気配を感じて
うなじの毛が立ち上がる
背後を探る 自分が持っているはずもない感覚を指し伸ばして
気配は やってくるのを待つしかない
訪れは 待っていないと やってこない ....
ご飯を食べられないから
せんべいと
ミネラルウォーターだけで
生きてみようと思う
というとあなたは苦笑して
もっとやせるよ
と言うんだった
冗談ではなくて
吐いてしまうのだと話すと ....
サイドブレーキを引いた後も
まだ帰りたくないって君が言うから
カーステレオの音を最小限にして
くだらない事を夜通し話したね
一昨日食べたドーナツが美味しかったとか
ゼミの友達が ....
タイル張りの部屋の中
あたしはひとり うずくまっている
泣き疲れて呼吸は浅くなり
あたしはひとり うずくまっている
そばでは水槽とテープレコーダーが
変化のないあたしに {ルビ倦=う ....
大学の授業を抜け出して
立ち入り禁止の看板を飛び越えて
僕は屋上に登る。
豪雨の中
見つめる先は
カミナリグモ
黒雲の中を
光の筋がいくつも走り回る。
キレイだ
額に張り ....
ある程度の明りが必要なように
ある程度の闇も必要だ
時に人は一度に両方求めてしまうから
しばしばやっかいな存在になる
誰かをキズつけてしまったように自分を切り刻んでみても
明りは明り ....
秋なのに、さくらが
花びらの匂い
かえでからは蜜が出るよ 口を開けて待っていて
ねえここで この街から
いつまでも卒業できないね
してもいいのなら君は飛んでどこかへ行くの
(綿毛 ....
卵黄色の大きな手が
鬼の手か
母の手か
心を掴み
上下左右に細かく動かすと
それがスイッチだったのか
ちっぽけな溜息が零れる
足下を見ると
植物の亡骸が一枚
それ ....
逃避することなく
忍ぶ雑草の
落とした欠片が堆積し
抜け目なく堆積し
雑草はその上に生え
束の間の自由の後
青い風が再び吹き荒れる
そのたび
堆積され
いつか
至上の高 ....
固ゆでの
黄身が底にころがっていたので
指でつついたら「u、あい」とはっきりしない返事をした
たぶん俯いているかつっぷしているかして
声がくぐもっている
白身はどこへいったかと訊ねると
ま ....
ビールのんでぇ
黒霧のんでぇ
熱燗のんでぇ
きもちわるい
何で急にこんな
夜の恵比寿
えべっさん像が
クリスマスツリーを
真横におっ建てられて
街灯の灯りのせいかもしんないけど
....
冬の太陽に向かって叫ぶ
生きたい
あれだけ死にたい
死にたいって
言っていた私だけど
今は
生きたい
私の中の一番強烈な欲望
生きたい
どうせ生きるなら
楽しんで生きたい
充実の ....
きみはわるいおんなだ
いまごろ連絡してくるなんて
ぼくもだめなおとこだ
いまだに思う日があるなんて
繰り返してたかも知れない
どれだけ楽しくても
どれだけ切なく ....
何度この道をあなたと通っただろう
初めて一緒に歩いたときは
まだ寒くて上着を着ていた
わたしの体力がなくて
ゆっくり歩いてもらったことを覚えている
トラックの巻き起こす粉塵 ....
パテル・パトルム――
即ち、パパだ。
今日もパパは二日酔いで、
おまえたちはバレエを観に行ったけど
そんな日曜日の真昼間から
男が家にたった一人、瞑想に耽る
深潭たる無意識の下層へ ....
わかってたよ
そうだね、
君は優しいから
いつでも君のが
うわてだった
そうだね、
心を許しすぎた
安心しきっていたんだ
わかってたよ
君 ....
生ぬるい図書室での坊主めくりだった
なぜ蝉丸がいちばん人気だったのか
わからない
輪に違和感なく溶け込み
無遠慮にかがんで微笑むあなたの胸もと
気になって
腹が立って
仕方がなかった
雨粒が地面にゆっくりと落下していて
そのシズクに写る果てない未来は
僕をどうしようもなく打ちのめした
一?でも踏み込む事によって現実が駆動していく
刹那程の距離でも僕等は踏み込めないんだ
本 ....
さかなによく似た
君に寄り添って
みたこともない海の
話をする
あなた だってそうでしょう?
本物じゃない
ここにいる僕たちは
だからこそ 寄り添って
途方に暮れた
....
ずっと昔のことなんだけど
ずっと一人で、近所をさ迷っていたことがあるんだ
公園の一人分の幅しかない滑り台を占拠して昼寝したり
ブランコを遊べないように上の軸にぐるぐる巻きにしたり
作りかけの砂 ....
人気の無い夜の歩道を
急ぐ足音の先で
秋との別れを惜しみ
接吻を交わす銀杏の葉が
スナックの外面を飾るライトによって妖艶に照らされている
細やかな風が吹き
一枚の命が
....
当時の戦場では松ぼっくりが主要な武器で
戦闘は健全そのものだった
最前線に配置されたヤスオは元高校球児で
肩が強かった
一時停戦期間中に境界線上で
季節外れの花火大会が開催された
その ....
誰かの面影を追いかけて齧ってみても、口から出したらカラッポだった
世界の中心は止まっているんだ
ニ度とそこからはみ出さない
気をつけて歩いていくんだ
薄氷の上を、裸足で ....
空の字を見ていた
読むことができなくて
母さんに聞いていた
どうして?
母さんになるはずの
女の人がいたらしかったけど
母さんは知らなかった
知らないふりをしていた
....
君ならわかる
でもあの子なら分からないよ
覗いてごらん あの穴を
空気が吸い込まれていく皺くちゃになった言葉の紙を
いなくなった人たちの面影をすくったスプーンを
....
〇が〇で無くなる瞬間について
それは〇が∴だということ
∴の意味を見出だせないこと
意味の理由すら忘れたこと
繋がることのない点と点を
交わることのない線と線を
混ざることのな ....
いつからだろう
こんなに思い始めたのは
だって君の声が途切れるたび
心乱される
さっきかかってきた電話
いまも何とか続いてる会話
このまま時が止まればいいのに
時計が十二 ....
眠れない夜が続いていたのは
抑えられない舌の渇きのせい
肩書きを餌に抱いた女は
体以外預けてはくれなかった
煙草の煙に乗せた別れの台詞も
すべてはシナリオ通りの流れ
このまま誰一人愛す ....
この世界では
声の大きい人が偉かった
悪声だろうと
美声だろうと
とにかくデカけりゃ良い
デカけりゃデカいほど
権力を持っていた
マイクを持てば
鬼に金棒ってもんで
スピーカーの ....
365日分の一日だけ悲しみに浸って
それ以外は悲しみをひた隠して生きているあなた
私という女がいて、それはあなたに会ってから女になった
私は以前、ただの私であった
私を ....
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