接ぎ木を重ねて枯れた樹が
庭の入り口をふさいでいる
小さな寄生木の花が咲き
風は粉と名前を運び
誰もいない街に撒いてゆく
山に残る最後の雪に
ひとりはぐれた鶴がいて ....
車に乗って
買い物に行くと
車線が多すぎて
迷ってしまう
そうして
どんどん違うところまで
行き着いてしまう
町でも
田んぼでも
森でもなくて
ただ
がらんどうな場所に
その袖を掴むことで
私は乙女でいられる
そこは居場所であり
安らぎの場
私が勝手に選んだから
半分白紙の契約書
お願い
この唇に実印を
2007/04/21
実験開始まではなにもしないでよいですから
楽な姿勢で待機していてください
スタッフに言われて
朝から待機していたが
いつまで経っても始 ....
希薄な人生を吸い込んで
思い出の海に潜る
息は出来ないけど
海底を目指して溺れて
いつしか陸に戻っている
肺には水がわずかに残っているけど
それすらすぐに吐き出し嗚咽し
また ....
風に弄ばれ、雨に嬲られ
春の欠片は
華やかで暖かで
何処か哀しい
春一番と供にやってきた
サクラ色の季節は
緑色に変容して
ひねもすのたりと
猫とうたた寝中
寝過ごしたりしな ....
ひるがまっしろ
お日さまは とてもたかく
このいちでは
どうしても まみえない
はるかなひかりが
木や わかりやすい花とともにつくるカゲ
くっきり
かげとひなたのサカイから
すてき ....
2007/04/21
なにもないところで
食べ物を探して
歩いていると
喉が渇いて
足が疲れて
歩くのが嫌になった
立ち止まって
座り込んだら動けなくなるので
....
名前は?
――ああ
血液型は?
――知らない
歳はいくつ?
――忘れた
住所は?
――もうない
家族は?
――いなくなった
家出か?
――かもしれない
したのか、されたのか?
....
食事の後に
手がすべり
落とした皿に
「ごめんなさい」と
頭を下げる
割れなかった
{ルビ空=から}の皿は
床の上
至らぬぼくの
「ごめんなさい」を
すい ....
事務所の白板に
今日の日付と
出勤者の名前を書く
デイサービスにやって来る
お年寄りの人数を書く
今日という日が
すばらしい舞台となるように
わたしは鏡になれるだろ ....
あぁ
あぁ
ねぎ
僕の嫌いな
ねぎ
ねぎ
なぜ嫌いか
分からないよ
臭いし
まずいし
なんか嫌い
ごめんよ
ごめんよ
君だけで
自分でも
どうしようも ....
過食は馬鹿馬鹿しいし
デカタンも馬鹿馬鹿しい
にもかかわらず
理由の無い不安
原因の無い不安
正体の無い不安
寝る時間には早すぎる
電話する友達もいない 自分 ....
仕事前
職場の便所に入り
男性用便器を見下ろすと
不健康な色をした
尿のしずくが
{ルビ斑模様=まだらもよう}で落ちていた
( ぼくの前に
( ここに立ったひとは ....
誰か
誰か
俺を
俺を
殺して
殺して
くれ
頼みます
やっちゃって
いいので
誰でもいいから
誰でもいい
....
女は消印を食べ続けた
消印を食べなければ生きていけなかった
医者には病気のようなものだと言われた
普通に届く郵便物だけでは
必要な量は満たせなかった
子供のころは
両親が女のために手紙を書 ....
おつきさまの
うらから、とびでている
あんてなをねじまげて
ちきゅうのじゅうりょくから
にげだすじゅんび
えいせいきどうから
わくせいきどうへと、のりうつる
そのための
....
本屋で写真集を買って売り出し中のアイドルと握手した。
机の下で何度も掌をジーンズにこすりつけているのを目撃した。
私は負けない。
吉牛で奮発して卵をつけた。
おもいっきし卵の殻が入って ....
僕はデスクのパソコンで暇な時間割をつくっている、らしい
僕がこの暇な時間割をつくることによって
会社の誰か(例えばそこの古いプリンターの向こうに霞んで見える上司、とか)がいくらか満足し
会社 ....
ささやかなごく、日曜日
ファミリーレストランでアルバイトをしていたら
ひと組のささやかなカップルが入ってきた、
というどうでもいい話
は、詩にはならないだろうか
「いらっしゃいませ。何名 ....
道ばたに咲く美しい花を見て、
ああ、きれいね、
とだけ思えばいいのに、
なぜぼくはわざわざ、
その花をもぎとり、
家に持ち帰り、
花瓶にさし、
自分のものにしようとするのだろう。
....
お母さんが人を殺した
お母さんでなく岡さんだった
それでもお母さんと呼んだ
遺灰を砂浜の砂に混ぜると
砂の数罪の数優しさの数
同じだと知った
位牌を抱えた人に伝えようと
見回そう ....
さよなら
引っかきキズ
小焼け夕焼け
ちっさな破裂
さよなら
くもり空まい散る
悲しみの水
黒い鳥まい過ぎる
さよなら
引っかきキズ
....
夕暮れに爪を切る
夜 爪を切ってはいけないよ と
いつか誰かに言われたから
冷たい風に
見上げれば
うすくうすく うすい空色
ほそくほそく 細い三日月
泣きたいほどに
....
きょうもあしたも
風に
こころは吹かれている
風の
ようなものに吹かれている
路上の塵
こころ
こころ
こころたち
夏へと影をたくわえる
....
さわやかとはなにか
やさしいのは春か
掃除機のきゅいーんが
許してくれるなら
行けばいいのですよ
さみしくなんかない
お空の飛行機が
落ちてしまうのなら
苦しくはな ....
家畜向けに設計された、簡素なベッドルーム。
クローゼットには少女が監禁されている。実利的なW・Cとして。
*
片翼しかないヴィヨンの亡霊。1、2、3、4、5人目の復讐。
避難用の鉄梯子 ....
歌島さん宅の庭先で
タロが吠えます
夕暮れ時
表を飛び交う蝙蝠を一心に見つめ
かれこれ
吠え始めてから十分は経ったでしょうか
たまりかね
お向かいの河上さんが席 ....
君の声は
雑踏と春雨に 酷く良く似合う
その低く耳に優しく残る声色を 聴きながら
騒がしく行き交う人々の中で
曇天から静かに 降り注ぐ
糸のような 針のような
雨を見上げて
その至福 ....
彼女の言葉は静かな慟哭、
彼女の日記は静かな悲鳴、
突きつけられる、
突きつけられる、
ただ真っ直ぐにその痛みを、
想像するしかない痛みを、
痛みをフォークで突き刺して、
....
4739 4740 4741 4742 4743 4744 4745 4746 4747 4748 4749 4750 4751 4752 4753 4754 4755 4756 4757 4758 4759 4760 4761 4762 4763 4764 4765 4766 4767 4768 4769 4770 4771 4772 4773 4774 4775 4776 4777 4778 4779
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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