソだ
浅すぎてポンプでも吸えない
何物かのご加護などないのだ
ただひとびとと生きていくだけなのだ
価値観やレ ....
ある日
休日でした
朝から無性に海を見たくなってしまい
妻を誘い、まだ小さかった二人の娘も車に乗せて
一路海に向かって走りました
天気は晴れでしたが雲は浮かんでました
海岸道路から海に ....
礼二:と言いましても唇青しオバマ大統領ですが
孝二:ん?
礼二:こんばんは、礼二で~す
孝二:こ、孝二で~す
二人:アウト礼二・孝二で~す!
礼二:ここんところ、めっきり寒くなって
孝二: ....
彼女は 指を噛んだ
ががりり と 噛んだ
男は痛がった
彼女は哄笑した
グラスが弾けた
男は顔を赤くした
彼女は 指を噛んだ
ががりり と 噛んだ
彼女は歯を見せて笑った
冷たい ....
哀れな英雄は
金属質な黒い体を
ますます黒くして
冷たく硬くなってゆく
さっきまで
大きな夢の英雄は
馬にまたがり剣掲げ
青白の空背に睥睨する
そんな姿を見ていた
はずなのに
....
夜半からの雨が 霙交じりの雪に変わった
とは 勘違いだった様だ
どうやら霰らしい
霞がかった空の向こう側に 淡く光る山並みも
今日こそ凍えている
震えるならば 今この瞬間であれ、 ....
雨の鳥
夜は狭く
髪の内の海
霧は軋む
いつのまにか 朝は文字になり
昼には音になり 土に吸われた
夜は ひとりだった
夜は あたたかだった
む ....
幼いハリネズミの背に
指を乗せると
ハリネズミが言った
あなたの針は
おかしい
雪に埋もれた砂浜に
もうすぐ津波が来るのだという
家を出てから十五分
家に着くまで十五分
海の反対側の坂では
家より大きな黒馬が眠っている
もうすぐ津波が来ると ....
西の空が
赤銅色に燃え残り
薄暮が辺りを包む頃
俺は拳を握りしめ
一心不乱に進んでいく
胸の辺りに蟠る
抑えがたい不安感に
鼓動激しく息を継ぎ
夕闇の道を進んでいく
西の空が
....
何故か放送禁止用語ではありません
偏向報道テレビ朝日ですら
坂口征二が繰り出せば
アホなアナウンサーが
平然と「アトミックドロップ炸裂!」と
叫んでいたぐらいです
そんなアトミックドロ ....
心掛けたい
笑顔で或ること
微笑んでいる顔みたら
近づいて診たい
どんないいことあったの
楽しい話が待っている
悩んでた問題が
いつのまの ....
目隠しされて
見えぬもの
耳を塞がれ
幻の声
つぶれた喉での
ひとり言
説明しない
語らない
言葉はいつも
完全ではない
とはいえ沈黙に徹する
....
流出する
網戸から ひんやり入って来る冷気のなかへ
私は流れ出し溶けていく
生きている 実感だけが鮮明に
意識をうっとり抱擁し
私は刹那 居なくなる
流出し続けるわたくしは、
自 ....
晩秋の日差しの中
庭先の洗濯物が
風に揺れた
わたしは黙っている
不安と静けさが同居する部屋で
神と向き合う
やがて平安に包まれるよう
愛に包まれるよう
ただ黙って待ち望む ....
「もし」という言葉を使わず
今の紅葉を見たなら
過去の幻影を胸に確実に幻滅するだろう。
「もし」という言葉を使わず
自分の日常生活を描写すれば
過去の自分が皆輝いて見え
確実に気分 ....
曖昧な返事をした
優しさのつもりで
誰かに希望を残す自分を
果てしなく広がる空が見ている
恥ずかしくなって
雨も降らないのに
傘を差しながら隠れた場所で
小さくなるほどうずく ....
白鷺が
橋の欄干に立つ
切り取られた
わたしの
瞳のひかり
羽ばたきが心を
さらいゆく
橋の上の肉体は
ただわたしを見上げて
心ここに在らず
遠く遠く浮遊する
時すらも置 ....
わたしが愛したあなたは闇夜に消えた
抱きしめる腕をどれだけ強くしても
あなたは自由な鳥で
わたしは不自由な案山子
あなたのように飛び立つことはできず
わたしは毎日同じ景色を見てはあな ....
ああ、こうしているあいだも
どこかの山脈は
星明かりにだけ照らされている
追い抜いたら歩をゆるめるひとの
かかとをなんとなく故意に蹴った
復讐みたいなことをされている
....
● 文字は独立した ●
文字は独立した
改めて言う
文字は独立する
その時、全ての生物の営みは過去になる
だけど、人だけは文字側の列車に乗れるのかもしれない
2018 ....
父親から電話がかかってきた
滅多に電話なんてかけてこない人だ
よほどの事がないかぎり電話をかけてこない人が
その日、その時かけてきた
電話口に出ると
いきなり
ひろしか、父ちゃんだ
....
親戚の目が横に伸びていく
奇妙な形、と思いながら
引かれた椅子に座る
袈裟がうやうやしく現れるまで
空気は露ほども動かなかった
左手に花を、右手に線香を持つ
あとは付いていくだけ
人 ....
931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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