色画用紙に一日の花を描くよに
夏服の少女の贅沢なアトリエは
少し柔らかなメイプルの
敷き詰められた木床の上で
重なるパウダービーズのクッションが
転がる足先まで受け止めた ....
「夏休みはいらない。リセットボタンがほしいよドラえもん」
ドラえもんはどらやきを食べながら
うんざりした顔で
その丸く白い手を一瞬、僕の胸におしつける
「♪りせっとぼたん〜♪」
....
はじかれていく日々から
耳にさわるにおいをすくって
見えた音を食べた
記憶の不確かさで
昨日に何をしよう?
忘れ物や偶然の危険が
おかしくて笑い出してしまう
存在を認められた上での否 ....
いくつか 折りたたんでいくうちに
角が たくさんできるから
どこかの角で
会えればいい
続かない我慢が
言葉を避ける
触れるものは きちんと
きちんと きちんと
....
誰も気付かない
雑草に埋もれながら
濁った太陽を浴び
くたびれた大地に根を張り
凛と
揺れる花びら
意地っ張りな道の端
譲れない生き様
誰も振り向 ....
アイラブユー
「アイラブユー」なんて遣わない
日本人として遣えない
恥ずかしすぎて遣えない
「愛してる」
もっと遣えない
遣えるヤツは日本人じゃない
アイラブユーってなんです ....
この皮膚
だけでは足りないんだ
さかなのように
うろこをもたない
ボクらは
そんな生き物だから
だから
あらゆる皮膚と皮膚
重ねて
重ねて
夕暮れと
ひとつになっ ....
昔から僕の家では朝は紅茶で
それも普通のティーバッグで作るやつなんだけど
僕はそれが好きだった
透明なお湯に少しずつ漂うように染みていく
あの色が好きだった
自分の世界が少しずつ広がるよ ....
時は平成十七年
四川風中華大学三年
{ルビ六九五十六=ろっくいそろく}
優勝できたのもみんな
ランナーズハイのお{ルビ公家=くぉげ}ですと
ぬくゎるむ
{ルビ帰=くゎえ}りのバスで
家路 ....
家具屋に行った
広いフロアを丹念に見て歩いたが
家具はどれも高くて
困ってしまった
結局小さな置時計をひとつだけ
買って帰ることにした
また時計を買ってきたの?
呆れ顔でそう言う妻に ....
こんにちは
頼りのない足取りの青年が囁く
こんにちは
つぼみのままの桔梗のようなからだが
治療病棟の個室に吸いこまれる
「若松さん。」
人の傷跡が残る廊下に ただよう消毒液のにおい
若松 ....
風を含んだふくらみが
道からひとり飛び立とうとしていた
波は空を洗いつづけて
地平に着いては羽になった
指は闇に触れていき
倒れたままのかたちを知る
波を無色の魚 ....
ぼくは朝密会する 紙ナプキンに包まれたナイフの鋭さと
百枚の引き戸も百代の先祖もけたたましい音を立てて開く朝に
戸を静かに閉めることをしめやかにとは表現しない
だが軒先のタイル工事はしめやか ....
言葉を並べると世界になるのに、
世界が並ぶと、言葉にならない。
それでも吐き出す夜空に吐き出す。
曖昧を、混沌を、不明瞭を。
紡いで象り溜めて放って―――
それで壊れる。
色も匂い ....
すべてが偽りの世界で
僕は嘘をつきながら
生活している
本当の事は信じてもらえず
偽りだけが曲がり通る現在
自分でもどれが真実であったか
忘れてしまった
必要ないから
消したの ....
しみったれたあんたの背中
パンと叩いて
さよならしてあげる
なんてらしくもない小気味良さで
バイバイ
ヘッドライト後にして
なんとか見上げた空の横っちょ
さっきか ....
描かれるだけのキャンパスは
描かれ続けたすえに自分だけの色を見つけ作って
それをみんなに見せれば
みんなはあまりの綺麗さに嫉妬したり
自分達の色に合わない、とかどうでもいい理由でキャンパス ....
好きだったのは
こうして静かに
時計の鼓動を聞きながら
ふたり黙ったまま
くるはずのない奇跡を
じっと待つ時間
それは永遠
無限に続く鍵盤のようだった
あなたがいなくなっても
....
やるだけやって
あきらめよう
ここでやめるのは
早すぎる
やらなきゃ 何も始まらない
先のことを考える前に
今を考えよう
後悔は あとで できる ....
水槽の中に見える青空の
水面の雲の魚達の
そのはやきこと風の如しの
パレード
の!
めを つむり
くちづけを待つ
1びょう 2びょう
めを あけて
みえたのは
うすぐらいてんじょう
鼓動の早さだけが
熱を帯び枕に響く
雨に濡れるのを忘れた人が、信号の前で返り血を浴びている。どんよりと、ただどんよりと生きていけ。おまえの夜の病はいまだ進行中だ。魚群探知機に映る影の人びと。探そうとしてもけっして探し当てられない影の呼吸 ....
誰が為に
僕は生きる?
自分さえ
救えないのに
誰が為に
僕は叫ぶ?
君の声さえ
聞こえないのに
まるで
世界中で
ぼく
一人だけが
すべて ....
こんな関係やめましょう
それは大人の理屈です
それでもずっと続けたい?
それは子供の理屈です。
ブローチを包んだふたりの手のひら真珠貝
そのまま取って置きたいと思った冷たい毛先のにわか雨
ひとつひとつキズを覆った笑顔真白より少し優しい
決して触れ合うことはない生きている限り
....
内気な髪の毛を燃やす
心臓の底で
なめらかな顎の先に
惑星がある
両腕の付け根のドアを開く
傷ついた銃声
お前は私の女なので
お前が誰と寝ようが詮索はしない
私はお前の男なので
お前に誰と寝ようが詮索はさせない
お前は一六五センチの背丈を歪めながら
私のためのじゃがいもを茹でている
お前の ....
ビルの角の一点に光があつまる
ぼくの身体は痙攣してまるでお笑い種だ
霧のように漂う亡霊のような人たちが
ぼくを捕まえにくる
できそこないの死!と
叫びながら
おまえら ....
棺桶に釘を打ち立てる音
葬儀場に響き渡って
弱い子供はわけもわからず泣く
強い大人も少しだけ泣く
おしまいの音
おわかれの音
日常の扉から ちょっと寄り道して
いらっしゃいませ
荷物をお預かりしましょうか
溜息をお預かりしましょうか
洗い晒しのジーンズを着るように
....
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