前髪が濡れていて、うまく夜風に
流れてくれないのを感じながら
腕を軽く上げた先の
線香花火に、視線を戻した
断末魔の産声が
チリチリと聞こえていたはず
かつての夏の夜
赤い輪郭を ....
四角いへやに住みたい
何もないところで
棚に邪魔されずに
四角をながめながら
四角の一部になって
心臓を壁にあずけて
窓も作らず
頭の中にもう一つ四角をこしらえて
あほになったまま
....
今さら泣いたって何も出来ないよ
私はもうあなたの物じゃない
巣立つ小鳥のように
空へ舞い上がるの
さよなら泣き虫な私
さよなら一人ぼっちの私
さよなら
さよな ....
夜のおわりのはじまりの朝
シーツの広さを掌で思い知って
二人のおわりのはじまりの一人
残り香がひんやりと胸を掠めて
昼のおわりのはじまりの夜
未練たらしい影法師が踵から生えて
夢の ....
地球が悲鳴をあげている
叫んでいるのに
気づかなかった人々
花 咲きほころぶ春
ギラギラ太陽輝く夏
赤や黄色の葉を散らせる秋
白一面の冬
季節をずらし
それらしくな ....
これは知人から聞いた話
宝船を作ることが趣味の男がいた
船の材料は安い紙だが
金銀の色紙で作った財宝をのせている
そんな宝船が
男はこよなく好きだった
ある日曜日
いつものように宝船 ....
私は人を惑わす
この呪われた口よ
虚言と罵られようとも
真実を云っているだけなのに
人の生命(いのち)さえも奪う
罪深きこの言の葉は
どう ....
とてもとても長い道
まだ先は見えない
暗くて冷たい土を踏み締めながら
一歩一歩進んでゆく
足が痛くても辛くても
止まらず進んでゆく
とてもとて ....
嫌われもののからすは
誰からも愛されない
慈悲の心があっても
精進の心があっても
愛されはしない
冷たい冷たい冬も
ひとりぼっち
笑っ ....
雨漏りのする部屋は、
間違いも正しくて、
いい夢は見られない、
ただ僕の見るものが、
ただ僕の聴くことが、
....
三角形の一つ目に
爪先で傷をつけ
うるさい音のもぐりこむ
8月の割り切れない昼間
少しずつ増えて行く時間を
どうしようか迷いながら切り取り
ためにためて溢れ出しそうになると
僕はきっと故 ....
小さく
丸めようとする
その
折れ曲がった
真ん中
を
抱きたい
と、私
水音のよう
に
耳元が
塞がれる
始終
ただ、そんな
事ばかりを
思う
切 ....
ここ数年は蒼いのだが
透き通った対流圏では
疲弊した天井から ぼとり
ボルトが
抜け落ちていく
から
鉄道はどっしりと動かず
悲鳴とギザギザの電流の
漏れてくる偽装された天 ....
サンダルをつっかけて、あの頃、未だ話し始めたばかりの娘と青果屋へ行った日のことを覚えている。夏へかかる日射しを煙たがるでもなく遮るため、麦わらをかぶせたさまた屋のさまたさんは、その日も日課通り、田舎ら ....
「8月に雪が降った」
病室のベッドの上に
笑顔の女が居る
窓から空を見上げながら
この女の笑顔を見たのは
二回目だった
その一言を僕に置いて
....
台所に向かい、買ってきたばかりのコロッケを油槽に入れる。
油はねが怖くて身構えるが、コロッケも、油も、おとなしいものだった。
その代わり、ぷくぷくぷくぷくぷくと小さく水泡を立てた。
珍しいことも ....
信ずは
決して疑わぬ
疑ふは
決して良く見ぬ
信ずは
決して疑わぬ
疑ふは
決して良く見ぬ
―典拠“家庭で役立つ9つの皿洗い”
SUCK☆LUCK★DUCK☆LUCK★S ....
郵便局に車椅子に乗ったおばあちゃんがいて、
ガムテープで段ボールに蓋をするのをぼくは手伝った。
得意気な気持ちで車を走らせていると、警察に捕まった。
ぼくはシートベルトも切ってたみたい。はい、そ ....
悲しいから
泣きましたら
そっと
母は抱いて
くれました
あぁ
温かいなあ
と思った
時には
もう遅く
私は冷たく
なっていくのです
母の手で
ゆっくり
ゆっく ....
ニックネームしか
なかったら
人の名前はなんだろう
ニックネームしか
なかったら
名前以外が人になる
ニックネームしか
なかったら
あなたの
名前を呼ぶ人と
同じ ....
疲れ果てた大地に雨が降った
染み込んでいく一粒ひとつぶが
次第に流れを作りはじめて
大地の顔をぐしゃむじゃにしてしまう
泣いているのか死んでいるのか
わからないような崩れ具合で
少し不安に ....
人と
人ではないものが
遠く
電車の音に
秋を知る
かわいた肌を
懐かしみ
風を舐める
ふみきりの
音が止む
くしゃみしてる
静けさの向こうで
人恋しく
こおろ ....
きちんとした襟の
背の低い男が
背を丸くして立っている
教会の門の前
指先の
薄茶けたしみと
視界のかしいだ
米が落ちている
祝福の
後先に
三本目のつえが
....
B列車で行こう
一つ前のA列車は
もうとっくに発ったから
B列車で行こう
ひとつ後ろのまたその後ろの
A列車に何回追い抜かれても
バナナトレインで
バナナシガーくゆらせながら
....
削りカスが飛散すると共に
針に光沢が戻る
ぎざぎざの淵がついた葉に差し込むと
一瞬抵抗した後屈服する
雪に墓標を立てる
片栗粉のような景色のなかに虚ろに佇む
立てられた ....
砂漠に
雨傘が開く
長い人のように
午後だけが
遠くまで見える
行方のない自転車は
ふいにとまり
やがて
ぼんやりと朽ちた
それから一年たった
橋から見える
盲腸のような川は
廃虚の「風景」に
なり切れず
何も語らない
どこかで
一人はしゃいでいる
語り過ぎる風景
が過ぎて行く
昼下がり
....
永遠に交わらぬはずの者同士が
交わろうとする
水と油
そんな感じで
高温にまで熱せられた油は
邪険にも寄せる思いを弾き飛ばして
ふつふつと
行き場の無い怒りに震え ....
緑の芝生が
どこまで行っても
まあるい天体を覆う
銀河に浮かぶ天体は
どれも薄ぼけていて
白くてまあるいおばけみたい
星々の間をすり抜ける光
ゆらゆらと揺れて
すう ....
人工衛星ボイジャー
忘れられた記憶の中で
知られていない宇宙の中で
僕らは生きている
僕らは動いている
任務を乗せて
言葉を乗せて
いつか会う「ダレカ」の為に
....
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