電柱を数えていると
母にはしたないと叱られた
数える以外、電柱の用途など知らないから
何で、と聞いてしまった
何で、と二回聞いてしまった
風景の端っこを小型犬を連れて婦人が横切る ....
目の前に置かれたコップに
なみなみと注がれた透明な夜を
一息に飲みほせば
僕はもうすっかり自由になれる
高い窓の鉄格子の隙間をすり抜け
出ていける
幽かな光 ....
ターコイズブルーの湖、三つ
ねっとりと動かず
こんもり黒々とした山々の頂きに
ぽっかり ひっそり
横たわり在る
(空は妙に白く透き通り
皮膜の裏光り)
湖は波一つ立てず
こちら ....
翅をむしって
ただころがってうごめく虫になりたい
じぶんの体をずたずたに引き裂いて
ざくろみたいなかけらになりたい
そうしたらここからわたしは
自由にとんでゆける
と思う
歯を剥いて ....
卒業式があった。
人間を卒業した。
もう人間として学ぶことはなくなった。
この人生で神様のみ顔を仰ぐことはもうないだろう。
私は啓示を受けた。
苦しみや悲しみは消え、平安 ....
鮮やかな色の花みたいな
血管に触れる音が聞きたくて
私は何度も踏みつけて来た
救われなかった過去くらい
丈夫な化石は展示しておく
胸のいちばん真ん中の谷間で
誰か引き受けてくれないかな
....
時計の針が進んでいく
カチカチ音をたてて
時間が進んでいく
目に見えない何かが
境界線は
人が作ったものだから
自然の中では不自然で
その象徴が
時計なんだと思うんだ
時計の ....
誰にも殺されたくはありませんからね
勿論
誰も殺したくはないです
普通に
人間やってきましたから
これから先も
普通に人間やっていきたいですから
誰かに殺されたり
誰かを殺した ....
おもむろに顔を上げると
朝の陽射しが窓から おはようと言いたげに
優しく 今日を運んでくる
不意に 何が今日あるかなんて
条件反射など よぎることなく
少し、まだ寒さが残る季節に微笑んで ....
日付が変わる前、朋と電話で話した
コロナの{ルビ蔓延=はびこ}るご時世を
朋は、コロンブスの卵に喩えた
僕は、こんな時こそ{ルビ詩=ポエトリー}と云った
ここからがスタートライン
目に見 ....
犯人はおまえだという、
心を返せという
恨みごとが
耳に
こびりつく。
深いため息に疲れる
ザラザラとながれる血の色
胸はいつも
おかしな方向から
傷つけられる
まるで望ま ....
重力に左右される泡も
ほっ
と失う
ふっ
と抱きしめられたら
むにむに
したくなる
赤だか 青だか 緑だかの
こんごうぶつ を
人はなぜだか にじ と呼ぶ
それを
逃がすのはいつ ....
汚れているものなんてわからなくていい
わかった瞬間に汚れ始めるんだ
濁っている場所が心地良いなんて思っちゃいけない
濁ってればそれでよくなっちまう
どこに行っても
なにをしてても
悲し ....
唇に冬の終わりの匂いが揺れる
風を運んでくる妖精も
まいにち春の種を蒔く
畳の目一つづつ
陽が伸びてゆく
昼下がりの木陰も
少しづつ色が濃くなって
恋人の歩く道には
妖精が魔法をか ....
眠れない夜の真ん中で
僕は一人過去に入り込む
いつからだろうか
誰のせいなのだろう
どんなに探しても
考えてみても
夢の中で夢をみてるだけ
ひとつのゲームが終わりに近づく
過去の自分の ....
枝に置かれた
ぬいぐるみのように
ムクドリが並んで
眠っている
頬を寄せあって
頭には雪が綿毛のように
積もったままで
目を閉じている
ムクドリたちの巣は
雪を生んだあの雲
....
ざわざわと
視界を埋めて啼き騒ぐのは
梢で触れ合う
青葉たち
輪郭をなぞろうとすると
否定形しか使えない
あまりに崇め過ぎたから
信じるということが
見ないという事でし ....
コロナくんさよなら
さよならコロナくん
また逢う日まで
きみは僕の友達だ
この世は中国人だらけ
きみなしではとても
生きて行けそうもない
だけど僕は鎖国した
江戸時代以来の鎖国なんだ
....
元気でいてね
達者でね
どちらがいいか思案しつつ
祈るように思うのを
何と呼ぼうか
とか
書くからいけないんだろ
誰に愛されたいの ....
春のなかで
君は自由で
ちょっと涙があふれそう
空が
向こう側にむけて
ぎゅうっと伸びていく
薄まっていく
絡まっていく
ぼんやりと窮屈な春のなかで
君は自由で
ぼくは ....
どこだってお隣とは仲が悪い
隣の芝生は憎らしいほど青く輝く
本心では分かり合えない
だから仲良くしておく
それでいい
それがいい
公園に咲いている芝桜
みたらお互い和むでしょう
優しさ ....
小さな胸が弾けた朝に
生まれたてのメロディで
君を包んであげたくなる
些細な爆弾を受け止めて
答え合わせをするように
何かをこっそりと落としていく
気づいているのに知らないフリして
僕等 ....
目を覚ますと隣で寝息を立てている。時間になって起こしに行くとおはようと挨拶を返す。朝ご飯を作ってくれる。CDプレイヤーから流れる音楽に合わせて鼻歌を歌う。午前中に掃除や洗濯をする。午後は仕事に出かける ....
ほら
わらって
わたしみたいに
わらって
いたくないよって
わらって
わらったら
みんなしんじるから
わらえ
音もなく雨が
鳥の羽根に乗って
木立ちの枝を滑って
猫のしっぽにくっついて
雨はどこまで行くのだろう
楽しんでいるのだろうか
綺麗な雨がこぼれていく
誰か拾って下さいな
あなた ....
足元の春を越えて
いつもの朝が
バス停を通り過ぎて
橋の上から流れる朝日を見た
足元の蕾をよけて
春の色した風が
公園のベンチで休んで
明日は咲くよと言った
青空半分は宇宙の色 ....
九輪草の妖精が二人
空に手が届く山で
手をつなぎ
羽根を寄せあって
幸せそうに踊る
小さく可愛い桃色の花
虹で束ねたコサージュ
美しいドレスによく似合う
ゆっくりと
ささ ....
原初のもりのなかには
原初の夢があったのだろうか
生命ははじめて声をだしたときに
詩を綴っただろうか
曖昧な系統樹のはてに僕たちは
何の権利もないことを知るが
それが自由なのか ....
背中の影が
みえないかなしみを染み込ませて
笑ったら
朝になった
そんな
ちいさな窓からは
めにはみえない明るさが
すんなりと射し込んで
失った色を思い出させた
どん ....
今日、JAZZ喫茶映画館に集う僕等は
日常の仮面をそっと外す。
万葉の頃から続く〝言の葉〟への思
いを胸に秘め、見えない風に背を押
され、見えない糸に導かれ、この夕
べに集う僕等は一枚の ....
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