夜風を浴びる、眼を瞑り
うっとりとして、遠い汽笛の音を聴く
夜風の冷気に、夜風の霊気に
何かがざわめき蠢いて
網戸の向こうに、唸る街
ゴォーッと木霊が反響し
波打つ孤独な内面が ....
いちばんだめなのが
いちばんなのだという
おかしな理屈です
それは
まちがっていますとも
なんかいめの
まちがいだったか
誰も
もう
覚えておらないのだ
もう
だれも ....
子供たち
と
遊ぶ
白い獣、
むき出しの
牙
と
ビスケット
緩やかな陽射し、
庭の歓声、
他愛ない時の流れの
そのひとこまに、
静止した
笑みは
遠い空に消え
....
目がいいというのは
単に視力のことだけではなく
同じものを見ていても
目に留まらなかったりすると
目が悪いのだと
たとえば一枚のスクショからいろいろなものが
見て取れるのだが
流行り ....
宇宙が身近になって、行来できる船もできて、
酸素に依存しなくなって、キラキラと走る星がある。
星を持って走るテコ職人。
星の雛形の宝石。文字の意志を受け継いで、
無言に喋るメッセージ。 ....
水面をうねり進むのは
中州と呼ばれているものだ
息継ぎもなく川を這う
その背で
菜花の黄が
もえている
微かにひかる
ガラス片
あれは
人の手から
逃れて
中州の鱗に ....
靴を脱いだ時
紐を解いてみた
靴ひもは結んだままだった
靴ベラで無理やり履いて
踵を押さえて無理やり脱いで
足を守ってくれる大切な靴
ストレスをか ....
寂しくて寂しすぎて
そこら中の携帯を徐に鳴らしていく
すぐに返答か返信は来て
少し満たされて
わざわざ時間割いて会ってくれる人もいて
なのに会ったら会ったで
数分もせずに虚しさ ....
やけに赤い夕暮れ
仕事で何度もミスした
気持ちは今も落ちたまま
仕事帰りに独り酒
初めて入る古びた居酒屋
温かい店主の声がもやもやを取る
料理の良い匂い
酒の良い匂い
楽し ....
野の薊を食卓に飾りながら
一杯のコーヒーを飲む
小鳥の囀ずりを聴きながら
青空を眺める
散歩の途中に独居老人を尋ね
世間話に花を咲かせる
コロナ下でも
小さな幸せは
ある
五月連休
オートバイで峠を走ると
舗装路の小石がよく動く
道路を横断する毛虫だ
轢かないように
かわしながら走るのだが
クルマはそうはいかないので
轢かれてしまうのかもしれない
醜 ....
君も詩人なら
透明なペンくらい持ちたまえ
黒い万年筆とか
青いボールペンとか
そんな当たり前のペンで
満足しているようじゃだめだ
透明なペンなら
どこにでも言葉を書くことができる
しか ....
夜更けには
私からもう一人の私が抜け出して
アパートの部屋から出て行く
すっかり暗くなって
静寂に飲み込まれた市街へと
彷徨い始めた
まるで夢遊病患者さんだ
コンビニの明かり ....
今、「芋」の意味について討議している
「芋の{ルビ力=power}」を{ルビ蔑=ないがし}ろにすると云うことは
忌む者に「忌め」と云っているようなものなので
今後、{ルビ寧=む ....
ああ、とつぶやいていた五時間目
友達と 中学校の頃 僕は
教室の隅で互いの顔の絵を描いていた
そして部活動に明け暮れていた
学園祭で土井ちゃんは
ギターの弾き語りで出演して
松山千春の「銀の雨」を歌い
喝采を浴びたのを横目に見ながら
そんな風に歌うことは
格好悪いことだと信じて
疑わなかった
だから
雑 ....
やぶりすてた青空をつなぎあわせて
あおじろく
笑っている。
かわいた靴音をのこして。
観客は、
だれも、
いない── ....
うつくしい
ものが
欲しい
むさぼるように
あるいは
沈み込むように
この涼やかな
夜風を浴びて
半ば発狂し
半ば落ち着き払い
細胞の、一つ一つが覚醒し
脳髄の、うっとりと微 ....
放り投げられたタオル
頑として掴もうとしない主義
一歩間違えば
要領が悪いとしか映らない
どんなに時代が流れても
根本的な生き方までは変えられない
時を経るごとに
無理してまで変 ....
良く
見せようと見せようと思うがあまり
付き合って2週間の彼女に
「ここは俺が奢るから」と
今月は余裕がないことをひた隠す
良く
見せようと見せようと思うがあまり
ニートの息子に ....
嗄れた外気の中で、うたは旋律を失い、ポエジーは冬の蔦のように絡まったまま変色していた、ポラロイドカメラで写してみたが、案の定浮き上がった風景にそれらは残されてはいなかった、なのでそれを幻覚だと認識した ....
秦基博が中学校の後輩だ
ということはさておき
自称詩人高タローの代表作
「相模大野には夢がない」で始まる自称詩集
千代子抄の主人公千代子の生涯を描いた朝ドラは
史上初めて
主人公が発狂 ....
しおれた花の残骸が
赤茶け風に揺れている
昨日まで芳香を放ちながら
今は萎びてうつむいて
流れていく 流れていく
衰退の相、必滅の法
萎れた花の残骸は
やがて地に落ち来年の
春 ....
月曜
溜息
火曜
退屈
水曜
灰色
木曜
ブルー
金曜
逃避
土曜
一息
日曜
一瞬
先のことは
だれもわからない
行きつくところまで
行かないと
おさまらないのだろう
僕は今日も
目の前のことに集中する
鶯が
今朝も
きれいな声で鳴いている
曖昧な
真の時空に咲くエバァと小鳥
ひっそり想い出かたり
狐と狸
蕎麦屋うどん屋に鎮座する
鳶と猫の視線を意識して
雨上がり
ボラは唐突に跳躍をはじめる
これ見よがしに
....
夜の僕は昔社用車で
走っていた でも ブレーキも忘れて
踏みこんでいた 金曜日の夜のアクセルを
黄色い光の側道の 高速道路を
MP3圧縮の音楽を鳴らしながら
僕は立ち止まっていたのだろうか ....
世界は夢
夢のなか
さ迷っていた
あてどなく
銀輪は廻り
戻って来る
何度も何度も
同じ場所
途方に暮れた
やじろべえ
帰り道を喪失し
戦慄狂気
均衡保ち
銀輪はひたすらに
....
ざあざあと傘が泣いてる
交差点に人はまばら
忘れ物をしたようで振り向いたら
世界はどこにも無かった
息苦しさがどこから来るか
白く塗りつぶされる前に
見つけられたらいいのに
ぼくは錠 ....
きみの背後にはたくさんのごみの山がみえる
そのごみの山について
ぼくはいくらか考えてもいいだろうか
すずめが初夏のこずえにとまって
世界が軽やかにバウンドする
そんな果てなき午後の池のほとり ....
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