また一つ冬を越せました。
抜け殻にも似た心の
切れ端を無理矢理に
つなぎ合わせて
私はわたしを保っていた、
夜。
誰にも救われなかった涙を
すくってくれたあなたが
....
軒先から滴る雫を
広げた掌に溜めてみて
人影疎らな路上に向けて
高く放り上げてみた
生きる事はつまり
意味を削る事だと
納得したフリをして
今日も繰り返した自問
とうに出た答え ....
言葉は研ぎ澄まされてやがて空になる、という迷信は
いまだ空を知らず
飛べずにいる
....
生意気で大柄で強欲な
回転する物体を
思いきり斧で叩いたが
弾き飛ばされ壁に刺さったまま
落ちて来ない
回転はすぐに元に戻って知らぬ顔
電気仕掛けで回っているのか
....
生きてきた
ということと
生きる
ということを
つなぐ接着剤を探してみた
奇妙なことよと
笑われた
愛だの恋だの
言葉を環にして
誰かの指に通してきたけど
水に濡れた紙のように ....
普段は意識しない夕焼けを
今日は眺めて見たいと思った
前に見たのを覚えていないからか
最後に見た日より凄く綺麗だった気がする
紅い閃光の間を割るように白い雲
少し目が痛かった
なぜだか ....
小さな背に
ひしめく羽
いつできたのかわからない傷を
いぶかしげに見つめながら
腕から生まれる世界を放つ
狭い呼吸にせかされるように
傷つき倒れることも知らずに
けして自 ....
21
アリストテレスと荘子の対話
アンデルセンとジェイムズ・ジョイスの対話
モーツァルトとフレディ・マーキュリーの対話
カフカと稲垣足穂とダリとガウディの対話
地球と月の対話
....
トイレの向こうは僕の知らない世界でした
というより知らない商店街だった
肉屋を始め、魚屋、八百屋と
食べ物を扱う店ばかりが目立ったが
中には薬屋や酒屋もあるようだった
店はどこも活気 ....
二月
君が出てくる夢を見る
一年に一度
二月のおわり
毎年
毎年
そして僕は
心配になる
だいじょうぶかなって
不安になる
だけど今年は
なんでかな
きっと
君にいい ....
春は
思いがけない記憶を呼び覚ます
フリージアの花びらが揺れていた
恋に幼い心も揺れていた
サヨナラの理由を
頬伝った涙をさらう風のせいにして
強がる笑顔で背中を見送った
....
殻にこもれば防御は完璧で
そのまま突進すれば攻撃になり
恐れるものなんて無い
でも
君に出逢ってからは
身体を駆け巡る電流には勝てず
君を失うことを
恐れてる
もしよろしけ ....
ぜーんぶ わたし
よるのうたを うたうときも
ひかりのあめを およぐときも
ゆうやけのこだまを きくときも
なないろのかぜを ねがうときも
ほしといっしょに お ....
どうやら魔王は
縁側が気に入ったらしい
老人みたいにお茶を啜り
箱庭を眺めて溜息を落としている
その光景は絵になりそうで
私はそんな絵の中に入り込んで
魔王の隣に座った
魔王の銀髪は ....
お金はもちろん好きだけど
この額の小判に目がくらむような
安い奴は願い下げ
そんなものより
あたたかい
膝のぬくもりが
欲しいから
その 行方知れずの音はどこへ行きましたか?
ピアノが湿った声で歌っています
春の音で外を見てみると雨
足跡がもうつかないくらいに
まだ冷えている鼓動
冬の国が新しい終わりへ
....
夕暮れに刺す陽の光
目を細めながら
少し上り勾配の橋を渡る
川岸にくくり付けられた
名も無き小船
オレンジ色の輝石
水面で少し揺れていた
真中辺りで行き交う車
何となく背を向けなが ....
いつもぐったり寝ているけれど
アナタの夢が 叶う時
ちゃんと起きて
お仕事するよ
ボクが夢を食べるとき
アナタの夢が終わったとき
君が笑った
笑った口元から
白い歯がこぼれた
こぼれた歯は
たくさんの子どもになった
うまれた子どもたちは
道路を掃除した
掃除された道路は
きれいになった
子どもたちがその ....
のどに入ると
いがいがする
目に入ると
涙が出る
口に入ると
感触が残る
それが
青春なのかも。
あなたの たばこの
においがすき
からだに悪いの
わかってるんだけど
思い切り吸い込む
貴方の毒でなら
死んだって構わない。
君を見ていると
こころが
しめつけられるような
痛みが走って
今にでも
この気持ち
丸のみしてほしい。
夜電気もつけない部屋で
ぼくはベットの上で体育座りして
自分の膝を抱えて
泣いていた
何に泣いているのか
わからない
隣でなっている
ガラスでできた
も ....
桜は傷つくごとに優しく花を咲かせます
うとんじられては優しく咲き
さげすまれては優しく咲き
これ以上優しくなってどうするのかと
桜自身も思ってはゐますが
優しく咲き
優しく咲き ....
薄いピンクの
霊安室に
寝そべった
わたくしは
脇に挟まれた
ドライアイスが
あまりにも
ここちよいので
朝食から
夕食までの
普遍的
日常を
付加疑問的に
考え直す ....
寂しくはありません
だから、振り向かないで
晴れてよかったですね
風が冷たいですね
花の季節まであと少し
手が離れても
あなたなら大丈夫
私も大丈夫だから
羽ばたく時は今
....
放置された畑 咲き並ぶネギボウズ
バコン バコンと
プラスティックバットを振りぬいては
浅緑を空の彼方に弾き飛ばした
なぜそんなことをするのだと叱られたが
ネギボウズの高さが
ちょうど僕ら ....
そこで溶ける人々の道に
石化する人を送り出す空に
いつの間にか帰ってきた人たちの
懐かしい声がただ優しい
私たちはとても弱くなってしまった
工事現場の迂回する
道の分だけ余計に
呼吸 ....
気の抜けた炭酸と
虚脱とほんの少しの感嘆を
瓶につめたら
氷水から出たくないと
駄々をこねたりするものだから
とりあえず
渇いた手の平潤して
酸素と太陽の代わりに飲み干した
天気雨の午 ....
髪を洗う
シャンプーで
指にまとわりつく 髪
流せば
すべて抜け落ちて
頭蓋骨が現れる
その感触を
確認しながら
両手に少しあまる
この頭蓋骨の中に
詰まる 私
今日を 明日 ....
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