時はそのとき
人はたじろぎ子供の為に
猫舌というのは生まれつきではないらしいのだが
ホットコーヒーは冷めて薫りが抜けた頃に飲み始めて
たとえば電車で網棚にバッグを置き忘れないために
心の片隅に重さをにじませておく程度に
飲み干して ....
懐かしい声から
その表情が見える
突然消えたその人は
数奇な人生を送り
普通の人生では
見ることのない風景の中に生きた人
老いた目蓋の奥に
鋭い瞳を覗かせて
奥底から笑 ....
呼吸を取りに帰る
瞬いてしまうまぶたみたいに
あらがえないこともあるのだった
息をひとつ
死んだ誰かへ
捧げるわけでもなく
そこに酸素があるぜ、
ということ
....
「 いってきます 」
顔を覆う白い布を手に取り
もう瞳を開くことのない
祖母のきれいな顔に
一言を告げてから
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く
散歩日和の道を歩く
....
合歓の木の上で眠りをむさぼるふらちな内臓
不透明な猫が目覚めたところだ
今そこにいた所に白っぽい魂を残して
静かにとなりの木に移る
走り去る猫
睾丸は膨らみ過ぎて目玉と区別がつかぬ
瞳 ....
黒くかび臭い彼の上着。
馬車部屋いっぱいに雨音が響く。
「絶望を知っている?」
「はい」
彼は残酷な笑顔を見せた。
雨音が聞こえる。
こんな時でさえ、私をこの場所に残し ....
もしもわたしがあなたに
すべてをわたしていたとしたら
あなたはあのこをあいさなかった?
もしもわたしがだれより
あなたをあいするといったなら
あなたはそばにいてくれた ....
夢を見るよ
小さな夢を
おおきなクジラ雲になって飛び立つ夢を
夢と現実のはざかいはいつもあなたの背中だけだけど
もう悲しい目をするのはやめてほしい
あなたの現実への
プロブナードはいつもこ ....
踏み止まろうか踏み出そうか迷う毎日白い線。
快速電車の吸引力を肌で感じ始めている。
存在はある日 突然 消えるものでなくて、
それ自体が無くなっても受け入れる側が認めない。
誰でもいい。誰かい ....
烈風 荒ぶ海岸線
低い雲に地吹雪が狂乱舞し
天狼は灰色の影を一つ見せた
艶めかしい獣毛に雪積もり
白銀の原野を隔てて
昏き森の続く 凪の時
天狼の一群 遠吠えの聖歌と紛う
森閑の ....
休めばいいのに
嬉しい時はどんな顔?
悲しい時はブルー?
本当はどこにいるの?
質問ばっかで疲れてる?
だったら休めばいいのに
やっぱり左上
今日は泣きたいか ....
北行列車は、かれこれ数年間は立ち往生している
車掌はいつも困り顔で客室に説明をしに来る
私はそれを聞かずに窓の外を見ている
雪が窓に張り付くとふわりとした光を持つ
「蛍の光、窓の雪」と歌ってみ ....
僕はもうなく
あるものへ もう
なにも夜にすらならない
姿へうかべようとも
かちどき橋が
ベージュのカーテンを手に
中に見つめていく僕は
遠くへ北海道を見る昼の窓に閉じ
歯 ....
マッカートニーの声を聴きながら
誰もこない部屋で
忘れ去られていくようで
弾いていく気分のギター
右手には潰れそうな会社があり
左手には年齢があり
足下の平らに
ぼんやりとして
....
板のような
霧のなかの
岩をめぐる
冬のまぼろし
応えは応えつづけている
応えられぬものはないかのように
ひとつひとつこぼれゆく
ひとつひとつ消えてゆく
....
何度となく夜空を見上げ諦めてきた
手を伸ばせば届く気がして
悲しげにまた僕を包み込む
月すらも瞳に映せない夜は
どうかあかりを灯して((僕を呼んで))
夜明けなどこなければいいね。
....
あれをこうして
ここにドバっと流して
そちらから
あちらに
行くとみせかけて
そのまま
やや斜にかまえ
そこでグワっとした時に
適当にあんな感じで
踊れば
いいと思うよ
多分絶対 ....
嘘をつきました。
世界が崩れるくらいの。
僕の嘘は、一秒一秒成長して。
僕の力じゃ、どうしようもなくなっちゃうくらいに。
僕の嘘が、君の心を犯して。
また、大きくなっちゃ ....
いつかの君に話したい、今、これほどに穏やかな夜
静止していく空気の中 減速していく時間の中
光は散らばって星になる 灯りは遠く遠く透明に
指先は鉄のように冷やかに 彩はブルー
それでもどこかで ....
一反木綿
ブランドって何でしょう
トレンドって何でしょう
ステータスって何でしょう
セレブリティって何でしょう
誰かの視線につながれた風船になるよりも
飾り羽が多すぎて飛べ ....
青い月が私に囁くとき
夜の風が吹き抜けて
青い月はいっそう
冷たく見える
一緒にはなれないよ
そんなあの日の
貴方の言葉を思い出す
朝には白く
消えゆく月に
....
悲しいかなわたしは女じゃない
悲しいかなわたしは男じゃない
悲しいかなわたしは人間ではない
悲しいかな
悲しいかな?
悲しかないがな
*
その声はとても高いところから来た
雲より発し、雨滴とともに地上へ降りてくる
その声にすこし遅れて雲が降りてくる
山肌を滑り降り、谷間を霧で充たす
立ちならぶ鉄塔が山肌を刺繍する
鉄 ....
月がきれいだよって
君に教えようとしたのに
君を見たら君がきれいで
そのまま君を見ていた僕に君が
月がきれいだよって
そうそう
月がきれいなんだよねって
思い出して見上 ....
オレンジ色の色鉛筆だけ
削るのはなんだか勿体無いから、
ピンクのコードとグリーンのヘドフォンを
水溶きしてキーボードに塗ろ(うそ)したら
バナナは皮だ、けみかるウォッシュの(ジーン)ズ
さか ....
夜行列車に乗って
行こうよ知らないどこかへ
そんなふうに
飛び乗ったのかもしれない
行き先も知らずに
何本も
列車を乗り継いで
生まれて死ぬよりも
ずっと長い
永遠のような ....
がさがさの手が
あずき色になって、互いの
手を擦り合わせても温かく
ならずに皮が剥けてゆく
ああ。ささくれ、けば立った心の
乾いた干瓢、ですねまるで
セラムってビヨウエキのこと?
美 ....
雨降りの日はあなたに会いたい
ジーンズの裾とスニーカーはもう
びしょ濡れだけどあなたは
雨に濡れてしまうよりも流れていく
雲を見ているほうがずっと
悲しい気持ちなんだって言った
同じ形 ....
子供の頃の、僕と父の写真を指差して、四歳の息子が、
「お父さんがふたりいる」と笑ってる。
それから、今の僕を指差して「お父さんが、もうひとりいる」と笑ってる。
今度は少し、不思議そうな顔を ....
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