一人ぼっちで
影を踏んで遊んだ、帰り道
空は何者かに犯されて
真っ赤に燃えていたことを
それだけを、ただ
覚えている
無垢な手のひらを伸ばした
見知らぬ稚児の瞳には
あれは、鮮や ....
かつて絆という
名前があったように
離れてしまった言葉の
名前を呼び続ける
声と声が平行して
共鳴する音色は
美しくせつなくて
呼び方は違っても
意味は等しく
軌跡となり
記される ....
ノート
忘れられた言葉
終わりもみつけられずに
さまよったまま
静かに痛んでゆく紙のうえで
呼吸をつづけている
あのひとの、
いつかひらめいた
あのひと ....
シとドの間の秘密
密林の光を探す処女
口笛は
美しくもはかない時代の産物だと
誰かが呟いた
永遠を笑うこどもたち
中指は輝きながら点滅して
たくさんの蛍を呼んだ
....
すし詰めの車内で私は玉子
握りの玉子じゃない
握りの横に添えられた 数学の図形に似た飾り物の玉子
入り口の支えに身を預ける
頭の焼印を日差しが照らす
不意に電車がカーブにかかると
バラ ....
稲刈りをしたら稲についた菌が
米粒を石のようにころころにしたのが
意外と多く
出荷前に手作業でつまみだす
ついでにゴミも
ゴミ
と言っても うっと手が止まる
米の中 菌のころころと一 ....
桃の実は人を裁くと言う
僕が試験に落ちたとき
確かに桃の実はわらっていた
お前本当は桃の実じゃないだろう
僕はそいつをもぎ取り
皮をむいてみた
白くて柔らかい果肉があった
食べてみたら甘 ....
全てに疲れ果てて 涙を流す 君がいた
こんな自分には もう価値なんてないと呟いた
でも そんな涙を流せる心にこそ 価値は宿るんだ
目に映らないものばかりで 溢れているのは
交わらない二つの ....
千利休が七輪でツバメを焼いて食べている、
そんな絵葉書が一枚届く
彼女はそれを見ながらテレビ画面を舌で舐めている
その姿が、どことなく黄昏ていて
テレサ・テンの歌声とともに
無限増殖するスー ....
眠れなかった寒い朝には
あったかいココアなんか
飲みたいな
ふたり
ひっついて
離れないで
パジャマ着たままで
そろそろ出かける時間だなんていいながら
はやく着替えなきゃなんて ....
わたしの 心の 奥底に
降り続く 雨を
見抜いたのは きみ
幼い頃の あの 忌まわしい過去も
人前では 何もかも
笑い飛ばして 切り抜けて来たのに・・・
「隙を見せた方が負けなん ....
淫らを着飾った少女の懐に /みだら
報酬がイイワケを押し付ける夜
遮断された感覚がしつこく蘇る
いいかげんの蔓延した景色が
記憶という車窓を通り過ぎるたび
う ....
{引用=
「あいしています」
}
言えないんじゃなくて、
言わないだけなのさ。
この日常すらも失うのが怖くて。
{引用=
「そこにあるものが幸せだとは限らないのに」
}
桃色の夕方は
いっしゅんで
冬に向かう夜になっていた
目をはなすと
世界はいつも
そうやってゆき過ぎてゆく
またあした巡りあえる
それはわからない、と
....
彼は殺し屋
40人の教室にやってきた
先生が連れてきた
私たちは目を伏せた
選ばれないように
選ばれたらお仕舞いだ
彼は殺し屋
黒板の前を行ったり来たり
吟味するように行ったり ....
わたし 本当のことを言っているのに
いつまでたっても 信じてくれないの
だって ここで嘘をついたって
後から また苦しくなるだけ
だから 恥ずかしいけど
ここで ....
病院内で知り合った
女の子が
儚くなった
茶色い長い髪を
くるくるとカールさせて
フリルやレースの
かわいい洋服を着て
いつも微笑を湛えていた
その彼女が
もうい ....
見失う
三行の言葉
見失う
午後の光に
のばされる腕
花を
摘みとることなく摘みとる手
灯の上の灯の道
水の上にしかない陽とともに
水のたどりつくとこ ....
切れそうで
切れない夢のあと
僕らの恋愛装置は
発火する
共同幻想のなかを
漂いに漂い
僕らは僕らの
父と母に出会う
リンガとヨー二を一つに抱き
存在の不確かさを確か ....
まよなか、ドウナツを食べる
(what do you think about?)
ぼくの好物、茶色いドウナツ
(do you feel happy?)
金色の砂糖の粒が散りばめられた
....
あの頃
純粋なままの
恋は
積もる事のない
幼い雪
まどろみに
サイレンはやみまして
午前二時は
時計の音が迫るころです
わずかばかりの寝息が
胸にかかれば
布団かけなおして
あのこと
あやまって
ゆるされる気でいるのです ....
あのオンナに負けないように イイオンナになりたいのに
追いつくどころか 引き離されていく
どうすればいいの?
嫉妬するしかないの?
運命を呪うしかない 第二恋 ....
灼熱の町
赤い海
ゴミと化した人の山
切り裂く金きり音
降り注ぐ金属体
吐き気のする死臭
大量の真っ赤な液体
倒れていく知人
猛烈な空腹
埋め尽くされる川
....
夏の終わりに
巨大な鳥の夕焼け空で
大きく開けた嘴の中に 夕日がおちた
巨大な鳥は 薔薇色の雲にちぎれていって
後ろむきの 月が
踊る
なぁ
寂しい
ヘリウムを吸ってるよ
僕と
僕の分と
二人分
針葉樹の季節が来てる
服と
ココアが
二人分、冷えてる
黙って伏せれば
机だけ 温かい
....
わたし桜の花になりたい
ふたり出逢ったころ
空を埋めつくすように咲いていた
あの満開の桜の花になりたい
わたし風になりたい
いつもふたりのまわりを取り囲んでいた
あのやわらかな風になり ....
あいの里
しのつく秋の{ルビ雑木=ぞうもく}
湯ぎりのしずく
かじかむむねのめぐみよ
髪を結い
知らぬみちをぬけて
はにかむ街へ
いつか人とはぐれて
ふちにたたずむ
銀のあかりあ ....
ハヤク、 はやく
コトバが逃げてしまうよ。
アイディーもパスワードも
まにあわない速度で
言葉の滴はこぼれおち
またうみだされるまで
感情の中を
....
どんな町にお{ルビ囃子=はやし}が鳴り響いて
どんな町で葬列が連なってんのさ
僕は家へ帰る
青と黄色と黄緑のガラス窓が
なにかしらハンマーで叩き割られて
キリキリ、と
破片が落ちてゆく床に ....
4472 4473 4474 4475 4476 4477 4478 4479 4480 4481 4482 4483 4484 4485 4486 4487 4488 4489 4490 4491 4492 4493 4494 4495 4496 4497 4498 4499 4500 4501 4502 4503 4504 4505 4506 4507 4508 4509 4510 4511 4512
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
5.04sec.