地下鉄のホームに立って
銀色に光るレールを
じっと眺めていた
薄暗い水銀灯の光を反射して
日本刀のように
静かな輝きを放つレールを
瞬きもせず眺めていた
このレールがどんな金属でできてい ....
私の中に
さかなが棲む
私の知らない
さかなが棲む
何も知らないくせに
あなたは
さかなを求めてる
そうして
私は
さかなを解き放つ
自在に泳ぎ
反らし
そこは ....
明け方、夢ばかり見ていた
浅い眠りから目覚め
蛇口から漏れる水滴に
自分が映り
規則的に繰り返していく音を聞いていた
外に出ると二月の白茶けた太陽が
瞳に弱く差し込み
踏みしめた足元を照 ....
あ
なた
好きだよ
今もね
好きだよ
口まねで言ってみる
ガラス越し
冬
僕が行く。
片手の平を道路にぴったりつけ、よっと逆立ちをする。
逆さの足は宇宙が吸い込んでいくように、空を飛びたがっている。綿パンのはためき。
そして、右手に力を入れ、道路を押す。ふわりじゃ ....
スプーン一杯の蜂蜜を注がれた耳は内側に発芽する
そうやって きみは女王なんかじゃない と羽音のように囁くのだ
左脚だけで歩く纏足のきみは
琥珀詰めの鱗翅をポケットに閉じこめ
鎖骨に ....
覚えてる
迷ったときの指先のちょっとした仕草とか
暑い室内でむっと漂ってきた身体の匂いとか
正午、君がサイレンの口真似をすると
僕らは作業を中断して
いつも小さな昼食をとった
今日 ....
風の流れにあわせ
煙草のけむりが
めまぐるしくまわります
覚えたての匂いは
どこか懐かしく
どこか悲しく
煙草をもつ白い指
深く吸い込んでは 吐き出す仕草
背伸びしても届かない
....
ぼくはもう二度と
海なんか
恋しがったりはしない
何もかも脱ぎ捨てて
素っ裸で泳いだあの夏の海を
恋しがったりはしない
おまえが耳元で囁いた
あの言葉を思い出して
涙ぐんだりも ....
笑う
もう逢えないから
上昇気流に乗って、すばらしいオオカミの毛皮が舞う
運河と気体は太陽がオレンジ色に染めた
黒髪を揺らした君の太ももは堤防の上に座り
回転する渦からは10 ....
トレーの上にはホットココアが2つ並んで運ばれてきた
「おまたせしました、ホットココアです」
君の目の前にはココア
僕の前にもココア
2つのココア
君は一瞬なつかしい顔をして
ココアのカップ ....
ほんとうはわかってる
そのさみしさが正当でないと
あなたに
認めて欲しかったんだ
世界中の
花も風も
あなたを
内包して揺れる
あなたに
認めて欲しかったんだ
....
JR大阪駅前のこの街で一番せっかちだと言われていた信号
まばらな人をかき分け入って行く
托鉢の僧侶が般若心経を上げ時折鐘の音が響いている
信号が変わる迄の待ち時間
待ち人は ....
思考が
ゆっくりと剥がれ落ちていくような、真夜中の辺りで
時計を逆さまにして
そのリズムに
あくびも忘れて
巡る、巡る
体の中と外を行ったり来たりで
まとまらない、指先の行進、深く
....
あした晴れたら
レモンキャンディー舐めながら
コンビニ強盗でもやってみようか
それとも
この腕枕している右腕が壊死するまで
きみとふたり眠り続けてみようか
涙が 肌とティシューに沁みていきます
私は 電源の切れた暖かい携帯を握っています
目が それ以上の涙は受け付けませんと言っているのに
私は 溜めていた重油を搾り出すのでした
胸が 波止場へ着く ....
{引用=いくつもの山をこえ
風は現れて
少年たちのてのひらに
しみわたる
あおい糸はまぼろし
淋しきはほこらのともしび
あおい糸はまぼろし
淋しきはほこらのともしび
うたは響 ....
あなたの肩にあるものを
わたしも一緒に背負いたかった
あなたが歩くその道の
景色をともに眺めたかった
でもどうぞご安心を
わたしは理解しています
あなたの力になれるのが
決し ....
高層ビルのすきま
通勤ラッシュの駅のホーム
それに似た、二酸化炭素の中
で
たりない、
たりない、と
うわごとのきみたちを
いつだって満たしてあげたいと
信号を送っているのだけれど
....
先に子どもたちの声が消えた。流氷のひしめく冷たい海に放り出さ
れた私たちの生きようと叫ぶ声がむなしく響く。この海のなかでは
私たちは完全に無力であった。この冷たい氷の海のなかでは。
脱出を試 ....
丘に寝そべっていた少年が
組んだ足の先で 空を横切る電線を踏む
と
はりつめていた空は ぴりりと裂けて
へき開し
裂け目の奥からふうわりと
薄紅や
橙や
菫色の花びらが
うっとりと目 ....
手を繋いでいた記憶なんて、
思い出せないほど遠い昔の出来事だと
5個になったピアスホールの
完成しないぐじぐじを指ですくいとって
湿った指先をそっとあの頃に突き刺しておもう
掌の隙間は、 ....
白の終わり
マラソンコースが変わった後も毎朝堤防まで走る
その道程の 掻き曇るどころじゃない
レモン臭い息たち
ゆずの終わり
できたばかりの新しい大きな橋が
デートスポット扱い ....
こごえる
声の
淋しい温度
舌は口の中に引きこもり
のぼってくる苦い味にじっと耐える
やわらかく
ただやわらかい音のままにこごえる
もえることのない白い声
たとえばここで
たとえばそ ....
青い地球を
踏み締めると
波
波が立つ
強く
つうよく踏み締めると
津波
津波が襲う
青く美しい地球
が
またさらに
青くなってびっくり
僕は慌ててにいげ出した
ま
当 ....
ケルナグール!
ケルナグール!
バレンタインケルナグール!
ポイントするならチョコをくれ!
発狂しながら夜を越え 朝を迎えた2・15 曇り
牛乳の入ったマグカップ
右手にあるその重さとその軽さ
トースト
トマト
スクランブルエッグ
生きるということの重さは
生きるということの軽さ
そこまで考えるといつも
ねずみがえしの ....
やあ
久しぶりだな
調子はどうだよ
おれは最悪だな
聞いてくれよ
ここんとこずっと
酷い下痢なんだ
そりゃそうだよな
起きてる間は
ずっと呑み続けてるからな
あらゆる酒
酔えるも ....
そうしないとなにも始まらないし なにも終わらない気がするから
ただ昨日のあの人について なにも言うことがないけど なにも言えないけど
たとえばしまりかかった踏切に間違ってはいりこんでしまっ ....
ブッダに会っては
ブッダを殺し
キリストに会っては
キリストを殺し
総理大臣に会っては
総理大臣を殺し
大統領に会っては
大統領を殺し
王に会っては
王を殺し
....
5781 5782 5783 5784 5785 5786 5787 5788 5789 5790 5791 5792 5793 5794 5795 5796 5797 5798 5799 5800 5801 5802 5803 5804 5805 5806 5807 5808 5809 5810 5811 5812 5813 5814 5815 5816 5817 5818 5819 5820 5821
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