どんな言葉も無力な淵で
わたしはなにをすればいいのだろう?
魂の忍耐、それだけが試されるその場所で。
*この詩は、すぐ前にアップした『風見鶏の歌』と一セットです。
看板だけのちんどん屋
叶姉妹みたいにけんちん汁なのかも
美は売れない
すべてのマーケットを閉鎖して
自給自足で恋もするんだ忙しいけど
ぼくはポケットにコルトを忍ばせて
犯罪者で ....
のんびり呑気な春の午後、
わたしは歯軋りしながら布団のなか
つかの間の均衡に憩っていた
虚しい色の風見鶏
誰かそれを呼んだのか
昨夜は本当に惨かった
疼痛宿痾の眼底痛
狂う、も自 ....
すべての宇宙を創生して
神は疲れたのかもしれない
ウクライナの仕事はあなたのミスで
僕は無神論者で貴方達とは関係ない
僕たちは異質なものを嚥下しなければならない
優しいだけのヨーグル ....
逃れ去っていく
逃れ去っていく記憶の
その核心を掴もうと
広がる鉛の海を泳ぐ、泳ぎ続ける
失われた薔薇の花と団欒
終わった関係と更地
虚脱の時を刻む秒針
静まっていく
....
二〇二〇年七月一日 「『幻想と怪奇 宇宙怪獣現わる』」
『幻想と怪奇 宇宙怪獣現わる』の再読終了。憶えていたのは、パトリシア・ハイスミスの「かたつむり」だけだったが、繰り返しになるが、シオド ....
あの頃「敷かれたレール」から{ルビ逸=そ}れて
長らく僕は、台本のない道を歩いてきた
最近ふと立ち止まり
ふり返った背後の道に
無数の数字が記されていた
3.14159265359……… ....
赤い風船が
雑居ビルの屋上を越えて
空へ吸いこまれてゆく
路地裏を
うろつく黒猫が足をとめて
二階の私と、目が合う
――幸いは
掴むものじゃないらしい
人が巨大な鯨を畏れるように
鯨も群れる人を憂い
人が鳥の歌を採るように
鳥も人の言葉に憧れる
真ごころよりも研かれた小石が
現実を左右する効果を慥かめ
星々の絡みあう指ですら
少しづつ結 ....
さくらんぼ
垂乳根の
鷦鷯
○「歌詞」
「ありのままに」と言えば
ありのままになるかのように
「自分らしく」と言えば
自分らしくなるかのように
言葉が一人歩きしている
○「昭和」
昭和の男は
高倉健のような
....
わたしの父は
永久を積み重ねた石柱
わたしの母は
古典をゆるがす門
あらゆる角度で加速する渦
居なかった弟
それは脳で発光した電流
欲しかった姉
それを受けとめる海
ひろがる雲と ....
ポリバケツの中に廃棄された腐敗し続ける狂気と、その肉を狙うドブネズミの低い鳴き声、名前も知らない薬の効果偏頭痛に変わる日常の蠢き、まともな時間じゃないのだから文句を言うのは筋違いってもんさ、月は薄曇り ....
{引用=自戒/自壊}
集中するな 散漫になれ
強すぎる日差しにまどろむ植物のように
むき出しの感覚を微笑みのように裏返し
光の木霊から剥離した虹の鱗に映り込む
おまえの失語を速写せよ
....
「{ルビ弥=いや}が上にも」と蠢く弾力と渡ってうたって、ふっくらとした真綿の断層は息を切らした、奔放に惹起し、鮮烈に粋る。消え入るようなコンパスは錯覚を刻んだ犠牲者、途を記し伝わってくる、ただ頭が足り ....
宇宙に咲く花のように
秘かに青白い、
紫陽花の花房濡れる頃
神の手が伸びて来る
雨降る季節を進めるために
無限を響かせ、無限が響き
鮮やかな紫陽花の、微かな揺れに
一つの憧憬、ど ....
ツィート連詩
1
今朝から、ずっと
計算しているのに
解のでない物語り
曲は知っていても
おどれない音楽
亀裂に埋まった垢は
とれないままでいる らどみ
2 ....
骨で寝息を守る夜
祈りのなかにあるのは死
死のなかには
小さな庭を作り
可愛いベンチを飾ります
誰も彼もが座れるように
日曜日
風の中の木が
やわらかい
小枝をゆらし
ぬれた瓦が不意に
ひかりを受けとめ軋む
なつかしい香りの中で
きみの瞳と
なみだが溶けあう
白くてつめたい
頬笑の ....
君も賢そうに見られたいよね
天地開闢はファミコンのバグっぽい
心は外が古典力学的で内が不確定性原理かと
朝にジャイアントスイングし座敷童子に遇す
昼に凡夫の噛み下し握り飯を置いて猫が発す
....
五月雨
番茶
五分間
一瞬で転送される立体はまだよい
心は刷るほど偽りの貌を現す
薄板の下におおきな口がひらき
落ちてくる者を待ち受けるらしいと疑う
本当に扉の向こうではいつも真空が拡がり
きみが出入りするた ....
二十三時
もうすぐ寝るまでの
もったいない時間が
照明の下のソファーにある
父親の死とか
明日の仕事の乗り切り方とか
全部雨音に消えて
現実が今だけになる
叶うのは
いつも小 ....
音の滴、斑点となって飛び跳ね
郷愁、遠い深みから到来する
胸掴む憧れ、未知から溢れ出し
遡行する魂、源頭の水流を浴びる
振動する大地 、脈打つ心臓
終わることのない命
終 ....
胃袋の健康診断
バリウムを飲む白い断食
空腹に耐えた上に
発泡剤を飲まされる
無理な姿勢を指示されても
げっぷを我慢する
下剤を飲まされて
トイレに引きこもる
パワハラで起きる ....
遠く異国の地で戦争があっても
今朝思うのは朝食のことばかり
それでも僕は遠くに思い馳せる
なぜといって悲惨の悲くらいは
知っているからだが、しかしだ
やはり赤魚を焼き大根下ろしで
などと考 ....
俯いて、含み笑いを浮かべて、
、ニヤついてはいない、じっと足もとに視線を落とし、
ときどき、うん、ふん、へえと頷く男、その男詩人、白い球赤い球、黒い球、
黙ったままで、眼がふらんでる空に、や ....
ほんとなら詩が書けるのに
ただ呟くことしかできない
あなたを探してる
早く別れたかったあなたを
良くも悪くも
私に興味あるのは
あなたしかいなかった
たとえ恐怖を覚えても
探し ....
ゆで卵が欲しい
ツルンとした
楕円のあれ
固く茹でられて
固い皮が剥かれて
白がむき出しにされた
楕円のあれ
爪の跡も歯型も
まだ付けられていない
楕円のあれ
真夜中のこんな時間だ ....
トマト
金剛石
空飛ぶクジラ
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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