赤く林檎の果実はふくれて
娘のほっぺの様で
何処か優しさに満ちている
それは優しい色
希望の果実
葉っぱに見守れながら成長する
私が娘を守る様に
そっと日陰を創ります
枝から離 ....
指から指へ
景はわたる
花をまわす
雨をまわす
雪に点る青い芽の
ほころびぬものだけがうたいはじめて
折れた枝 折れた風
泣き眠る陽に触れてゆく
ひとつ ....
ぼくは詩人
あれこれ考えることよりも
まずは自分ができることを
行動するのが大切
今日もまた
朝の散歩をしていると
農夫に出会いました
朝陽が昇るとともに畑に出て
丹念 ....
あたしは二月三日が嫌いなのだ
豆まきが恐い
豆まきと言うより鬼が恐い
鬼のお面があたしを見るのだ
鬼のお面に開いた二つの穴からあたしを見るのだ
二つの穴から覗く目は
母であると ....
我々は喫茶店で屁をこいた
我々は人目も気にせず屁をこいた
我々は大々的に屁をこいた
我々は周りの人が吹っ飛ぶほど屁をこいた
我々は逃げるように屁をこいた
我々は外に出てからも屁をこいた
我 ....
答えはどこにある
星の果ての闇と虚無に
不確定の雲とひもと膜の上に
揺らぐ酸と塩基のジャムの中に
答えはどこにある
荒く古い繊維に染みて
土と骨と黄金に塗れて
冷えて黙り込む巨岩の内 ....
半年振りで姉は嫁ぎ先の富山から
5歳の{ルビ姪=めい}を連れて帰っていた
家族{ルビ揃=そろ}って
僕の出版記念すき焼パーティーをするので
今朝の出勤前母ちゃんに
「 今日は早めに ....
唇の糸
弾かれる痛み
知らずに大人になれば良かったの?
移動する手段がなくて
ただただ歩いた
薄青の用水路
汚いとは
思わなかった
くちづけも 用水路も
大人になったから ....
あなたは掃除用具入れの夢を見ましたか
階段の下にあって
窓が無い
私は車を押して砂浜の縁を進む夢を見ました
どちらにしろ救いはありません
ドアを閉めて
速やかにここから脱出せしめましょう
....
ねぇ、あなた
あたしが博士から手紙が来たのよって言ったら
誰からだと思う?
今だったら数学を愛しているあの博士からかしら
記憶が80分しか持たないあの博士
そう、あの博士
....
「理由」
今、また飛び立っていった
その跡地に残っている匂いを慈しみ
つま先に少しだけ残った春を払い落とした
することもないので、踵の重さを告白する
あなたが、立ち尽くしていた ....
六月の雨のように優しい歌を女は
歌いたい と思った
穏やかな雨は
静かに大地を潤し
木々に柔らかな緑の葉を育てる
埃を払い
全てを清め
紫陽花の青を鮮やかにする
八月の情熱を胸 ....
月も沈みかける頃
目を開いた私は
黒い電気糸に繋がれた
冷たい機械に手を伸ばす
春独特の憂鬱な症状と
一週間前からこびりついている
心の霧に悩まされ
また例の機械に手を伸ばす ....
天使の胎内の世界で私達は
楽園を希求する、完全なハーモニーを
屑篭に堆積した睡眠薬のシートや
血の斑点で汚れたティッシュ、空のアンプル
其れは私達の詩の産湯だ
神父の死後の、祝福の欠落し ....
さだめし寂しいと思え
その肉体を風にさらして、
歌う苔むした1本の柱よ
カラカラと矢車の舞い、舞う、
舞ううちに時は進み
空を漂浪する魚類の
熱き眼差しも忘れ去る
とりもなおさず、取 ....
ぼくは詩人
感動によって心が動くのは
別に人だけによるものではない
今日もまた
朝の散歩をしていると
風船に出会いました
赤い風船
力なく
勢いもなく
地面に ....
もうあげる物なんかないよって
あなたは優しく笑った
これ以上何がしたいのって
あなたは優しく笑った
それでも
あなたのジャージの端っこを
....
墓標に刻んだ自分の名前に背を向けて
てのひらはいつまでもとどかないのです
生きることの意味を知らされないこぶしが
硬く握られたその先で照らして
夕日が水平線を越えて旅立つこの場所で
朝日 ....
好きだ好きだと一方通行の
騒ぐだけの恋は卒業しよう
あなたの事がやっぱりまだ好きだけど
困らせて傷をつけるのは本当の愛じゃないから
ほら、大事な想い出にさえ傷つけちゃって
きっぱ ....
音楽好きな老人ホームの所長と
週に1回演奏してくれるピアノの先生と
介護職員の僕と
レストランで夕食を共にした帰り道
最寄の駅に先生を車から降ろした後
夜の{ルビ空=す}いた国道を ....
藍色の少女は密かに夜の匂いを纏って
透き通った肌からは昨日が覗いていた
音もなく窓辺に降り立つと
そっと私の手に触れる ひんやりと
夜が私の体の芯に入り込む
裸足の爪先からは 夜が
生 ....
荒い呼吸の中で
掴みとった紙切れには
はずれの文字
同じ紙切れが無数にばら撒かれた
この街で
静かに息をひきとる老人
あなたの一番の幸せは何でしたって
最後に聞いてみたい
....
こたえ
みえてる
かいわのなかで
からわらいして
たばこふかして
めじりをかいて
あしくみなおして
まどからみえる
そとのけしきは
どこのだれにも
わかりやすくて
....
絡まった糸のようなものを丁寧に解いて
――空間は 夏だった
自分ひとりのおそろしさ
夏は くろい影だった
南国の道もまた
ここまで来ていて
その裏側で
家のベランダが
しっとりと悲 ....
ボール紙の小さな箱が濡れしおれている
白地に赤い矩形を散らした面は泥じみている
その上で蟻の細い行列が幾筋も
行きつ戻りつし交錯しあっている
つややかに黒い頭蓋のうちの
....
肉の裂け目を目一杯開けて待つ
容器の淵に溢れる形なき色
腫れぼったい肉の淵どりに染む冷気
金属的な質量が粘膜に広がり
そして最奥の壁にたどり着く
筋肉を震わせて襞は開き
内臓の熱がどう ....
青さなど持っていないよ
海を目の前にして
君が言った言葉
君の吸うたばこの煙が
30センチ昇るまもなく風に消され
僕の問いかけの言葉すら
流されてしまった潮の漂着場で
「青さなどもっ ....
明日私は咲きます
満開に
そして明日の晩に嵐
私は散る 散ります
一枚の花びらも残らず
一枚の書置きも残さず
怒りが私を咲かせます
涙が枯れたらこの幹も切り倒して欲しい
ぬくもりの ....
ささめきが聴こえる
つうと伝った清水の中に
岩陰に隠れる魚の中に
{ルビ禊=みそ}ぎを終えた頃
迫り来る闇はただ、ぼうとするばかりで
何か計り知れない畏怖を漂わせている
土気色をした私は
....
どっかで家を落とした
ダンプカーが走る ゆれてるけしき
なびく雑草 頭上
冬の星が見えた 行ってみたいな
何か透明な膜が無事に役目を終える
生きたい
息をしながら言うと
ピンク ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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