浴室で 回想
ぼんやりと 考える
人は失くしたくないものに
触れられるとなれば
守らなければなんて
思ったか思わないかのうち
それをはねのけている
それは本能のこと
人は動物で
....
暗い道の途中で 迷子になっていた
光を見失い彷徨っていた
時の止まった道の途中はまるで迷路
手探りで動けば余計に迷う
支えあう二つの心が 同じく迷う
ぶつかり合って 傷つけあっ ....
感情にも質量があるのだとすれば
あふれ出る涙は感情の質量の飽和
涙がしょっぱいのは
我らが海から来た証拠
大気中でも飽和した質量でこぼす涙が雨と呼ばれる
ひょっとしたら
大空にも感 ....
此の地面は
匂いも、何も
残らない性質です
此処にいることを示せず
湧き上がること溢れることを戒めてゆく動作が
結果的には
瞬きです
此の地面は
風へと ....
毛羽立っているのも気にせずに
永遠に着古してしまいそうだから
新しいジャージを買ってあげよう
うんと肌触りのいいやつを
味付けの配分がわからなくなって
調理器の前でしかめ面をするので
....
古い灯台が、
巨大な台風に、
朝から怯える。
仲良しのカモメは、
草陰に身を潜め、
じっと空腹を堪える。
雲は黒い塊となり、
人々を弄び、 ....
初冬の恋は
にぎやかなコートの群れの中
熱い缶入りココアのプルトップに
手をかけたときの ぬくもり
初冬の恋は
星が目を開く夕暮れ
夕飯の匂いに顔をほころばせる
窓越しの台所の灯の ....
携帯が鳴らなくて
心細くなる
こっちからかけてみる
「…電源が入っていないため…」
不安は的中
君は今何処で誰といるの?
もう僕の元には…
誰かが走りよって来 ....
(当時のニュースを聞きながら)
昭和天皇! ヒロヒト天皇!
とうとうお亡くなりなのですね
僕はあなたが 笑顔のような
そうでないような顔で
手を振っているお姿しか見たことが無い
....
俺は世界が平和になればいいと思っている
実際にはならないだろうけれど、そう思う
黒も白も朝鮮もクソも味噌も、
俺はみんな仲良く出来ればいいと思っている
実際には出来ないだろうけれど、そ ....
冷め切った路地に
泡沫の玩具が舞って
寒さ堪えて歩く僕の
肩に弾けて消えていった
子供達の無邪気さと
自分の卑しさとを比べ
小さく息を吐いて
無造作に首を振る
涙が出た訳じゃな ....
鳴かぬ 小鳥は
口止めされたのでしょう
ひとつ めでられたら
無くすよりも たやすく
このくちばしで
守るのは
明日の 春では
ないのです
月よ
明るい夜にしてくれないか
昼と見間違うほどの
白い明かりで照らしてくれないか
わたしがそっと
吐息を洩らす瞬間を
にぎやかなその光で
包んでほしい
そうして
で ....
落ち葉の鳴る、崩れ落ちる音
誰も妨げないテトラポッド
景色、静かな君を当たり前に思って
空に手を向けて
朝、誰もいない道に目を閉じて歩く
歌を歌えない
と気付いたのはいつだっただろ ....
だまっていたほうがいいことは
わかっている たくさんのことば
わかるということは
ことばでいえるようになることでなく
いいつくせなくなること
わからないということは
ことばでい ....
おやすみなさいの後で
まだどこかで誰かが明を炊いているのかと思うと
ほら、なんだか眠れないでしょう
だってほら、
おやすみなさいの合図とともに、
全てのドアと光と絵本は閉じられるはずだっ ....
それは
突然届いた手紙
差出人の名前はなく
やけにさっぱりとした美しい文字で
私の名前がそこにあった
あなたに恋をした
たった一行だけ
そう書かれていて
顔のない差出人が
そ ....
彼は幻なので
誰にも見咎められることなく
にんじんを残すことが出来る
街道で裸になったって
警察には叱られない
スカートの中をのぞいたところで
たとえ彼がそれを鼻で笑ったとしても
誰 ....
こんな夜は
最終列車に乗って パラディソの君に会いに行きたい
僕の着く パラディソには
まだ
色がない
パラディソの海岸を二人歩く
僕の零した涙を
君は笑って 暗い海に投げた
....
戦後の娼婦きどりで
緑地に黒い花模様のワンピース
軍服みたいなコートを羽織って
男物の
赤茶けたウエスタンブーツは
歩くのに適していない
が
意固地に引きずる
産婦人科の
ある種 ....
久しぶりに 外出し車の運転をしていると 雪のように枯葉が 舞っていた
用が済んだから舞っているの?
舞う姿を見せたかったの? 冬が来るのを教えてくれるかのよう・・・
さわ子は鬼になった
八つの頃にかたちを変えた
さわ子という名の赤い鬼
背骨のあたりに取り付いて
わたしにぬすめとつぶやき囁く
母は知らない
父も知らない
さわという名の赤い鬼 ....
秋の終わり
街路樹の狭間で
主人の居ないくもの巣が
所在無さげに揺れている
いつの間にか
冷たくなった空気に
震える肌
きつい陽射しを負う背中だけが
何かがにじむように熱 ....
どうしても イライラして
とにかく その減らず口をホッチキスで
閉じこんでやりたかったが
世間の目が怖かったので
ホッチキスを渡すだけで 終わってしまった
笑いたいならば 笑え
....
喋れない虫達のように 喋れない鳥達のように
最近の人達はうまく喋れないようだ
木から落ちてくずれる柿のように人と人の絆も簡単に壊れるけれど
鎖と鎖が離れにくいように人と人の絆も深く強 ....
頬を追い越してゆく風と
手招きをするような
まばゆい光
目指すべき方角は一つだと信じて疑わず
出口へと向かって
足を運んでいたつもりだった
不思議だね
振り返ることは敗北では ....
丘の上に立って色の無い偏差値について語ろうとすると
バナナの風が熱帯雨林の方角から吹いて
学習ノートの文字は穏やかに飛ばされてしまった
間違えることなく世界にはたくさんのリビングがあって
....
月が冴えわたる冬の夜
田園の雪の波が
月光に青白くきらめいて
をんなの肌に深く映ります
あぁしんど
酔い醒ましにちょいと表に出てきたけれど
伏し目がちな月影は
わかばにマッチをすっていま ....
はブラシが毛羽立ってしまった
もうすぐ今年も終わろうとしているのに
はブラシが毛羽立ってしまった
夏に出張に出かけた折に
買った
青い
はブラシ
彼が僕のそばにいる間に
僕はた ....
ふわっと投げたよ
受け取ってくれなくてもいいよ
青空には軌跡が残るから
5474 5475 5476 5477 5478 5479 5480 5481 5482 5483 5484 5485 5486 5487 5488 5489 5490 5491 5492 5493 5494 5495 5496 5497 5498 5499 5500 5501 5502 5503 5504 5505 5506 5507 5508 5509 5510 5511 5512 5513 5514
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
5.34sec.