妙に窓が明るいと思ったら
昨晩降り続いて街を覆った雪が
朝を反射していました
{ルビ氷ノ山=ひょうのせん}の上で薄灰色の雲がただよい
{ルビ若桜=わかさ}の木々が瑠璃細工になり
冷たく寒い朝 ....
全世界のけだるい午後に
垂れ込めた黒雲から
雨は降り続いている
という僕の主張を
すくなくとも日本は晴れだわと笑って
君は信じてくれない
見せかけの天気だと
どうしてわかってくれない ....
{引用=全世界の"私"と、今では遠くなったT.Aのために}
机のうえにコップがあり
椅子のうえに私があって
時計は23時59分を指していた
この部屋で動いているのは ....
「おはようございます、佐藤さん」
あぁ、おはよう。
目覚めはコンピューターとの挨拶から始まる。
鏡を見ると、そこにはこの世のものとは思えないハンサムがいた。俺のことだがね。
食卓には食塩と胡椒 ....
青銅の獅子が土砂に浚われる
日没、架橋のしたの渦のちかく
掘削されてまもない暗い洞穴に
青黴の麺麭のかけらを投げいれ
反響する木管楽器の透明な鼻息をきく
いっさいはみだらな情欲のうちにおこな ....
鉄ぱいぷ覆ウ黄ニ煤ケタ幕公園木々存立裂キ梢ノ先霞ム空域劇場
巷間ノ桎梏後屈スル天窓嘆息スル小水スル闇雲割ク落雷
古帝ノ武装シタ屍渇キキッタ疾風市街ノ灯ヲ焚キツケル
ワレラノ拳奪イサル嘗テ
太陽 ....
ヘッドフォンで聞いていたロックの曲と曲の合間に、
耳鳴りが、耳の奥で、鳴っていた。
何事もなかったように次の曲がかかって、
僕はまた何事もなかった素振りをして、
それでいつしか眠くなって、 ....
言葉が 膝を抱え丸くなったまま 産まれない まだ
非結晶の 硝子が こっそりと流動する
それは秘密 だよ
いつか 懐かしむだろう 君を 君の淹れてくれたココアを 君の唇の湿度を いつ ....
夜の"海"は既に
この町を
飲み込んでしまった‥
"波"に抗い
もがきながら
やっとの思いで掴んだのは
水面に浮かぶ満月だった
ゆら ....
_26:30 星は流れた
きっと
誰かの願いが叶うのだろう
瞬きの合間に
夢か希望か不可能かを
塵と消えた微かな物に
_26:30 星は流れた
....
たとえば俺が死神のノートを拾ったら
そっと知らない土地に埋めるだろう
寂しいときはときどき掘り返し
誰かの名前を書くのだろう
線香花火のおとたてて
ねずみ幽けき雲まから
まえの方からふわっと
わっとふけみたいな白
フロントガラスにパッ
パッパッパッ線香花火
僕は祈っていたのでした
....
鳥取の冬を包み
かくすもの
街の音まで凍らせて
夜を沈黙で満たし
立ち尽くした
遠くで、雪おこしの稲妻が
夜を呼びさます
暗闇に置かれた水晶の透明が
今 ....
今日は一度も傘を差さなかった。
傘を差すのは嫌い。
周囲がいつも気を遣って、
『どうぞ』
って 入れてくれようとするけれど。
大丈夫だよ。
どしゃぶりでもない限り。 ....
ひろいひろい畑にて
老いた木、一本ありました
ひろいひろい畑には
淋しく淋しく木が一本
ひろいひろい畑に生える
老いた淋しいその木には
ここぞとばかり、この秋は
たくさん ....
「好きだよ」
君が言う。
私は
その腕の中
泣いてしまいたかった。
月が
30Wの白熱電球の輝きを持って
フラリと空にある
都会の冬の夜空では
どんなに空気が澄んでも
瞬ける星は数少ないから
月は遠慮なしに
夜空を支配できるというのに
少し ....
真上の月
四つの杯
ひとり去る猫
ひとり去る猫
蝶が蝶を吸いに来る
重なりのむこうの波
波のむこうの冬
より硬いものに触れ光は撓む
くすり指のふ ....
おまえはひとりのふりをするがいい
常に書かざるを得ないものなら
おまえの余裕の臭いがわかる
おまえはそうして滅びるがいい
ひとりのひとりを知るものは
岩を岩を岩を岩を
....
やっさん
やっさんは九州から中卒でやってきた人だった。
工場に勤めて、結婚しそこなったまんまで55になった。 なんかの副職長という肩書きがついていたけど、給料は安いまんまで、九州から出てきたとき入 ....
もう長いこと
あなたと暮らしてきたけれど
もし今日が
はじまりの一日だったなら
僕はあなたに何を言えばいいだろう
と考えた
暮らしてきた日々とひきかえに
これからも暮らすための ....
綺麗なあなたに
名前をつけてあげたいけれど
あなたの名前はもう
決まっているのね。
もし私が壊れたら、
あなたにもっと
素敵な名前を
つけてあげられるのに。
やめてけろ
ひと恋しさにちゃちゃ入れた
わたしの思いを
やんわりと断つように
春の兆しは白い肩口の奥へと隠れた
厳しさだけではない冬の素顔を知ってから
流されるのとは異なる
自ら ....
{引用=
寒さよりもしみとおる孤独に
大地は沈黙している
屹立する枯れた木は
信じる力を失い
他人の顔をした
春の訪れを恐れている
蟻の巣は崩壊し
{ルビ ....
心のカウンターで
1人酒を飲む
フェアーレディーが
隣に座る
プリティーガールが
その隣に座る
フェアーレディーが
攻撃する
大声で話す
劇をする男
人の輪ができる
話は ....
なんとなく蹴散らして
空に降る雨
きみはいっつもそう、
うそが上手だね
たくさんの星を抱えて
走るよ
ぼくはこの冬空の下
走るよ
なくさないために
白い息を吐いて
消え ....
その日早く
小学校に着いたぼくは
講堂の前に並ばされた
校門から入ってくる
青い制服の子どもたちは
波が引いた磯の蟹だ
校庭の砂を踏みながら
青い蟹たちが拡がる
背広を着た ....
わたしは助走する
ふり返る季節にはきっと
落し物などない
雪で描いた夢は
春を待って溶けゆくけれど
消えはしないよと
誰かが言う
春になればまた
花びらが夢を咲かせる
たとえ ....
なぜ、なぜ消えてゆくの
こわれた思い、手に掬うように
かけらをひろいあつめたら
すべてがもとにもどるわけでもないのに
あなたが贈る接吻は
あやかしの匂い、とまどいの一瞬
ゆるされている ....
さよならの内側を
ぼくらは歩き続けて
いつか
ため息が色を失う頃
ぼくらは手を振るのだろう
ねえ
そんな遠くを見ないでよ
空、見上げてごらんよ
今日も群青だ
....
3904 3905 3906 3907 3908 3909 3910 3911 3912 3913 3914 3915 3916 3917 3918 3919 3920 3921 3922 3923 3924 3925 3926 3927 3928 3929 3930 3931 3932 3933 3934 3935 3936 3937 3938 3939 3940 3941 3942 3943 3944
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
4.15sec.