君のことを描くたびに
ひとつずつ言葉を失っていった
すっかり軽くなった水彩箱には
たったひとつの「ありがとう」が
隅にこびりついて震えている
―――ありがとう。
それだけで ....
人の事。
手のひらに咲く。
金色の花びら。
私の生命と
似ている。
愛しさ。
毛布になついた匂いをかぐと
やさしくおもえる十二月
ふゆという名のまぼろしが
ふたりのあいだに
許される
つめたい風のひとひらは
ぬくもりひらく
手のための ....
教室を静かにしたかったんだ。
教室の話し声
雑踏
ドアの閉まる音
机やイスが触れ合う音
黒板とチョークが擦りあう音
男子たちの汚い会話
女子たちのもっと汚い会話
全ては僕が耳を ....
ジーパンは死人の包帯
渇いた大腿部を
外灯が
曇り空の
なみだのように垂れて
ネオンは
地上で
唯一のひかり
同伴の
女は死化粧
妄想と ....
送電塔の下のスフィンクス
草むらの中にペットボトル
少し目を 離した隙に
そこにあった意味
そっと動かして
首をかしげては
石のほほえみをなげかけた
うずくまる女の子
ゆっくりと流 ....
マーチ
のようなラプソディ鳴らして
この街から出てゆく
台風が
上陸するまえの不安なまぼろし
世界恐慌、なんてそんなもの
バーボン、
グラス、ノイズ、
....
それは一度は積雪のように見えたが、ヘッドライトに照らされて銀杏の落ち葉だと知れた。亭主は乳癌で死んでゆく妻にセックスだけがよくなかったと告げたという。われわれ男は生き延びて五十年を生きようとしている ....
まるで、水のよう
滑り落ちるだけの水滴
留めることもできないでいて
滑り落ちるだけの水滴
滲みこむから、そこに滲みこむから
滲んでしまう水滴、じっと眺めていた
....
林檎の艶は
きみに似ている
口を酸っぱく言われても
じゃれて、もつれた笑顔が
子猫の甘噛みのように
僕を誘うから
僕をどうか響かせて下さい。
そのしなやかな、指先で、
き ....
クリスマスローズ (慰め)
クリスマスなんて大嫌いと吐き捨てる
君の傷跡が透けて見えそうな夜
瘡蓋の上に貼りつけただけの棘に
僕が金色の星を灯してもいいかな
....
両手いっぱいに抱えた色
おばあさんには赤を
泣いている子供にはオレンジを
爽やかな恋人達には輝く白を
配っても配っても
なかなか両手は空にならないから
一番大切な人 ....
「ビックリがゐなくなったの」と可愛らしい少女がつぶやく。
「ビックリって?」
コレ、と言って指さしたのは、私の原稿に書かれた『!』だった。
「どこからゐなくなったの?」
コレ、と言って差し出し ....
たとえば
過喚気症候群
過呼吸の発作のときに
ビニール袋で自分の息を吸うでしょう?
あんな感じです
うわっ危ないかも!
と思ったときには慌てて
自分の作品を読み返すわけです
....
とりとめのない
思考と
アスファルトの固さ
ふみしめると
わたし、強くなれるかな
求めすぎていて
この空に
目に見えるだけの、青に
この広い空で
はばたいてみたい
なんて、ね
....
手向ける人は影も無くし
寄り添う人は飛沫をあげて沈みゆく
咲いてる花は色もとりどり
生きてるように揺らめき蠢き
私はまた呼吸もなく見つめている空
冷たい雨が
人たちを遠ざけ近付け
淡い熱 ....
滴り落ちる鍾乳石の響きのように 光は触れ、惑わす
耳を澄まし気付くまえに 耳を澄ますよう気付かせる
それがやって来たとき
わたしたちのつたないじゃれあいを
ペテュニアやら杏、ソシュールやらで ....
やさしくなりたいよね
人の痛みがわかる人に
でも
欲望はきりがないから
苦悩しちゃうよね
妄想するんだよね
強くなりたいよね
何事にも真っ向勝負の人に
でも
壊れちゃうから
....
温かい雨がしとしと、と
無機質をかき消すように降っている
白いはずの朝は
目覚めることをしぶり
わたしと一緒で毛布にくるまったまま
息を数えている
愛しさ それは夢と現実の狭間 ....
緑は異なる緑に侵され
世界は二つの緑に包まれる
緑は黒に蹂躙され
黒は赤に染められる
赤を散らして光が減ると
対立する黒は耐えられず
世界は透明になる
そ ....
誰にも見てもらえない
哀れなピエロ
疲れた表情を見せるのは
あの人から優しい言葉をかけてもらいたいから
ため息をつくのは
あの人に振り向いてもらいたいから ....
どうしよう
あたし今
無性に貴方に逢いたい
忙しい毎日
あちらこちらから
声がかかる
欠席する
雨が降る
新聞を読む
サラリーマン
太った男
笑顔にも
タイミングがある
着飾る女
年末の挨拶
向かった先には黒い斑点があって
逃げた先には枠だけの四角が羅列している
グレーの物体が地面に落ちたから無意識にそれを拾いあげて日常の生活にもどる
靴の先っぽが内側に向いているのはアルコールがまわ ....
シアワセと悲しみは表裏一体だ
それでもそのどちらかを選んで行かなければならないんだ
それが鼻先をかすめるやわらかい風を感じたとしても
綻びは出始めてる
それがどこに行くのかは分から ....
今年も背中を見せる
あなたの上着の裾を つまんでみる
皆 走っているからね
この子とふたり 取り残されているみたいでね
寂しくってね
私の指の小さなダイヤモンドが
電飾と歌を歌っている ....
言葉がどんどん
自分を裏切って
荒野で
一人ぼっち
ぽつんと
足をかかえて
待っていてくれた言葉だけを
つかんで
抱きしめろ
映し合う
水の背にふれる
ひとは
いつくしむ
貶める
それだけで足りず
殴り
銃で撃つ
いきものはしぬもの
....
きみは少し気付いていた。
もう、あたしがきみに恋してないことを。
久しぶりに部屋にやってきたきみは
うちの壁に飾る
シャツや写真や手紙とか
....
田舎の冬の晴れた日
窓の向こうから
胎児の声が
導管を流れる水の音が
聞こえてくる
優しい陽に植物は色付く
役所勤めの男があくび、をしている
ひどく美しい
ひどく静かだ
緊張 ....
3935 3936 3937 3938 3939 3940 3941 3942 3943 3944 3945 3946 3947 3948 3949 3950 3951 3952 3953 3954 3955 3956 3957 3958 3959 3960 3961 3962 3963 3964 3965 3966 3967 3968 3969 3970 3971 3972 3973 3974 3975
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
4.78sec.