{引用=みずうみに
釣り糸をたらすと
うつくしい皺が外縁へむかい
逡巡をひろげていく
魚のいない惑星では
玻璃でできた液体はとてもあおい
水べの図書館の閉架には
魚偏で ....
ミネストローネは嫌いだと言い出せなくて
目の前の赤いスープをかき回した
浮き上がってくるショートパスタをつついて
どうしたものかと思案する
食べ物を粗末にするのは憚られて
無理矢理口に含んで ....
心の中では著名人である
私を知らない人はもぐりである
この認識が他者との軋轢を生んだ
誰に向かって口をきいているのかと
すると大概、えと、どなたでしたっけ
の返答に怒りを募らせ
こ ....
日々色付く里
地の守り神である
オオイチョウの頭が染まる
昨日はおとといよりも
今日は昨日よりも
確実に変化してきている葉の色
樹の寿命は長い
何世代もの人間をみおろし
年 ....
銃声
砲声
撃音
轟音
悲鳴
静寂
他人には言えない
絶対に誰にも言えない
しでかした酷いことが
両の指にも
収まらなくなった頃
彼女は、具合悪そうに
「夫に言われて中絶してきた。」と
告白した
それを聞いて
....
約束の虹や 導きの星も
信じられない 暮らし
泥にまみれ のたうち回り
あがきもがき 苦しみ呻き
泣き叫ぶだけの人生に ハレルヤ
忌まわしく おぞましい
むごたらしく 素晴らしい こ ....
「瑠璃色の原理」
庭は秋の猖獗
秋桜のはなびらを数えたら8枚だった
8は傾ければ∞そういえば
秋桜のはなびらには
ところどころ
微細な穴があいていて
その穴の淵にさらに微小の ....
「もっとブランコを揺らして!」
「そら行けほら行け、あっちがゴールだ!」
子供たちの声が聞こえる。
公園のベンチで独り座る自分。
子供たちは今日も騒いでいる。
「ねぇ、空から飴が降ってくるよ ....
喪失は流れ消え
乾き切った胸底に
氷食地形の
研磨された岩石の如く
哀しみの蒼い窪みだけ
鋭く冷たく穿たれる
(愛は
私の中にある
思いを伝達しようとする
すべての努力を
根こ ....
西日のざらざらで
描いた影の絵を
なぞる蜜の指
終わろう終わろうと
切っては捨てた
いろいろな物が
日の沈むあたりで
燃え残って鳴っている
世界と水平な心でいて
こまかい こまか ....
文句だけなら誰でも言える
それなら、あなたはどうするの?
やってみてから文句を言って
それなら納得できるから
口先ばかりで何もしない
本当にうんざりしてるのよ
そんなにイライラしないで ....
鉛筆が転がっている
ふっと小さい文字の方が
大きいそれよりもBetterな気がした
いや
以前からより小さく
より緻密なもののほうが私の美的感覚を擽るようだ
そういえば妻も小柄である
も ....
青空、ぽかんと広がっている
陽光は燦々と降り注ぎ
私は床に伏せっている
送電線が微かに揺れ
白雲一つ流れて行く
時は刻々と過ぎていき
青空、ぽかんと広がっている
....
たとえば
並び歩く二人が
気を置かずに話している
一方が振り向くとき
他方も同時に振り向いている
たとえば
双子が同じ夢を見る
電話でその話をするとき
互いの脳裏にはありありと
....
毎日ではなかったが
うまい卵焼きをつくって弁当にいれてくれた
君のできる最大限のことをしてくれていて
ぼくもそれは同じだった
お互いずるさはあったけど
ぶつかるとどうしても引けなかった
....
たとえば接続詞の消えた世界で、そうして人類は文脈から解き放たれ。
ゆえに僕は何にも縛られる事なく、しかし君とは手を繋ぎたいけれど。
秋晴れの日に大事なものを失くした
でも、優しさに救われて
生かされてることを改めて感じる
失くしものは見つからなくても
愛情は見つけた
大きな秋の収穫
時々、独りぼっちだと泣くけれど
....
そうなのかも知れない
そうじゃないのかも知れない
私にとっては
どうでもいい
評価するのはあなただから
ただ私は
無限の宇宙を呼吸するだけだから
「魂のありか」
いろいろやってみたり
よんでみたり
けど
けっきょく
電気をけして
よこになり
暗闇みつめてしか
でてこない
なんにもしたくない
からの湧出か
も ....
この地球もろとも
人間も人間以外も滅びてしまえ
なんてさ
願ったりしたのは
絶望に打ちひしがれたからさ
欲しいものは何も手に入らなくて
いらないものばかり投げつけられてさ
受け止めき ....
寒いから
嫌だといったのに
晴れた日は
まぶしくて
きれいには
見えないよ
という
きみの一言で
傘をさしての
もみじ狩り
秋雨の
生地に織りこまれた
....
陽炎と蜻蛉
幽霊のひだ
「あいうえお表」はほこり塗れ
塵、芥、一掴みの毒
水と観ず
欲し
泣くまで薄めで景色が黄色く染まる前
3.2秒
2号棟でまた人が
黄砂に交差
交錯して工作
....
初めて「結婚したい」と
思ったのは16歳の時だった
別の町に住む
別の学校に通う
一学年上の女性だった
狸小路の階上喫茶で
話し合ったり
季節外れの浜辺を
散歩したり
「 ....
生が喉までせり上がって
うるさくなって
苦味とアルコールが手を繋いで踊って馬鹿騒ぎ
ああ
そういうものであれたらなあ
この胃の腑が馬鹿の遣り方を知っていて
薬をアルコールで飲むようなこと
....
甘柿が夜のきわ
闇の{ルビ臥=ふしど}に熟れ育つ
不気味な{ルビ馥=かおり}する
琥珀の月影のした
微細の夜霧の芳醇を
みえない腕で
....
メロディーが流れ
幕が上がるステージに
黒いコスチュームで立つ
私はマジシャン
ウォンドを振って
メランコリーなあなたに
扉を開け
微風を通して
銀のゾンビボールが
ファンティンシル ....
夢のなかに一年前にお別れをした
貴方が出てきて
そこは貴方の席じゃないよと咎めると
まぁいいじゃない、と言って
いつものように
わたしの頭を大きな手で包んで
貴方の ....
うるさい
うるさい
五月蝿い
どうか私を放っておいて
今更、私に何の用?
枯れてしまった薔薇は蘇らない
捨てられ燃やされてしまうだけ
私の遺体は祭壇の前に安置される。
祭壇と言ってもごく簡素なもので、棺はなく、床にごろんと寝かされる。
坊主の読経はなく、静寂の中に参列者のしわぶきが混じる。
パイプ椅子の上には、懐かしい顔が並ん ....
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