雲、流れ
流れ、雲が空をいく
ぽっかぽっかり青を裂き
気流の鳴る音、響かせて
澄み切る初冬の夕暮れに
荒れる呼吸を収めては
私の宇宙を横切って
流れ、雲が空をいく
....
かかとからやって来た
わたしを突き刺す冬
いつの間にか整理していた人生のこと
忘れてさっさと、今夜を食べる
重い荷物を
持たなくなったな
持てなくなったな
愛をわずらう結婚生活
....
柿が自らの重みに耐えかねて
落下するのはいつだろう
近くで見れば黒ずんできているが
遠くからなら変わりなく
まるく楽しい色を放っている
俺は葉の落ちて実だけになった
この柿の木を美しく思う ....
(うしろの正面ダアレ)
、いきなりですが
羽根を持ちあげては殺しあう
郭公が鳴いた
鏡に映るのは化粧の白い羽根
声音を十二階変化させ
モノマネをする
知らない
....
何もかもが一歩だけのとこで壊れた
もう忘れましょう、私には忘れることしか
実行可能性のある選択肢がない
森のある町 隙間を縫う国道
どこにでもあるようなとある街
家と社会を繋ぐ道
森の ....
スパゲティの判決
噛んだ飴で口を切った
午前零時半の雨が頬を打った
熱を冷まして
爪先に手が届いたら
復讐に出掛けたい
割り勘で食べよう 君はなにもしてないけど
愛にはもう何もできな ....
僕はいつも一度だけ改行をする。
その小さな段差に一人で座っている。
憶念せよ。君はおぼえていますか。あの日、全会一致で私は、教団から破門され、この世から消え去ったことを、あのとき私はあらゆる劣等感から解放され比較によらない自信を手にしたのだった。
もう永遠に戻るこ ....
トンネルを抜けた後のスピードは
僕の耳にラジオを流す
恥ずかしさを忘れても
懐かしさに揺れる心を
歌い上げたラブソングが
春の下を通り桜を見てる
反射していく恋の思いを
同じ ....
宝箱の中のわたし
お気に入りはお気に入りだって
大切に仕舞い込んだりしないで
外へ連れ出してほしいの
世界の広さを知りたいし
雲の行く先
昼間の月の優しい光を浴びてみたいの
隠したりしな ....
KEIKOさんは恵子さんと書くのに
幼少の頃から
けして恵まれては来なかった
らしい
とは言っても
個人の情報の漏洩はゆるされない時代
具体的な記述は避けられているから
確かめられな ....
ゆっくりと歩く蝸牛
それで
どんどんと黄昏の国が過ぎて
宵闇せまる暮らしの中で
わたしも
立ち止まったままの
蝸牛
さまよえる
迷子
冷たい風が
「シッ!」
っと ....
二足歩行の人間だけが
垂直に天を仰ぎ見る
天の先を凝視して
天の先を認識して
天の先を創造して
歩いては立ち止まり
立ち止まっては歩き
一夜、すぎ
油の匂いのする聖水の
油膜を
洗い、すすげない、
その匂いにキャンキャン鳴いている
かしこい顔の犬を追いはらい、
泣きそうな君を
バス停までだけどね
見送ったのに、
君の ....
「わたし壊れてるから優しくしてね!」
って微笑みながらナイフで切りつけるスタイル
抵抗してはダメ、声を出してもダメ
水気の多い果実を切った匂いが部屋に満ちる
(ほうら、やっぱりそんなオチ) ....
記憶ってなんだろう
僕の記憶って
記録は嫌いなんだ
風にまかせて書き留めたほうが
たぶん素敵だから
ため息をして気づいたの
もうこんな季節
お話をしながら散歩
もうしてないもの
目の前のただの水蒸気
気づかないほどに白く染まるのはいつ?
芝生の上にすわって
ぼくは
ポケットのビスケットを半分にして
ひとつきみに渡した
「あげる」って言ってから
ぼくはもう半分を食べた
きみは
となりにいなかったから
きみのぶんもぼくが食 ....
ぽつぽつ
ぽつぽつ
雨が降る
ぽつぽつ
ぽつぽつ
ついた嘘
車が轢いて
過去も未来も
じゃーっと鳴った
消えて浮かんで
また消える
巡 ....
深いクレバスの底をめがけて
落下する白亜のプテラノドン
クレバスは狭く無風だから
翼を広げることができない
風に乗ることができなければ
翼竜は落ちるだけ
深い夜の底の
暗い氷 ....
ぶ厚い雲が空一面に
雨を降らして居座っている
霧深く
ゾンビが車道を横切りそうな
怪しさがある
せっかく怪しいのだから
土の中から死者がもりっと出てきてほしい
ゾンビが畑を彷徨って ....
中村くんとは小学二年のクラス替えのときに出会った
中村くんは絵の天才だった
井の頭公園で学年写生大会があった時に描いた彼の孔雀の絵
僕はそれを観せてもらって圧倒された
画用紙から今にも跳び出し ....
悲しくても
涙を流すこともできず
くやしくても
叫ぶこともできない
誰をうらめばよいのか
問うこともできず
寒々とした
野にさらされている
その積み上げられた姿が
....
元気を出せ!と恐喝しないでください。
金を出せ!なんかよりも恐ろしいのです。
{画像=191217132857.jpg}
{引用=
例によって言葉+イラストの組み合わせで詩をつくる試みです。題名も作品のうちになっております。
題名の役割は、昔は単なるラベル、中身の ....
吹雪はやんだ
静寂が深々と夜を沈めている
遠くで
プテラノドンの悲鳴が響く
ただ一度だけかすかに
電車の警笛のふりをして
吹雪の中をどれくらい歩いただろう
自分の足跡を見つけた時
....
まがおが交差する
まがおがすれ違う
こころが交差する
こころがすれ違う
まがおが一瞬合う
まがおがすぐそらす
こころが一瞬合う
こころがすぐそらす
えーんえーんが交差する
えーんえー ....
独りでいる
冷たい部屋の板の間で
ニャ、と小さく鳴く
猫も寒いのだろう
ぼくたちの
朝はいつまでも
明るくはならないままで
口の中は
鉄の味がするままで
ふと ....
回転台の壊れたヒーター
この部屋を暗室にしているカーテン
うまい嘘をつく季節風
渡すのか
渡すべきか
この使いきれない肉体を
その本質さえ死なぬ我が魂を
木のぬくもりとは
肌のぬくもりを
奪わないぬくもり
あたためようとしなくとも
しずかにうなずいて
あげればよい
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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