耳を澄ますとね
水の音がする
部屋に一人のときは
それが少し怖いのだけど
誰もいませんようにって
何度も祈るの
信じていない神様にだって
お願いするほどよ
でもその音は ....
窓にノックの音がする
こんな寒い夜更けにやってくるのは
あいつしかいない
上着を羽織ってベッドから出る
夫は眠りこけているいつものように
かすか
とはとても言えないいびきをかいて
....
誰もあたしに構わないで欲しいの
いらないならば切り捨てて
あたしを一人、突き放して
どこか世界の隅っこに追いやって
誰にも相手にされず
一人気ままに生きていくの
だから ....
課題:『「決められるもの」は(カミ)デアルとはかぎらない』を証明しなさい(制限時間100年)
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なぜ これほどに哀しいだろう
秋は雨粒の輝きのように
軽々と走り去り
数々の贈り物を
私の町に残していった
その道を
にこやかな天使が歩み来るのに
あなたが私の朝となり
あなたが私 ....
其の人は南洋にゐた事があつて
だから私は其の人を思ふ時
まづは珊瑚礁の島々と
南の海とを腦裏に描いてみる
南洋の風物は鮮やかで
翡翠の海に{ルビ屹度=きっと}
色とりどりの ....
灰色の朝でも、
朱色の朝であっても、
六時の時報をラジオが伝え、
その日がたとえば八月十五日朝六時のニュースです、と
個性を消した声がする。
日々つみかさねられ、くりかえされてゆく
あたら ....
悲しみは忘れた頃にやってくる
悲しみの上にも三年
悲しみ盆に返らず
千里の道も悲しみから
咽喉元過ぎれば悲しみ忘れる
悲しみの悲しみによる悲しみのための悲しみ
....
ママと一緒に、自由を食べたら、
出ておいで。
ここにおいで。
音も出さずに、いとも簡単に嘔吐することを、
生きていく術としている人もいることを、
目の当たりにしたのです。
パパと一 ....
幾重にも入れ子になった
夢の物語のひとつで
旅する人々が歩いてゆくのを見た
真冬の草原に鉄路が走っていて
旅をしない人々は
白茶けた駅でいつまでも待っていた
旅から帰る人を待っていたのか
....
ふと気がつけばあたりはきわめて複雑で
ちょっと説明のしようがないんだが
とにかく私の左胸ではトビウオが騒いでいる
右手にはねっとりべっとり蜂蜜がついている
左手にはお定まりの手錠で
ここらへ ....
漢方は日を待って塗るべきです
ひみつごっこしたいしたい
昼から夜にかけてもたらされる
ある一定のイメージ群に押し戻される
夕暮れの色は青と赤
上の色は青でそれはおとこのイメージ
逆 ....
夕暮れの中へ
白鳥たちが
旅立った方角を見つめて
僕も両腕を羽ばたかせている
彼らは悲しみを捨てに行った
南国のフラミンゴ
陽気な友の声を聴きたいそうだ
ま ....
そうだな
たぶん俺は今この瞬間と同じような瞬間が永続的にそして連続的につながっていって
たぶん俺は今この瞬間と同じようなことばかりを惰性的に紡いでいくんだろうな
そして君も同じように今この瞬間を ....
手のひらから小鳥が生まれる
4月の終わりにそれは始まり
僕は少しずつかなしみを知ってゆく
朝目覚めると小鳥は一羽生まれる
だからといって何もしてあげられない
飼い方も知らない ....
最終の江ノ電を降り
乗車券を{ルビ車掌=しゃしょう}に渡す無人駅
夜の海を横目に歩き
{ルビ潮騒=しおさい}を背に
なだらかな墓場の階段を上る
振り返ると
西の夜空に暮れる三日月
....
『頑張ったね』
どんなに 響いたことか・・・
あぁ やっと
気が付いてくれる人を 見つけた・・・
心の穴が 喜びの涙でうまってく・・・
ありがとう
この一年 淋しかったけど
無駄なん ....
今日は来ないでほしい。
僕も、君も、
きっと余計に淋しくなるだけだから。
今日、会えば、
君についた嘘を全て告白してしまいそうだから。
あの頃の僕知らなさ過ぎて 大切なものをなくした
いなくなったきみが いつまでも変わらず
あの日に寄り添う
切れた糸は戻らなくても 歩いていかなきゃ
でもなくしたきみは かえらない
どうし ....
まぁいいかと 諦めさせても
心は
探したいという気持ちで 溢れてる
水道の蛇口とめなくちゃ
もう見つからないよと 落ち着かそうとしても
心は
でも まだ希望があるじゃないと 諦めない ....
シッテイル
キミガドウシテ此処ニイナイカ
キミヲ追イカケルコトハモウシナイ
ナンドモ待ッテイテクレタヨルニ
ナンドモマッテイテクレタアサニ
キミガ
ツムイダ声ヲオイカケタイカラ
(よるは ....
悲しさと 淋しさを
試験管に注いで
反応させたら
恋になるかしら?
手をすべらせて
ビーカーを取り落とすほど
白い煙をたちのぼらせて
恋になるかしら?
ベッドの絡まる部分から転げ落ちて
中心となる君のアレにたどり着いた
あぁ もう少しだ
時間がかかることだけれど、大して気持ちいいことじゃない
生優しい君の声と時折かすむ目の前は
アナ ....
夕闇が迫ると
遠い海が騒ぎ出す。
半円形の観客席に
色とりどりの衣装を着け
首から番号札を吊り下げられた人魚たちが舞台を見下ろす。
一人の男が登場する。
おどおどと観客席を見上げる。
....
ベランダ越しの未だ遠くは
氷雨と陽光がないまぜとなり
見慣れた不陸の白い壁へ
硝子に囚われたあまたの雫が投影されゆくのを
掬い 指で 伝い
一筋いきおい斜めにたゆたい
曳かれてゆくものなど ....
舗道を歩いていました
敷石の目地をいつまでも眺めていました枯葉が挟まれていました思わずよけて
雨が
濡らしたのは前髪で
手前に向うに硝子の簾のように
遠近の補助線となりそれはカンバスという名 ....
本島中部の小学校で よくあるように
高台を開いた土地に建てられていました
二年生の教室だけは校庭をはさんだ東側に
平屋建ての校舎でした
その校舎の裏に緑の小さな森山(ムイ) ....
おもちゃを買ってあげるから、
駄々をこねてはいけないわ。
お気に入りのドレスを汚されては堪らないの!
ほら、わくわくするでしょう。
夜中に食べるプリンのように。
ひとつ聞きたいことが ....
常夏の島の書き割りが落ちたら
きっとここは西日の当たる四畳半
でも大丈夫
西日の当たる四畳半で今度は
アフリカ大陸の書き割りを描いて
サファリルックに身を包むから
そう ....
スーパーで買い物をしている間に、外はすっかり暗くなって心細くなった。
自転車に積んだ荷物が重くて、よろけないように注意しながら、狭い四つ辻を車と車の間をすり抜けながら曲がった。
ふいに木に咲く ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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