降りそそぐ雨に濡れた道の上
白々と曇る空を{ルビ仰向=あおむ}けでみつめる
一匹の{ルビ蝉=せみ}
七日間の命を一心に鳴き続けた
体はすでに白く{ルビ濁=にご}りはじめ
六本の細足は宙に ....
あなたがいれば
それでいい
それだけでいい
綺麗な服も
地位も
名誉も
いらない
色褪せた服でいい
どこにでもいる
だたの人でいい
あなたがいれば
いい
もうそれだけで
いい ....
何か悲しいことが?
わたしは涙を流している
そう聞かれたら分からない
だって涙を流すのは悲し涙
うれし涙
くやし涙でしょ?
うれし涙はすぐわたしの目からこぼれるの
くやし ....
明けない夜はないんだよ、と
良く人は言うけれど。
私は歩く。歩き続ける。
私は朝の光ばかりを歩いてきた。
強がりの顔で。戦いの腕で。
光の先へと。輝きの果てへと。
....
その角を曲がると
いつだって彼女は立っている
そこに、体に付いたしずくを払って
その度に小さくなっていくようだ
しずくが地面に消える分だけ
ビルはその背丈を伸ばして
猫たちの逃げ込む隙間を ....
16歳。
もう16歳。
なのに頭は子供以下
自分が欲しいものを手に入れたくてダダをこねているならまだ子供だなぁですむ。
....
青のクレヨンでお日様描いて
黄色のクレヨンで空描いて
緑のクレヨンで雲書いて
赤のクレヨンで人間描いて
灰色のクレヨンでお花描いて
ほら
僕の世界の出来上がり
青が消えて
オレンジの世界が私を包む
紫やピンクや色々ないろが
入り混じる
マーブルの世界に
闇がその色を加えていく…
切なくて
でも儚い色から
なんだか 目がは ....
末端の夜で
日常にある
輪郭のない
さびしさを
手繰り寄せる
その顔は
か細くゆがみ
青白い灯火に
照らされて{ルビ寝=い}
さまざまな角度で欠けている
ほおいほおい
呼 ....
三時になるとベビーシッターの女は
「おやつ」の入った戸棚を開く。そして
それを取り出すと、大きなお尻で扉を閉めて
床に座って足を投げ出し、それからだ。
彼女は瞼越しに日差しを感じながら、まるで ....
まだ君がまわってる
まっくらな水槽で
ほんとはほかのマグロのこと
ぜんぜん知らない
止まると死んでしまう
それは本当だろうか
止まるのが不安なのは
確かだ
肺が何かでいっぱいに ....
タクシーで溺れた
昔はあんなにうまく泳げたのに
手足をばたばたさせても
座席の底のほうに沈んでいくばかりだ
ナイター中継を聴きながら
運転手さんが舌打ちをしている
水の中では舌打ちすらでき ....
海が見える草っぱらで
どーんとひっくり返って
雲に手を伸ばす
生きているんだなって、思うんだけど
その正体がわからない
漫然と心臓を動かしたり、理念を唱えたり
そんなことじゃないみたい ....
蝶紋
蝶紋
低い雷雲
まわされる手にまたたく背
水たまりを避けつづけ
硬い海にたどりつき
水平線の筆跡を追う
沈むもののための雨季を追う
錐揉む視線と滲みの ....
てをつないで
じっとしていると
とても
しずかな
ねむりがおとずれた
きっと
だいじょうぶ
ささやくこえがした
そうね
きっと
だいじょうぶ
くらやみのなか
ぽたぽた
な ....
外堀埋めて 夏の陣
あなたがひとを殺しても罪になりません
ドクターは宣告した
石ころだらけの世界
まして
モラトリアムの真ん中で
ひとのこころくらい
かんたんに壊れてしまうでしょうに
....
桜は散った
悲しみの声も虚しく
桜は散った
嘆きの声も虚しく
悲しくても
嘆いても
空は紺碧のまま
蝉時雨は散った桜の心模様
散りゆけば桜花の里に蝉時雨 ....
男は戦う
おのれのために
男は戦う
愛する人のために
されど
失ってはいけない
自分自身を
されど
悲しませてはいけない
愛する人を
男は戦う
今 ....
耳たぶまで染めあげたのは
「今日のおすすめ」とテキスト、それだけ
覆われた後頭部の絶壁を抱き止める
早熟なフローリング
地の底から湧き上がる寛容な雑音は
....
夜も9時を回るとさすがに
閑散とするオフィス
空調の音がやけに
ひびいて
ジュースを買いに行く
自販機までの足取りが
けだるく
なりませんように
つまさきナイン・オクロック
....
忙しいと言いながら
忙しそうにしている人がいた
忙しい毎日が嫌だとぼやきながら
忙しいのは何故かしらと呟きながら
忙しさから解放されそうになると
忙しく何かを探しはじめる
忙し ....
生まれおちた
ひがしの太陽が
とろけるような
雨と出会った
別にあなたなんかいなくたって寂しくないけど
だからってどっか行けっていう意味じゃないのになあ
あたしが素直じゃないからじゃないのよ
あの人が早とちりなだけでさ
どうにもこうにもうまくいかな ....
おれは、かすかだ。もうすぐ、なくなる。それでもいだきつづける、おと。か、すか、だ。あのねThis is POPなのPPPP底には何があるの。セミがあおむけマンションの廊下に落ちてたよ。夕日!だった。貴 ....
アルバイト帰りの夜
いつもこのホームで
手を振って分かれた
僕は石切まで準急で
君は高安行きの各駅に乗り換えて
左右に分かれてカーブへ向かう
君の各駅停車が傾きながら夜景に溶けて
....
僕の部屋からは
プラットホームが見下ろせる
知らない人ばかり詰め込んだ準急を
この窓からいつも見送る
ここは始発駅だ
短い旅程の百度参りを
飽きることなく繰り返す
乗車率427% ....
嬉しかろうと悲しかろうと
誕生日ってものは1年に1度
必ずやってくる
年を取りたくない、って嘆いたところで
どうしようもない
仕方のないこと
{ルビTHAT′S ALL=それだけ}
....
海の風 と 書くと
なんだか とてもいい
目をつむって
なんだか とても
なつかしい
海からの風
でも いい
とてもいいので
思い出して
つらい
海の風
ここ ....
まいにちに
ぽつりと いってき
かなしみを おとすと
どんどん どんどん
ひろがって
やがて
なんだかわからない
なにかに
なってゆきます
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