雨の道を歩く、水溜りの歩道。
灰色の雲は灰色の光を閉ざす。
届かない熱は届けない大気を怨む。
振動に驚く大気の呼吸。
こもる音。飛び去るフラミンゴ。
やがて、届かない、熱を想う。
....
しっぽしっぽしっぽしっぽ
おまえはしっぽ
俺は
おまえの意志に全く従わないそのしっぽを
ぎゅって掴んでやるぜ
しっぽしっぽしっぽしっぽ
おまえはしっぽ
しっぽという名
....
あなたの名前も
あなたの素性も
何もいらないのよ
そんな必死こいて説明する必要ないの
あなたの生い立ちや
あなたの前科なんて
関係ないのよ
何も弁解する必要なんてないの
このボ ....
緑に呑まれた家のかたわら
雨が次々と壁につかまる
二匹のけものの哭き声が出会い
遠くからさらに遠くへと
逃れるように午後を越えてゆく
空を影の卵が流れる
涸れか ....
干乾びたのだろうか 私は静かに干乾びていくのだろうか
風の強い静かな午後 ほら、耳の裏側で
ガラスの器 丸く並ぶ石粒 揺れる水
指を離す ゆびをはなす 知っているのに・・・
鳴る音は飛沫 ....
女が化粧している
裸の背中を私に晒して
射抜くような眼で
鏡に映し出した己を見る
内にある存在へ
女の手は問いながら作用する
ただの身だしなみでも
誰かに見せるためでもなく
太 ....
ふくよかな双丘には
産毛のような若草が萌えていて
双丘を駆け登る風が
君の可愛らしい鼻歌を遠く麓から運んでくる
双丘の頂きから下界を眺めると
みぞおちへ下る急斜面は
真っ逆様に転げ落ち ....
[は]
蜂の翅より
はるかに儚い翅です
はらはらとはなやかに
花火ははぜるので
はたはたとはげしく
旗ははためくので
儚い翅は
はずみはねる春に
はにかみ
はら ....
駅を出たら
あれあれ
困ったぞ
駅前のコーヒーショップは目一杯
こりゃダメだ
ハイヒール蹴立てて
走れ走れ
歩いて8分の道のり
すぐにバテました
なんでこんなことしちゃったんだろうな ....
青白い蛍光灯 壁はなおさら真っ白で
音は何も聞こえてこない 聞こえない
この部屋に体二つ 呼吸は一つ
とても不思議 とても不思議
線香の香りは 僕の吸ってる煙草の匂いを消せない ....
猫の手も借りたいくらい
忙しかったりしてる時も
日溜りで遊んでいる
となりの猫を掴まえて
手をとってバンザイさせてみたり
ぷにぷにの肉球を瞼に押し当てて
和んでみたり
そんな時間はあ ....
宝の地図を頼りに
ひた歩く森の緑の匂い
素足に刺さる茨の棘も癒されて
掌にこもれ陽を受けながら
小さな影を追いかける
悲しみなら深く
悦びなら永久に
真昼の森は爽やかな喧騒
小 ....
追いかけても
追いかけても
つかまえられなくて
すぐそこに
あるように見えたので
ちょっと
手を伸ばしてみたけど
ちっとも届かなくて
とても
遠くにあるんだ
ということに
....
誰も知らないどこかの
小さな部屋で
歌わなくなったピアノに
ほこりが積もっています
鍵盤を叩けばまだ鳴るのに
音符はまだカエルになってないのに
歌を忘れてしまったのは
きっとわた ....
私は夏雲のあるこの空に
人差し指を差し込んで
この青空の
その底にある
人肌の群青に触れようとする
そのぬくもりは昔日の
小さなおまえのぬくもりに似て
あわあわと崩れそうにゆれる
いつ ....
肌の色も言葉の壁も乗り越えて友ができる今
地球上の世界を3つに分けるとしたら
あなたならどのように分類しますか
政治的 宗教的 経済的 地理的或いは何?
歴史は繰り返すと思いますか ....
いちわ
いちわ
はだけられた
よい の くち
ちぢこまって
のがれられない
ひざし に
いぬかれる なら
もう みえない
だきしめて
あたためてい ....
今日も響き渡る騒音
『また始まった』
そぅ深くためいき
目線がわたしに集まる
『もうやめてよね』
でも怒ってにやけてしまぅ
だってね
あの人の騒音は
幸 ....
ねまきのまま街をあるいて
みずしらずのひとにじっとみられた
さみしくてふるえだしたからだは
じぶんで抱きしめた
よそゆきじゃなきゃだめなのに
うまく笑えなくて
お化粧もしなきゃだめ ....
一匹の首輪もない野良猫が死んだ
道路で車に撥ねられた
血は既に乾き 赤い染みのよう
その猫は
必死に捨ててきたのだ
あるいは
必死に守ってきたのだ
そして最後がこれ ....
不器用だから 遠まわしには言えなくて
素直じゃないから 直球にも言えなくて
伝えたいのに
伝わらない
「あいしてる」って
たった五文字に 全ての心が詰まるから
君は僕に笑顔をくれる
君は僕に愛情をくれる
君は僕に幸せをくれる
ごめんね
僕は何もお返しすることが できないよ
だから
せめて今は
君の隣で 唄を歌う
光
清い、白の
まだ濡れている
瑞々しい、ナイフ
フォークの曲線
その後の先端
グラス
の中の水
に落とした氷
純潔、純潔、純潔、衝突
高音 ....
「誰しも、初めてから始める」なんて。
諭すように言われた、朧気な記憶
けれど、初めてなんて何ひとつなくて
ぜんぶは、きまりごと。
その決まりごとの中で藻掻くの。
初めてはレールの ....
朝、ベッドの脇置きっぱなし飲みかけのコーラは
君が捨ててしまったみたいで
だけど君は相変わらず何も言わないから
あれは静かにただ流れていっただけなんだな
淋しく吸い込まれて
どこへ行けるでも ....
えのぐでも
けせなかった
いろがみをかさねても
けせなかった
くぎでめちゃめちゃにひっかいても
けせなかった
もやしても
あきびんにつめてすてても
うらにわにうめても
けせなかった
....
降り立った駅のホームには
潮の匂いの風が吹いていた
タクシー乗り場では
タオルを首に巻いた運転手が
ワイシャツには不釣り合いなほど
日焼けした顔で機嫌よくドアを開けた
エア ....
夏の暑さがまっすぐに降り注いでくる。この
暑苦しさの中ですべてを腐敗させて、振り返
ることのない心を育ててゆく。流れる汗の臭
いとともに、空気が汚れてゆく。この世の混
沌を測るものがないのなら ....
夏にゆうれいがいなくなってから
夜はとても蒸し暑くなって
何だか過ごし辛くなった
ゆうれいを捜しに
ときどきぼくらは心霊スポットに出掛けるけれども
工事中にたくさん人の死んだトンネルにも ....
何キロ四方の石盤の上に
100年に一度、天女がおりてきて
舞を舞う
ふわりと衣が石盤にふれる
くり返し
くり返し
気の遠くなるほどくり返すと
ほんの少し石盤はうすくなり
やがては、すり ....
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