{引用=土に還らず}
木洩れ日のゆりかごに
干乾びた夢ひとつ
蟻に運ばれることもなく
ペン先でつついても
カサコソ鳴るだけの
蝉よりも見劣りする
透けた単純構造から
ふと零れる輝き ....
目的地に辿り着けない
イメージと現実が繋がらない
鉛のような肉身引き釣り
見知らぬ街を只さ迷い歩く
空は灰色、大気は冷え冷え
行き交う車の騒音が
林立するビル群に鋭く反響して
( ....
あなたは冷たい水に手を浸して、至高の果実はきっと血の混じった奇妙な味がするでしょう、わたしの心は茨の蔓で情け容赦なくくるまれて、わずかな動作で果てしなく食い込む痛みで朦朧とするでしょう、時はもはや ....
桜の花びら瞳に浮かべ
透き通る君の髪の毛が
僕の世界で絡み付いた
触れてみたい
揺れていたい
風のせいにはするもんか
未来と背中に
同じ匂いを漂わせた
春の廊下ですれ違う人
....
二〇一七年六月一日 「擬態」
ジョー・ホールドマンの『さらば ふるさとの惑星』ちょっと読んだ。ちょっと読んでも、ヴォクトの2冊の本よりはよいことがわかる。ヴォクト、非Aシリーズが傑作だった ....
古い文庫本の背表紙に
張り付いて煎餅になった蚊の
周りに描かれた茶色い地図は
それを読んだ誰かの血
まだ賑やかだったころ
白い箱を置いてアコーディオンを弾いていた
片脚のない白 ....
○「コロナ不安」
テレビでコロナ感染情報ばかり見ていると
不安ばかりが増幅してくる
ここまで来たら
なるようにしかならない
と腹をくくるしかない
○「死者」
死者は生きている
また ....
今年の正月に
「今年は俺たちは大厄だぞ!今年生き延びたらしばらく大丈夫だそうだ!これから俺たちは生き比べだぞ!」
と電話してきた親しい同級生が
突然脳出血で倒れた
右手右足と言語に重い後遺症が ....
とっくにいない子のとしをかぞえる 母の夏 蒸す子も蒸す芽のゆげを嗅ぎ あさがたの星のようなこめを噛み 麻と稲は波のように朝つゆに濡れひかり おやゆびでおさえたこめかみから蒸すひめの結びめがほどけるよう ....
日本人の遺伝子は
皆同じと思っていたら
つい最近
ヒトゲノムが解読されて
わかったことの一つは
どの人も
99.9%は同じDNA配列を持ってはいるが
残り0.1%は異なっていると ....
雑踏で
肩書きのない男の影が消えた
彼は手で狐を作って
横断歩道の真ん中
子どもだった自分と遊んでいた
遮断器
警告色の長い飴が灼熱で溶け
目の奥までねとつかせる
肩という肩は不吉な汗 ....
湖から起き上がって、ぼくは
茨道をつたい 家へ戻る
ずぶ濡れを日に干し
風通しをよくする
微睡めばどこからか 歌が聞こえる
あのとき一緒に聴いた
貝殻の奥の
ぼくが同じ音で応えると
ミ ....
こんなことも出来ない自分が
こんなことが何なのか
解る筈もなく
受け入れられない自分が
受け入れる隙間もない今
抱えられる筈もなく
不満を抱えた心 ....
金持ちだろうが
クソ貧乏人だろうが
有名人だろうが
ホームレスだろうが
派遣社員だろうが
美人だろうが
ブスだろうが
天才だろうが
馬鹿だろうが
善人だろうが
極悪人だろうが
自 ....
今日が明日になると
昨日になる
明日は今日になってしまうのさ
当たり前の事が当たり前に思えなくなると
面白くなるんだよ
当たり前に笑っちゃおうよ
天罰とは思わない
しかし古代人は災難があれば
神の怒りと見る向きもあった
現代人ももう少し信心深くなってもいいように思う
しかしこうは思う
僕の体が痛んでいたからだ
僕の代わり ....
貴女の密林
俺の密林
密林から受ける刺激
隠れてるから密林
何も見えないから
密林
汗もかくから
密林
雨風は吹かない
密林
人によっては
誰とでも
楽しめる
密 ....
マスクをしても感染し
手洗いしても感染し
部屋の中
あちこち殺菌
換気をしても感染し
人混みをさけても感染する
副反応に苦しみながら
ワクチンを2回接種しても感染し
と ....
夏の夕暮れに躓いた
石ころがあったわけじゃない
何もないからこそ躓いた
すぐに起き上がったが
膝を痛めた
夕焼けが眩しかったの ....
ちいさな蕎麦屋の片隅で
夏の忘れ物が色褪せていく
ときには本を片手に行儀悪く
あるいは昼間から日本酒を肴に
天ざるふたつを頼みながら
....
さめざめと排泄する人々
礼拝堂に
朝な夕なたなびく喘ぎ 歯ぎしり
名前を囲んで
名前を吐きかける
円 蠕動して堂々巡る、粘性の羽ばたき
その内で
いれかわりたちかわり おなじ顔が潰れては ....
長い長い光のすじを
たどる気持であるいていた
だれかが声をあげる
これはただの線だ
白く書かれた 一本の ただの
もう少しいけばわかる
別のだれかが言う
のろのろと足はうごいてい ....
暇つぶしによる暇つぶし 隔てられてようやくきづいた
しらないふりで溶けている彫像
忘れてしまった顔が、多過ぎる
ひとの顔がなくなり始めている
だれが喰ったのだ? いや逆にお前が喰われた ....
部屋の灯りを消し カーテンの隙間を覗いたら
霧に滲んで電線にひっかかっている
ミカンの房のような月がいた
おやすみ 泣き虫の月
夜の周縁を震わせて
電車が横切ってゆく
....
見てる煙草の火で
目だまをつぶす
その衝動を
抑えこむ
目を固くつぶって
そこから逃れる
視覚優位の
ヒトの脳
目は膜一枚で
世界とつながる窓
目を開い ....
夜の遅い時間
心が静かになって
二人だけの時間が濃くなる
線香花火に火をつける
流れる時間がゆっくりになった
ゆったりした心で
余計なことは考えず
二人だけの時間を過ごす
....
○「終活」
「人は人 自分は自分」
人の生き方に
干渉しない
干渉されない
「こうでなければ」
「ああでなければ」
も捨てて
自然に静かに生をまっとうしよう
○「人生とは」
....
ひたすら自分だけの世界に引きこもり
内面の壁画に自分でしか解読できない
文字と絵を書いている
書き続けてる
安堵
不安
とにかく
しあわせ
換気の悪い部屋で
獲物をかじり、果汁が
血、よだれと混じって垂れる
腫れた頬に銅貨
遠出になる
まだ、足跡が
青いうちに追おう
暴虐機械、気高き象牙
その根本で見たもの
いつ ....
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