虹に腰掛け紬ぐ
さくら色の糸車
束ねればシルク色
雪解けを待つ芽に
花びらを編み始める
春にお似合いの色で
焼き立てのフランスパンを一本抱えて歩く帰り道。
ライフル銃の、その銃口から立つ、香ばしい小麦の香。
死が個々の匂いを失って、
腐乱という可視光線の屈折が、ただ
広々としたコンクリートの壁にその染み
ともならず、うつり行く走馬灯の懐かしみにも馴染めず
哀れにも雨曝しの自己の内部へ突っ込む。
....
水に濡れたまま
雨にうたれている
妻が傘の下からタオルをくれる
いくら拭いても
濡れタオルだけが増えていく
妻は可愛い人
こんな時でも傘には入れてくれない
濡れタオル屋でもや ....
降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく
やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら
降りていく
宇宙の底 ....
青いタイル張りの
浴室で
貼り付けた鏡は不可逆にまで曇り
あたしの顔が見えなくて
泣いているのか
笑いをこらえているのかも
わからない
灰色がたちこめる世界だ
湯をかけてや ....
ひとりの時間
明日も神でいるために
人間を満喫する
望んだこととはいえ
神でいることは
想像より重く
(みんなやたら神神神神言うもんなぁ)
人間を体ごと過ごさないと
....
そう、キミはそのままでいい。
「世間がオレの才能について来れないだけなのだ。」
そう笑い飛ばしてまた歩き出せばいい。
クッションを抱いて
その中に閉じ込めた温もりが
冷めてゆく前に体を丸めた
まだ触れていない場所があったな
まだ聞いていない言葉があったな
もっと時間があると思ってたのに
駐車場は探さなくて ....
…
……… …折れた舳先を横目に彼らは波止場から門を目指していた。
一列に隊を整え宮殿に辿り着いたときには既に夜も明けていた。
えんやこらさっ……オーイ!アレレ?誰も、、、門番も居 ....
善悪の判断を持たない
子供の頃が懐かしい
捕まえた蛙の腹にストローを突き刺して
思いきり息を吹き込んだ
生き物をおもちゃにして遊んだ
そして殺した
後悔はしなかった
痛かった ....
亡骸の幻影を抱いて
流木の間を
記憶を縫い取るように歩く
靴底を受け止める
砂浜の感触は優しく
けれど
優しさというのは
時折
無関心と同じで
巡回機のようなカモメたち
薄 ....
狡猾なる者、悲鳴の中で飢えて、
目くるめく暗黒の音韻の中で、
彼らのための晩餐を支度する。
パンという名の単純な個体と
葡萄酒という結果としての液体。
泡立つのは、抑えきれぬ羨望に満ちた旅の ....
公園の池に春の息が降る
カラスとスズメは仲良く行水
透きとおる雪解け水
底に眠っていた紅葉が
差し込む陽で目を覚ます
金魚のように泡を一つ
ゆらゆらと揺れている
月に舞う黄水晶の羽根
泣き虫の雫を拾い上げ
黄色い花に変えていく
雲の切れ間から漏れる陽は
空の花壇に咲く花のよう
恋をした女の子が駆け寄って
白い花に秘密を置いて行った
私は蜜で包んで隠してあげる
直観を疑うとき そういうときには 必然的に
他人任せの あやふやなデータや あやしい話に
乗せられているのが わかっている自分が
よく見えている自分が 自分に見えるときがある
古本屋の ....
窓の外に友人がいた
多分、窓などなかったのだ
お茶菓子も随分と出さなかったが
窓がなかったのだから
とても気は楽になっていく
何がそんなに友人なのだろう
適度なりに酒を酌み交わ ....
消え入りそうだったんだ
夜明け前に
悪夢で目覚めると
孤立に窒息して
消え入りそうだったんだ
そんなとき
何気なく手を差し伸べてくれる隣人が居た
「水が欲しいんだろ」
って、ト ....
ここちよい地面をひとしきりおよいだ
たいくつな夜景にパトカーが唸る
さいしょからさいごまで冒険から遠ざけられ
君の苦労話が自己満足のタン壺の中へ
君が笑っても泣いていても妖怪にしかみえない
....
いっしょに笑い合えたとき、初めて出会えた気がした
人が入れ替わり道が混み合う
春はいちばん迷いやすい季節
ジグザグに進む鋏のように
横切る胸を掴んで離した
僕等は時を改めることを
失敗から学んで来たのだから
定期券を年間で買うのはやめる
....
無音の暗闇
五感の皆無
呼吸も鼓動もなく
思考だけが生きている
身体も
脳さえ物質
いま
物質の有る世界とは
別の次元にあって
質量のない
電位だけが走ってる
....
のびをしたののねこ
きょうはきょうのてあしたので
ひざしにてのをあるき
みちばたれっしゃと
ゆく
諦めるとして
どこにも行けない
飛び移れない
蝉のようにはいかない。
だからこの木で鳴いて最期まで鳴いて
潔く地面に堕ちますね。
身から出たサビにAメロとBメロをつけた。
とても醜い歌だけど、とても僕らしい歌です。
下船したじいさんが
「陰性でも周りは嫌がるんじゃないか」って
言ってるのを
如何にも心中察します的に
うんうん頷きながら聞いてる
インタビュアーのお前!
がっつりマスクして
防御してんじ ....
柔らかな薄桃色の掛布団
夕暮れの雲に覆われた空
真っ白なシーツをふわりとまとう敷布団
おやすみなさい
積み上げられた徒労を包み
疲れた笑いを
しずかにほどいて
瞼を透かす朝のことなど
....
羽の先に春の色を塗って
冬に咲いて人の心を温める
蘭の妖精は見るものすべて
自分と同じ運命にしたがる
瞳の淵に打ち寄せる涙は
あなたの勇気を鮮やかにする
乾いたままじゃ進めない道が ....
春を待つ森の
細いつるは
ほつれ髪
生まれたての春風が
よちよち歩きで髪をとく
手を振るようにつるは揺れ
妖精はコートを脱ぐ時を知る
747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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