それは
ニッケルとコバルトの間に僕達がいる
ということ
右手に
五つ
つながったティッシュの箱が
ゆらゆらと揺れていて
差し伸べられた踏切に
笑 ....
男がさ虚で女が実なのか
虚が女でさ実が男だって
どちらがどちらであったらいいのか
そんなことを考えながらだって
日は過ぎてゆくのだし思い切って
電話したのだよ十年前の
あの女にさなんという ....
路肩をゆく
路肩に生まれた草花に
水は流れる
白濁している 川上は
スタンドで
色褪せた枯れ葉らは
かき集められ 縮れていき
側溝に落ちるもの 残るものとに違えられ
買い物籠に ....
きょうは朝から春の雨
森の仕事もできないし
畑の仕事もできないし
海草拾いもできないから
カイとふたりで赤いカサさして
てくてく出かける
ききみみ図書館
司書のおじいさんは
て ....
海はすっかり赤ワインで
空はすっかり酔っているのに
うみろばはまだやってこない
ところで
したり顔でカイが言うには
うみろばの役目は
海馬のはんたいなんだって
海馬ってなんだか知らな ....
春愁なんていまさら歌えない
だからカカカと明るく笑って
カイの住んでる森に行き
おっきな声で春を告げる
おおい、カイ!
起きてよ!
雪の女王はもう死んじゃったよ!
でかけるよ!
....
シャワーは
なかなか熱くならない
歯がカチカチ鳴る
なんでこんなことになったんだろう
鏡のなか
寒さに背を丸めた女が
涙でにじむ
冷たい水が排水口に吸い込まれていく
湯舟につかるわ ....
朝もやのなかで
あなたの顔をみています
あなたが入れてくださった
オレンジペコーのお茶をのみながら
庭の
ねこやなぎをみているふりをして
横目で
あなたの顔をみています
雪が
ふって ....
私の中で
溢れかえる
歌の波
止まらない
止まらない
この心が
つむいでゆく
言の葉たち
次々と
次々と
忘れられない思い出と
今も消えない傷跡
私はただ歌う
誰 ....
耐えられない。
耐えられない。
耐えられない。
耐えられない。
耐えられない痛みならば。
数え切れない。
数え切れない。
数え切れない。
数え切れない。
数え切れない分かち合いな ....
き ん い ろ の 睫 を濡らす 天使のうたう歌は
い ろ に はあらわすことができない
ち い さ な 器から漏れる 闇も光も
溢れて溢れるまま か ら っ ぽ になるまで
....
雪明り照らす散歩道 どれほど月日はたったろう
山茶花(さざんか)香る凍て空の 星に隠れた春の色
落ち葉に染まる並木道 樹々に揺蕩う 君の影
きらり きらり 粉雪孕み さらり さらり 吹き上が ....
意味の無い涙が流れている
君の流す涙の美しさ
君は知らないだろうな
悲しみで歪んでしまった顔
君の感情をぶつけられる感覚
それがとても心地が良いこと
君はしらないだろうな
優しく ....
秋霖 というのでしょうか 長い雨でした
三年 という歳月は 忍耐の最小単位
きみが家を出て一年ほどは手紙のやりとりが盛んでした
やっと抜けるような青空がひろがり快い
晴天がつづいているのだけれ ....
冬の初めのバスターミナル 風がとおる
ねえ、どうかしら
風に たくさんたくさんの紐をかけて
両手に持ったら わたしの夢にたどりつけるかしら
自らが 選ばなくとも 時は流れる
冬に向かう日々の ....
あなたに手紙をかいた
ながいながいマフラーに
愛情だの執念だの絶望だの
うらみごとを鈎針でえんえんと
かきつづけた
読み返そうと
手繰り寄せたマフラーの編み始めに
秋が見える
....
思いきって体を展開
次のうち正しく人体となる展開図はどれか選べ
ア
イ
ウ
エ
の中に答えはあるのか
さらに思いきって
らせんを分解
写真1のヒトを示す遺伝子の正確な塩基配列はどれか ....
冬に匂いなんかあるはずが無い
みんなはうそつきだ
夜の色は刺す頬を
サワーのようだとかミントみたいだとか
冬に匂いがあるという人はみんな
大事にされたりしたりして
お互いの間違いを肯定 ....
真っ白な画用紙の
その真ん中に
僕は
しま
と書いた
画用紙の海で遭難した船乗りが
泳ぎ疲れないように
ある日、画用紙の海で遭難した僕は
後悔することになる
....
冬の高い青空 ジェット機の轟音
ひたと冷たい 窓ガラスに手
カラスの鳴き声が
冷えたビルの枯葉に消えていき
森の枝は 寒風に音を奏でる
そんな 街の片隅に
森の ....
そいつは結構な男で
今は版画を作っている
中学校のとき、鉄棒で
ぐるぐると大車輪をやったときは
体育館の皆がざわめいた。
そいつは夏休み、
1枚5円の画用紙を買って
30日間、ぶっ通 ....
季語は流通する
つんのめりながら流通する
枯れ野を越え、遠山を越え
関東平野を越えて流通する
人から人へと流通する
ある時は雪をかぶった
実南天のように可憐に
ある時は水辺に咲く
....
ギラギラに磨いてもらった
ぼくたちの車
助手席には
ぼくたちが笑って座っている
足元が見えなくても
アクセルを踏み込むことはできた
みんなに恐れられている
緩やかなカーヴ
逸れてい ....
あなたが亡くなって世界はこんなに美しい
おばあちゃんにせがんでおんぶしてもらっている子供
赤く染まった南天の葉
まるく結実した八手
冬の日差しのなかにあなたのまなざしだけが残っ ....
夏の空には白い雲がながれ
暗い緑色の湖にうつる木々
幼い想いを秘めた草いきれ
揺れて動く昆虫の青い狂気
母と若い二人の姉とぼくを
残して夏の日父親は死んだ
集まった縁者は皆知らん顔
....
繰り返しの毎日にしわよせ来てひと休み
いいえただのずる休み痛くもないのにお腹が痛い
中では正論とんがるヒーロー外ではいい人流される
太陽がまぶしい月曜日薄暗くよどんだ火曜日
またいい人しなくち ....
この頃 冬といっても
僕の国や
何も知らない人達の国では
ギリシャ世界のアネクメーネのように
どんなに寒くても
明日への蓄えがなくても
火の点し方さえ知らなくても
飢 ....
ごめんなさい あなたを死なせてしまった
ちいさくて あったかくて やわらかいいきもの
唄もつくった こどもたちも だいすきだった
日々 あなたと過ごすのが きらきらした宝石のように
....
バスケットコート
ゴールネットは木枯らしに揺れていた
とどきそうな気がして
ジャンプした
もちろんいつもと同じゴールネット
とどくわけもなく
きっと中指のもうひと関節ながければという距離で ....
ひとりひとりの背に棲むものが
夜更けに互いを呼びあっている
見えないものの通り道に立ち
腕をひろげ 聴いている
夜の光の下 揺るぎないもの
幾つもの影のなか
ひとりきりのもの
....
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