ひらたく長いパンの両端を
いとおしげに抱えている子
何度も 何かに捧げるように
持つ手を変えては見つめる子
パンはやがて消えてしまうけれど
君のからだの一部になる ....
(父、父、お父さん、と泣く声が聞こえるがあれは誰の声であろう)
(息子か、ならば過去からの声か)
(父か、ならば冥界の声か)
父は失踪をくわだてた
湿地帯の臭気が漂う家族から
父の体臭が漂う ....
墓地へ駆けてゆく
姉を二階の窓から見た
学校の制服を隠したのを
姉の埃臭い制服
血の付いた便器にしゃがんだ
汗のにじむ掌で鈍く赤い
姉の隠し持つ勾玉
汗のにじむ掌で鈍く赤い
血の付いた ....
兄は無口になる
暗さが増してくるこの頃
筋肉を持て余し
内部の膨張を持て余し
彼岸花の咲く川縁は
自転車を押して入る
鷺が落ちるように飛ぶ濡れた地帯
自転車を押して入る
彼岸花の咲く川 ....
こんなにちっぽけなものでも
ここにある と 静かに語る
ただ黙って積もり
その日の風に 明日の模様を描く
その日の波に 昨日の夢を揺らす
永い永い時間を抱いて
ここにある と 静か ....
あんな風景は初めてだった
雪が夜空を染めるだなんて
そこにあるのは白と
白から始まる限りないグラデーション
しかし終着点は
黒ではない
夜行バスの終着点は雪山で
何事にも終わりがあっ ....
あの日どこかに
忘れてしまった
何かに夢中で
あの日どこかに
忘れてしまった
何かが足りなくて
あの日どこかに
忘れてしまった
何かが欲しくて
あの日どこかに
忘れてし ....
この世にはいったい幾つの愛があるというのだろうか。
愛とはなんぞや
自己犠牲
性欲
自己顕示欲
愛の動機
連帯感
優越感
欺瞞
ホメオスタシスの崩壊
意味の崩壊 ゲシュ ....
わたしはいつのころからでしょうか
誰もいないほど遠くに行きたいと思うのです
ひとりでなど生きていけないほど寂しがり屋で
食物連鎖なら間違いなく一番弱いくらいなのに
....
まだ公園も整備されてなくて
材木置き場で資材主の目を盗んで遊んでた頃
もうお家へ帰ろうかという時間に
畑から帰る吉じいは子供達を集め
動物の真似をさせては
これは猿の薬、こ ....
世界の色に 少し気付けるようになった頃
夕立が止みはじめている
負けじと鳴いていた蝉時雨が 世界の全てだったとき
君は僕のバイトの帰りに合わせて 電話をしてきた
君は君に今日あった ....
ものがたりする人の
褪せたシャツのすそに手を伸ばして
でも
そういえばわたしの
ゆびは枯れ木のようにあっけなくもぎとられて
食べられてしまったのでした
(ええ、じゅっぽんとも)
....
[あきらめない]
俺には一番足りない言葉だ
と、彼は言っていたけれど
僕より高給取りだったりするのだから
たちが悪い
昔ばかりに足を引っ張られるのは
それこそ、ほんと、バカみた ....
あまったるいモカ
灰を流し込む
ずっとずっと
満たされない
あたたかい液体
サラサラと体内へ
寒いから
跡が残る
{ルビ天井=そら}をあおげば
口元から上昇する 白
対極の ....
捨ててしまっていいのよ
忘れたっていいの
お好きなように
誰も見てやしないから
誰も咎めはしないから
人間はいつから
速く歩く生き物に
なったのかしら
目をつむって
楽になりたい
でもあの娘の涙を
すくいたい
だから
カラカラに乾いたこの目を
閉じたくない
俺のラフィーネ
お前は意志が強い
一度決めたら
そうする
俺が血の涙を流して
すがっても
お前は行くだろう
俺のラフィーネ
俺と過ごした時間は
お ....
花は咲いても
散っても
その美しさは
心に刻まれて
想い出になる
いくら
俺でも
想い出くらいにはなりたいぜ
「冷静になることも大切だ」とわら半紙の裏に書いて丸めて投げられた。
痛かったんだなあ。それが。
背負いなさい。ルールをさあ。
泡を吹いて苦しみなさい。
そして、死んでしまえばいいわ!エゴな ....
人は気付かないうちに破片を作ってる
大きな破片もあれば小さな破片もある
でも、どれだけ大きな破片を作っても人はそれを気にしない
だって自分が砕いた夢なのだから
たとえ気にしても ....
僕は弓矢の射方もリラの奏で方も知っているが
あなたとの交わり方が分からない
妄りには唱えてはいけない異国の神の名をも洒落にするが
あなたの名を耳元で囁く手管を知らない
苔む ....
背中に乗るのは淡い夢
青い空に白い雲
後先なんか気にするか
所詮1枚の紙キレだ
ほんのり涼しい風の中
明日の空は俺の物
気持ちだけは雲の上
天狗の鼻より大きいが
翼の角度の微調整
子 ....
世界でいちばん
美しいお尻の持ち主の君へ。
ホントーに誇張じゃなくて
こんなに綺麗なお尻が
日本にあったんだなって思いました。
月は、恋人たちの夜をちょうどよく
照らすためにあります。
....
宙に舞う女
くすんだ夜空に溶け合う駅前の噴水をぼんやりと眺める
俺の目がくすんでいるのか、それとも
その答えを出す余裕すらなく
俺は俺の目を噴水の前にたつ女へと視線を移らせ ....
賭けた
恋のゆくえ
書けた
ため息インクの
メッセージ
欠けた
鉢に水をやり
掛けた
シャツに袖をとおす
翔けた
はだしのまま
駈けた
鼓動が歌う
駆けた ....
まえむき に いきると
こっち を みて いうな
まえ を むけ
もう こっち を むくな
もう
そこには
とっくに わたしは いない の に
どうにか起きた
朝5時前
闇には 冬がまだ居座る
動きたくない
温もっていたい
そんな心を 叱りとばして
私の今日が始まる
辛いなあ
眠いなあ
だ ....
三保神社前の土産店で
ママカリを干したのを
またもらった
いわしと一緒に取れるのを
ついでに干しただけだから
いつも無料だ
なにか他の魚を買ってくれ
と言う
竹で編んだ手籠と
....
夫婦だけの暮らしが
単調すぎるのでしょうか
真新しい車に 子犬を乗せて
夫が 帰ってきました
まるで川から桃でも拾ったみたいな
陽気な気分で
私の郷里 佐賀という文字の入ったダンボールには ....
かみしめていると
しめかえしてきた
骨のある
夕焼けで 頬をどつかれると
目尻も裂けて
笑ってやりたくなる
あたしのここの きんに ....
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