夜の街を越えてゆく蝶
飛ぶものたちの音は聞こえず
ただ光の散った跡だけが
道の上をつづいてゆく
雨は低い空にはじかれ
羽のように銀を流れる
光の殻の外側に
飛 ....
春、過ぎて、
夏、来ぬ。
夜、老いて、
昼、盛りぬ。
雨、ほそぼそと、
胸をよぎる。
泣け!
しづかに泣け。
しめやかに泣け。
それから、
....
渚で僕は待っていた
僕がここにいることを
知らないものを
しかしすべては
息を潜めながら
僕がここにいることを
知っていた
そのとき新月は
僕に向かって ....
くろいうさぎが
よりみちしてる
しろいうさぎが
さがしにいった
くろいうさぎが
まいごになった
しろいうさぎも
まいごになった
だけどどこかで
にひきはで ....
黒い喪服を身にまとい、
満員列車が{ルビ都会=マチ}を出る。
{ルビ都会=マチ}の駅では群集が、
ただうつむいて、過ぎてゆく。
毎日、毎日、
誰かが、溺れて、死ん ....
黒頭巾ちゃんが寝ているあいだに
内緒で神さまをこわしてしまおうか
慈愛のシャワーがどうしてもやまないなら
谷間のユリ
という名前の薔薇をささげよう
あかいゴマシオを世界にふりかけるよ ....
あなたの服に成って
あなたを包めたら
あなたの靴に成って
あなたを運べたら
そんなこと が出来たなら
そんな風 に成れたなら
どんなに幸せでしょう、と
夢、見るのです
月になりたい
あの人の足元を照らす月に
風になりたい
あの人の肌をくすぐる風に
空になりたい
あの人が見上げる空に
道になりたい
あの人が歩き続ける道に
死にたい って
呟いてから
やりたいこと
思い浮かんじゃった
死のうかな って
剃刀持ってから
やりたいこと
思い浮かんじゃった
死んじゃえ って
手首に当ててから
やりた ....
長い長い眠りから目覚め
ゆっくりゆくっり目を開ける
繰り返し繰り返し見ていた
悲しい悲しい夢が瞼をかすめる
なぜこんなにここは白いのかと
あたりを見回す
白い壁
白いカーテン ....
28から7を引いたら残りはいくつになりますか
答えは0です
私は除かれた7だったから
+
ことがそろそろ長くなってきたので
座ぶとんを引いてパチンと切った
ことは勢 ....
スクランブル交差点
にて
青信号を
待って{ルビ居=お}りました
賑やかに話す
女子学生の群れ
が 居りました
自転車に{ルビ跨=またが}り
先を急ぐ様な若い男 ....
108号室のスガワラさんは
ボンノーのかたまりのようなひとです。
っていっても子ボンノーですけど。
今日もまたカベごしに
「たかい、たかーい」
ってきこえてきます。
「たか ....
架空『少女事典』
この事典には
世界中の少女という少女の
すべて
が網羅されております。
コレ一冊で
少女に関する疑問難問
すべて氷解すること請け合いです。
しかしこの事典は架空の ....
海からは程遠いこの部屋で
僕はパン生地をこねる
できるかぎり薄くひらたくのばす
それを焼くための釜がないこの部屋で
彼方の水面
君は手をかざしていた
何が見える?
「何も ....
色々なものを観てきた汚れた目に
映るものは腐った世界ばかりで
嘘を吐きあう動物たちは
己が一番と罵り合う動物たちは
笑って昨日の友を裏切る動物たちは
命を尊くも想わない動物たちは
醜き ....
春のこときりが潰れている
車掌が帽子を被りなおすと
老人は ん、ん と頷く
車掌の髪型をこときりは知らない
誰ももう待たないからだ
停留所の老人は一日をそこで過ごす
足元には夏のことき ....
歌えない言葉を
旋律に乗せて
何もない黒に
色を飾る
踊る指が
溶けてしまうまで
永遠に、永遠に
かようびのあさ、あしでうずまくこうさてんのまんなかにまっかな林檎がひとつある。
伸びた髪にそよ風は阻まれ
わたしはまだ暑い
みずたまりの波紋が言い訳におもえて
それでも挨拶をおもいだせない
朝でも昼でもないこのとき
傘をもって闊歩する人間の
足音はここまでとどくは ....
冷たさが遠くで
小さく音をたてている
防風林に少しずつ
柵がまわされてゆく
巣離れの近づいた
鳥たちの声が聞こえる
曇の表情の少ない日
声はどこか散りぎみに届く
....
声帯で
黙殺された孤独は
肺に
積もったようでした
声帯で黙殺された孤独は肺に積もったようでした
そして、やがては
床板に屈した体を
どうしても規則的に置いてゆく呼気に乗 ....
泣くのが
難しいときは
笑うのも
難しいとき
ちゃんと
泣けるときは
ちゃんと
泣いとこ
つらいからつらいと言ってちゃ意味ない夜
扇風機の風が前髪をゆるがして
そうだ
つらい衝撃からまだ泣いてない
ひとつ
電車の中でじゃ泣けない
情けなくて
炭酸飲料をストローで飲む感 ....
一万人にひとりの確率です
ああ
そうですか
ここは100万都市だから
年間にして100人くらい
だから
3日に一度
同じ病名の救急車は走る
一万人にひとりの確率です
そう
....
王子様は来ない。
おたまじゃくしはカエルになるけれど
何度キスしたところで
カエルは王子様にはならない。
眠り姫は絶対に目覚めない。
夢の中で僕は愛されていないから。
シンデレラは ....
こつこつ
ノックは
なんのおと
ひたひた
しみるは
なんのおと
ぼくの
まわりで
ちゃかぽこ
ぴょん
ざぁーざぁー
いったり
きたり ....
部屋の中に虫がいっぴき
ちょっと丸っこくて不恰好
自分とちょっと似てるかなと思って
ふらふら飛んでる その虫を
しばらく 鑑賞
隣の部屋からあくびが聞こえ
どうやら ....
雑踏の中を歩くのは苦手
自分だけが取り残され
ひとりぼっちの椅子になりそうで
ひとりぼっちの椅子になりたくなくて
そっと彼の手を掴んだ。
こぼれる笑顔とは裏腹に
伝わってくるのは無機質 ....
月にテープを送ろう
これが僕の声だよ
誰かに似てると思うかい
風の速度も知らないし
今日も素面で歌ってる
虫に答えは譲ろう
僕は分からなくていい
悟りは空に任そう
....
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