困った人と思いながらも私は夜風に体を乗せた。
「薔薇がない」
彼はあの馬車部屋で私の帰りを待っているのだろうか。
苦労して夜風に乗っているのに夜の花屋はまだまだ遠い。
月明かり ....
光る海水を
インスタントコーヒーの空き瓶に入れて
持ち帰ったことがあります
バスとフェリーと電車を乗り継ぎ
丸一日かけてたどり着いた真昼の部屋で
虫たちは光りませんでした
何をしてもど ....
灰色と銀色に染まった街を歩いて抜けて
折れ曲がった煙草に火をつける
築20年のアパートまでもう少し
汚れて薄く汚れた黒いジャケットが
雨に濡れて真っ黒に染められていく
傘は嫌いだから持たない ....
同じフロアの同じ間取り
南西向きの小さなワンルーム
好きなひとの去ったベッドに横たわり
ひとりの男の死を想ってみる
駅前のスーパーで買い物を済ませ
近く有料になるとかのレジ袋をぶら下げ
....
子供をつくろう、ぼくらは。
僕たちはあまりに多くの人を
失ってしまったから
子供をつくろう
埋め合わせるためでなく
失った人のことを伝えるために
子供をつくろう、ぼくら ....
ぽかぽか
陽だまりのなかで
アキはねむる
優しくて
それよりもっと
優しくて
あくび
ふわっと
浮かべて
目をこする
ネコが慎重に
せのびをしては
その路地を
て ....
空になるなら もう立てないなら
声を鳴らして 喉を枯らして
眠りにつくなら 唄えないなら
声を枯らして 喉を鳴らして
手を伸ばしても 意味がないなら
唄を紡いで 終わりが来る迄
....
想えば
魂の定義とは
その情熱のありかを
しめすことであり
ちょうど母の
六月の誕生日の朝に
配達される
新聞は
白い煙が
たれこめる
雲よりも天高く
心の空へと
立ち昇る
....
吹きかけた爪先に
白色の灯ること
雪つもり
灰つもり
光つもり
遠く一点
羽の音
黒い鉄格子に身体を押し付け
晴れ過ぎた空を焦がれる、其の目に 痛みさえ覚える
あぁ きっとそうだ
錆び付いた目を揺らし
此処から出れないと知り始めた
後は鳴くだけだと言って
目を閉じ ....
光る様子を
じんじん
と言って追っかけて
転んで擦り傷だらけになった
この川沿いには今でも
白いホタルブクロが咲く
目を閉じてひとつふたつと数えると
す っと
あの娘の
笑顔が浮かん ....
かれらは実体のない闇を
ハーレーにまたがり、疾駆するライダー
おのれの直感を信じ
自由を標榜し、暗い闇を疾駆する
ときに、みずからを絶望のふちに落とし
ときに、沸きあがる激情のままに
....
今日ピアスをあけてみた
ほんの小さな反抗
私たちには翼があるんだ
臭い鳥かごみたいなとこに閉じ込めないで
大人になったとき飛べない人間が多いのは
翼が音を立てて剥がれてし ....
静かな森の夜
美しい花々の庭を通り
白い砂利道を歩いてゆきますと
古びた像の前へさしかかり
ひとすじの風が
私の耳に何かを運んできたのです
はっきりとした意識はありませんが
ぼんやり ....
太陽を眺める/彼は仰向け/
で/空に銃を向け、
俺に言った。(こっちを向け。)
俺は言った。おとなしく(帰れ。)
彼は銃を上に向け、
去って/いった。
「あの頃、陽炎が消えて、跡には日 ....
友人宅に泊めてもらった夜
隣の部屋から何か音が聞こえてくる
床や天井が軋むような音がずーっと
それに何かの気配も感じていた
翌朝、友人に聞いてみると、
隣の部屋は空き部屋だという
それ ....
公園のブランコが濡れている
灰色の空が水溜まりに映っている
飛沫を上げて走り去った車に
靴下の中までびしょ濡れ
今頃君はなにしているのかな
あれは確か去年の6月
ち ....
ぶつかるならば消して消されて
チェス駒を進めるよに
規則的に混雑を闊歩したいよ
--------
時間が間延びしてしまったので
一刻一刻を回収している
処方された薬があまりにちっ ....
在ル空のシキ彩、滲み
無シキの花、摘む
箱庭の景、色
いつものサンマルクカフェのまえ
死ぬのはいつも他人ばかり
なんだかおしっこの匂いがする商店街の
つみ重ねられた赤レンガの壁のみぞを目じるしに
どのくらい伸びたかなんてやってみたかったから
....
?
新宿のアルタ前で見知らぬ人が掛けてくる声のなかには
少女たちの音階がひしめき隠れている
?
原始人の言葉を買い取った文学者は
次の日からマッチを擦って大切な論文が書かれた原稿用紙に火 ....
?
せかいが
海のなかで
おるがんをひいている
けれど少年の手が
水を掻きわける音で
それは誰にもきこえない
それは誰にもきこえない
いかだだけが知っているひみつ
それは誰にもきこえ ....
思い出し笑いを
小さな箱に詰め込んだら
いつかのクリスマスプレゼントの
きれいなリボンで飾ってあげる
右手には甘いキャンディ
左手には苦いチョコレート
どっちもあげない
どっちもあげ ....
君がいいよと
すすめたものを
いいなと思える。
うれしいな。
深夜、道路に沿い
一定の間隔を空け
点在している電柱
備え付けられた電灯は
足下を夜毎、照らし続けている
その灯りは何を照らしているわけでもなく
何を明るみに晒しているわけでもなく
....
こころ
を尋ねて
こころに
打たれて
場所を超えて
時をはなれて
....
白いシャツの腕をまくりあげ
太陽を肌の上に滑らせる
二の腕の火傷のあとが
額を太陽光にむけて
第三の眼を養う
速読の技術
午前中の爽やかな空気を腹いっぱい溜める
心をまとめる ....
真実はどちらにもスパイスとして含まれている
どちらを選んだからといって外れにならない
負けはない
しかしその先に敗北似の
地雷が仕掛けられていることもある
選択後スパイスは強 ....
濃いほうのお父さんの
ガハハな笑顔もいいけど
やっぱり私は
うすいほうのおとうさんの
静かなほほ笑みが好き
声に出して呼ぶと
両方振り向いて
うすいおとうさんが
所在なさそうに下を ....
早朝
周囲があまり静かなので
ちゃんと他の人が生きているかどうか
確かめるために
始発の電車を見に行く
路上に
昨晩お酒をのみすぎた人が
うつ伏せに倒れている
マネキンみたいだ ....
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