バスルームの隅に腰を下ろして、お前は世界が滅びる夢を見てる、古びた壁のタイルの亀裂からはみ出た小さな甲虫が眼を潰された預言者のように出口を探している…開ききらない錆びた窓か ....
南国の木が立っている
わたしのように
雪国に生まれてから
ずっと
南国の木は知らない
自分が
南国の木であることを
雪国の木であると
信じている
雪国で生まれたなら
....
異なる二つの物体間には引力が働いていてそれは
F = k・x・X / (R・R)
と表される
Fが引力
kは定数
xとXは異なる物体
Rとは二物体間の距離
である
す ....
破れた くびたびれた足袋 繕いつつ また度々旅に出る足
寂れた ラブレター 届かないほど 奥の細道の奥の奥へ
遠くへ オーボエ 大声 遠吠え
雪山に当たって吹き下ろすから
シャッター閉めて ....
雪霧の向こう、鳥取放牧場で
三連風車のまわる気配がしている
でも、それは僕の呼吸とは関係ない
せかいを信じるためには
僕は小さすぎて、小さすぎる世界に
食われた鳩の羽毛のような
雪 ....
そうかもしれない
正直に言えばそうであって欲しかった
認める
そこは認める
確かに物事や状況は
不思議なほど
揺蕩っていて
感情のようでもあり
感情そのものが事象にリンクしているからだ ....
部屋に入って
電気はつけない
ダンボールの影にくつわむし
クロゼットの闇にこおろぎ
ほうりっぱなしの服にすずむし
冷蔵庫でたまねぎが芽吹く
ベランダに
線を抜かれた機械たち
明 ....
月がどうしても落ちてこない
手を伸ばしても
おういと叫んでも
お前は俺に似て
蒼白い顔をして
ただそこに浮かんでいるんだな
その頑固なまでの一途さも
『さらし者』だけに与えられた ....
夕方から
タイ古式マッサージにゆくことを考えている
残業している社員たちに
オフィスグリコを奮発してあげる
いちにちを祈ろうと
なんどか試みたけれど
タイ古式マッサ ....
うまれたばかりの
太陽のように
すずやかに
とうめいに
かわいいひとが
ほほえむ朝
しろい部屋が
つゆ草の光に
つつまれて
さあ
ふたりの
一日の
はじまりです
....
いつしか終わると思ってたし
終わることを願ってたけど
僕は信じることが出来なくて
いつも暗闇の中を這いずる様に
何かに縋り付いていたかった
それが何かは解らなく ....
かの女は脳天気
ときどき夜遅く、酔っ払って帰宅し
ねむけ眼の娘のまえで歌を歌い、そして
だれよりも早くねむる
ときどき大いびきをかきながら
かの女はおこりっぽい
かの女は平気で娘のまえ ....
目を閉じて
グラスに水が注がれて
お祈りをして
食べ物が運ばれて
今日は僕の誕生日。
この前のルビーの指輪の
お返しに
何くれるのかな?
その眼鏡合っている
カッコイイと言う ....
日本人の、日本人による、日本人のための日本人論。自画持参。手弁当だね。ボランティアだ。誰だって口にあうものしか食べられないよね。ああ君、何か食べて美味しかったからと言ってひとの吐き戻しはごめんなんだ。 ....
枕返し
枕は魂を夢の入り江へ運ぶ舟
夢と現の狭間に横たわる
とろんとした浅瀬を行き来する
僕は腕利きの一等航海士
大抵の鼾や歯軋りには動じないけれど
獏の襲来にはかなり手を ....
遠くの空に
一つ ふんわりと雲が浮かんでいる
家の前で
ボールと遊ぶ少年が
一瞬、その雲に目を遣ったが
すぐに
足下に視線を戻した
もう
彼はあの雲に向かって
手を伸ばさない ....
こどものしごとはなあ
勉強と
うちのお手伝いと
友達にやさしくすることやで
自転車のうしろの僕に
よくそう言っていた叔父は
定職につかず
まわりをいつも心配さ ....
年をとれば伴侶や子供がいて
不安を抱えても
誰かひとりでも勇気をくれる
女ひとり
佇む日々は
花としても晩年に差し掛かり
明るく見えた若かりし日々の栄光と
あ ....
私だけが世界からビミョーにずれてゆき
最後には意味不明なところにたどり着き
そうな気がして百万遍詣る百万遍祈る
ケータイだと時々
変換したいのに漢字がでてこない
だからこれは武器には ....
春を待たずに旅にでたいよ
根雪が薄い足をつつむうち
花の気配に気付かぬように
ぬきあしであの国道にでるよ
君の石が転がってるよ
黒く濡れた ....
そうだね、もう帰らなくちゃ
うん、分かってる
やっぱ帰らなくちゃだめ?だよね
あわただしいフリをね、ちからイッパイ表現してみました
ホントはまだね、あと30分はだいじょぶだ ....
都市の空 鈍く 射光を発し
緩慢な雲 白く カルマ吹く
夜景は開放を予感させて
私は空の人
今 自由の夜
音も無く
魂は暗闇に走り去る
思うさまに飛び散るから
夜の静寂が益 ....
真夏の夜の果て無い大地を
月光に照らされた細長い{ルビ蚯蚓=みみず}が
独りであることも忘れ
只 無心に這っている
それを見ていると
たとえ独りでも
この夜の向こうへ
....
どこかとても遠くでものすごい音が鳴った。
その音は周りにいた人たちの鼓膜を破ってしまうくらい大きな音だった。
俺の部屋でも聞こえた。
遠く遠く離れた俺の部屋でもその音は聞こえた。
でもあまりに ....
立原道造記念館に行った日
「立原道造と堀辰雄」という図録を
細い両腕で包むように
君はぎゅっと抱き締めた
後日僕は独りで
同じ場所に佇み
在りし日の詩人の ....
昼過ぎ
しっとり
水気のある
部屋に散らばった紙の感触
窓の外は
濃い緑さえもぼかす
真雨の国
タチアオイは
潤った その花弁を
桃色の羽 ....
「目線を一歩ずらした所に、詩はあると思います」
何年も前の合評会で
今は亡き講師のMさんは
僕に云った
仕事帰りの夜道を
車のライトで照らしながら辿り着いた
深夜の飲食 ....
世界の裏側に辿り着いて
君と絶望の夢を見れると思った
美しくない現実に翻弄されている僕は
見つかる筈のない数字をさがしていた
夜中に僕の腕の中で眠る君が
僕には天使のように見えたけれ ....
目線を逸らし
背を向けようとも
輪っかのような未来が
戦場を囲う
地団駄を踏み
そこに留まっていると
知らず知らずのうちに
輪っかは徐々に小さくなって
酸素を奪っていく
....
空が好きという人は少なくない
「空を自由に行き来できたら」
よく聞く言葉だ
完全なる三次元を体感できる空とは
陸上という束縛からの解放を意味する存在なのかもしれない ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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