何もかもから忘れられるための方法を探しながら
青い小鳥の歌を聴こう。
こんなにも見捨てられた楽園の中で
君の描いた僕のいびつな肖像画は
とてもお誂え向きに思える
....
内臓を全部出してしまって、
テーブルの上に乗せて観察する
クロスが汚れたけれどもいいの
ずっとこうしてみたかった
豆電球のの弱い光のせいだろうか
炯々とした雪の反射光のためだろう ....
ミクロトーム片手に
顕微鏡のぞいて
ニヤつくあいつ
パラノのあいつ
部屋はロウの臭いが漂う
毎日実験材料をいじくり
ほじり出す。
太郎・花子・健太と
名前をつけて可愛がる
明 ....
真実を言葉にすると
嘘になる
痛みをやわらげると
傷になる
ただ すべる手と手を
ただ 重なるぬくもりを・・
今日は ホント会えてよかった
口数の多い、いつも飾ってばかり ....
手でつかもうとしても
空を切ってしまうのなら
ほのかに照らしてみるよ
温かなかたちが
浮かびあがってきたなら
崩れてしまわないうちに
そっと包み込んで
胸の中にしまっておくよ
いのちはここにあるね
ずっと こんなふうにつづいてきたんだね
息をころしてても
こわがること ほんとうに あったんだろうか
ぼくもきみもここにいたのに
おかしいね
うたがって ない ....
陽も暮れかけた十七時前
山手八番館内の
洋室のソファーに腰を下ろし
レースの白いカーテン越しに
神戸の海を見ていた
開いたドアの外から
ふこやかな顔で瞳を閉じて ....
少年兵は、往かねばならない。
夜の荒野を独り
俯く黒い馬に{ルビ跨=またが}って
{ルビ碧=あお}い軍服を身に纏い
黒帽子の羽を{ルビ靡=なび}かせて
日々の戦で亡き友の
....
コトコトコトコト
ちいさなしんぞう
はやがねのように
はやいテンポ
コトコトコトコト
なにもかんがえない
ただぷかぷかと
うちゅうみたいなうみにうかんで
コトコ ....
聖堂で民衆達の祈りは
捧げられていた
祭壇前に{ルビ俯=うつむ}いて立ち
開いたバイブルの文字を読む
聖職者の声が
静かに響いていた
背後で見守る人々は皆
影の射す頬で ....
虫がとび、手を打つ手を打つ。三つ目を打つと拍手。聞かなかった旋律を賞賛するようで眉をひそめ。
職人が汗まみれで作り上げる見事なかつらを頭にのせたギトギト脂ぎった中年の親父たちが海豚の背びれを掴んで海の彼方に消え去って行く時の潔さを若くして備えた小学生が初めて同級生たちに水着姿を披露する時の恥ず ....
灰皿の出前業者が
灰皿で頭をかち割られるという事件が起きて
かち割られた頭の中から
灰皿がこぼれ出してきて
それを受け取るのに灰皿が必要になり
灰皿で溢れた灰皿を灰皿業者が処分しに灰皿に乗っ ....
きみ、あしたはどこいくの
そうきいたら
とうきょう、ってこたえたんだ
ぼく、あしたはどこいくかって
とうきょう、ってこたえるよ
だってここが、とうきょうだから
もし、その ....
強引なわりに
照れ屋さんで‥
甘えん坊なくせに
強がってしまう君‥
『たまには素直に
甘えていいんだよ』
‥なんて
言わないよ
強がる君が
大好きだ ....
北風に煽られる葉っぱ
くるりくるり 空に舞う
同じように私の気持ち
くるりくるり 天に踊る
嗚呼、私の心よ
なぜに そは愚かなのか
なぜに そは学ぼうとせぬのか
それを人は傲慢と言う ....
何もかもに祝福されて生きている、朗らかな笑顔で
これからもずっと、美しい絵を描いて。
答えなど忘れてしまうといい
君を彩るすべてを裏切らないために
どうか
傷 ....
ここで暮らしていたことが
夢のよう
いつかそうなる日が
来るとわかっていたから
やさしさは
やさしさでしかないことも
知っていたから
ただ祈るしかなくて
今も祈ることしかでき ....
すきっていってよ、ねえ
なんでだまってるの、
ねえ
きらいだなんていわないでよ
うそでもいいから、すきっていってよ
*
さびしくなってぼくはひとり うちゅうへいくの ....
空色のスモックを着て
如雨露も空色だったから
お空のかみさまになった気分で
プランターに雨を降らせた
ミニチュアの森を作り出す
背丈の小さなこのぐん生が
何という名前を持つのか
お空 ....
絡めた指先を離れない
伸ばしたり縮めたり
輪ゴム
楽しかった四時間
無駄に過ごしたなんて思いたくない
気持ち、若かったから
きっと何かしらの意味があった
そう思いたい
たぶんこ ....
子供を可愛いと思うこと
物を大切にすること
生き物を大切にする事
人の幸せを望む事
相手に敬意を払い
個人を尊重する事。
気持ちを確認して
話をよく聞きだす事。
人の下に立ち
....
お母さんは夕餉の支度
子どもがまとわりつく
『お母さん抱っこ』
お母さんは無視して支度を続ける
子どもが繰り返す
『お母さん抱っこ』
「お母さん何しているかわからない?」
子ども ....
海辺のテラスでページがなびく
カプチーノがテーブルクロスの白さに
苦い 指のまわりに 未来を
しっとりと抱いて重ねた砂糖
ショートケーキが運ばれてくる
そこに フォークを刺すと 汁がつ ....
ああ、よかった、と思えることに
ありがとう、と伝えたい
そう伝えられることを、伝えたい
スヌーピーの顔してた
おれと交わったあと
そうだ、あいつ
スヌーピーの顔 ....
夫のカノジョは夫の同僚だった
若くてきれいな女なら
わたしこんなに苦しくなかった
夫が恋をしたのは
働くお母さん
だからこんなにわたし苦しい
新聞にあった人生相 ....
うつろだ
世界を壊そうとする者よ
ふうせん
痛いようなふりをした
しあわせって
たとえばきのうの今頃
しあわせって
今みたいな
かなしみのなかった頃
....
ゆるやかな時間が流れてゆく
今朝は、雪が降っていた
今夜も、雪が降っているかもしれない
この部屋は、暖房がききすぎていて
ちっとも寒くないから
ひとりなのが、うそみたいで
....
洋館内を歩く旅人の僕は
黒い机上に置かれた
「ソクラテスの灯」という彫刻に
ふと足を止めた
衣の服を身に纏う男が
頭を垂れて
右手にランプの灯をぶら下げながら
歩いている ....
「TELEPHONE」という黒文字の上に
小さい金の王冠が描かれた
ロンドン旧市街の赤い電話ボックスが
洋館の芝生の庭の木陰にひっそりと立っていた
硝子のドアをぎぃと開けば
木 ....
3932 3933 3934 3935 3936 3937 3938 3939 3940 3941 3942 3943 3944 3945 3946 3947 3948 3949 3950 3951 3952 3953 3954 3955 3956 3957 3958 3959 3960 3961 3962 3963 3964 3965 3966 3967 3968 3969 3970 3971 3972
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
5.82sec.