夏が来るのだろう、と梅雨だから思う。ジメジメしている。どこまでも続く夏に僕の、ニンゲンとしての価値、なんかも薄く薄く引き延ばされてしまうのだと思う。遠く、青春だとか目を細くして、笑ってやるさ。笑わず ....
僕の心臓は、冷たいマグマだ
凍ったマグマは、泣いている
星の致命傷の飛沫の中で
ただ熱くなるはずだった
冷たいマグマの一筋の
青空に削れた人間は
世界の終わりの裂け目の奥で
孤独の仲 ....
時々昔いた 会社のことを
今いる 部屋で思い出す
あの子はもういないみたいだけれど
どこに 今は いるのかと
ウェブページを見ている そして
そこから 辿ってきた道を
僕はあれから ....
空になりなくて
なりたくて なりたくて
ひたすらに 青い空に
青くて 青くて
青くて 青くて
青いことで とやかく言われない
空になりたくて
風が入り込み
這いまわり
出てゆくたび
ひとりになる
夜の地に立つ夜の洞
夜を二重に夜にする音
雨は洞を抜け別の夜へゆき
音だけがこちらに残される
....
夜をのぞき込む夜が
少しだけ喉を痛くする
壁の虫はどこへゆくのか
おまえはおまえの夜をゆくのか
朝に張り付いた昨日の雨が
陽に刺されては落ちてくる
ひとつの ....
空を海へ引く光の紐
雨と機械の音が重なり
遠い話し声となり
さらにさらに遠去かる
音のはざまに見える陽
すべては明るく
白いものの前に浮かんで見える
だが暗が ....
エロチックな好奇心と
相性がいい音楽がある
それは時にバッハでも構わない
大切なのは
踊ることだから
何もかも棄て
くるくる回り
捩れ
戻れ
くり返すだけ
....
この間
コロナを拗らせて
死んだじいちゃんの
机の中から
一冊のノートが見つかった
じいちゃんは
自称詩人だった
証拠隠滅のために
その夜
家族みんなが見守る中
庭でそのノ ....
同心円の瞳孔
三角の弛緩した筋肉
血液と神経と
共感と反感、
眼 形造り
中庸を維持しながら
感性の異常な高揚を、
広大無辺の水色
柔らかな硬さに
合体させ溶かして
....
髪を上げてみよう
唇に紅をひき
新しい上衣を着て
お茶を飲みにゆこう
ポケットには何も
入っていないから
冷たい掌つっこんで
香り高い紅茶を飲みにゆこう
....
うだる田舎の熱帯夜、
自販機にたかるカブト虫
無数の黒々と蠢く輝きを
しなだれてうなだれて、
さるすべりは薄紅に
うっとりと夢見ながら
目覚め花開き眼差して、
無音流動する樹 ....
求めているのは本当は音楽ではなく、無軌道な音の集まりなのかもしれない、それは一般的には、ノイズと呼ばれるようなものかもしれない、でもそれには制約が無いし、衝動について語る手段としては、最適なものだ ....
花がゆれていた
かすかな風があるらしい
おあしす、という名の看板が
空に吊り下げられ
割れた白熱灯が取替えれない
青粉を吹き
町と山の境を馳せる群
人をつれ去 ....
電子タバコにしてから
口元に火を近づけるということがない
息子に教えたいことがない
おれからではなく、自分で見つけたらいい
おれはもうすっかり満足だ
おれはもう歳を取らない
じゅうぶん歳を ....
{引用=夏の飾花}
大荷物を咥えて蟻が後じさる
アスファルトの上をたった一匹で
美しい供物
琥珀色に透けた翅
七宝焼きの細いピン留めのような
ミヤマカワトンボの骸を牽いて
小さすぎて読み ....
「この道を生きる」
そう思い
自分の役を演じた
一日の終わり
「生きるって素晴らしい・・・」
そう呟いた
在りし日のあなたの声を思い出し
川の向こうの夕空を見る
何処からか風は ....
俺が一番、
と密かに燃えているうちに
末広がりな八の視界は開けてきて
幾度もの挫折の後に
二(ふ)っ と力の抜けた
日の夜
九人の侍が和になって
キャッチボールをする夢の中
ボール ....
九月十八日は僕等の結婚記念日で
八月十八日はダウン症児の息子が
世に産声をあげた日で、妻も私も
それぞれに心震わせ、涙を流した。
NICUのカプセルの中で、小さな小さな
呼吸を看護師さん ....
アガパンサスの揺れる向こうから
夏の旋律がこぼれはじめる
空の青と光の白が
みるみるそのまばゆさを増してゆく
そこに君が居た
そのなつかしさは残酷なほどあざやかだけれど
でもそこはもう
....
よい父は、死んだ父だけだ。これが最初の言葉であった。父の死に顔に触れ、わたしの指が読んだ、死んだ父の最初の言葉であった。息を引き取ってしばらくすると、顔面に点字が浮かび上がる。それは、父方の一族に特 ....
暗闇に 弱々しい一筋の光
信じて歩んでみようか
これまでも、これからも、
夜の風
びゅうびゅうと吹いている
公園でお茶
遠い空に
花火
しばらくして
ドドーン
身体の力が抜けて
この感じ
少し眠たく
次の花火を待っている
遠い空に
花 ....
どこか見憶えのあるような、
なだらかな空気のなか硝酸系の毒物を蒔く
愉しそうな子供たち、大丈夫もう終わりだから
地下鉄工事の終わらない夏休み
眠れない夜をいくつもいくつも数えた ....
次々と崩れ壊れゆく波
追跡する遠い灯り
ささくれ立つ闇抱え
どうしようもない
この憧れ哀しみ抱え
次々と崩れ壊れゆく波
遠い灯りに見守られ
己を超える圧倒的な存在
通学路の坂道登り ....
アスファルトにフライパン置いて
目玉焼き焼けちゃうんですって
た、試してみたい
世間の奇人の評判を?
まぁいいだろう
暑い
しかし人間には耐性がある
こうして暑さに身を慣らせば
ど ....
蒼穹の砂浜、
弓の弦、
澄み渡る旋律奏で
七月の波沸き起こり
打ち寄せる旺盛な生命力、
反復され蓄えられ
上も下も右も左もなく
すべて真っ青に透過され
地水火風の精霊たち、
一つ ....
雨上がり、路面電車が
湿りの中で発光したまま
緩やかなカーブを破壊していく
何の変哲もない病室に
復員したばかりの真昼と青空
そこでは誰もが幸せそうに
夕食に出た鰊料理の話をしてい ....
作品はいつもオープンアーキテクチャ
そのうえで未完成のまま投げ出しては
他人の顔を覗いてくるので言ったまで
周りにいる人たちは素人ではない
それぞれの人生を生きる玄人でもない
けど、一所 ....
水をワインに変え
白い人、
時という河 滑りゆく
時は切り裂かれ
一瞬の永遠
その光景は開かれ
銀輪の夏、
梅雨を吹き飛ばし
緑亀を買いにお兄ちゃんと
灰白のアスファルト自転 ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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