慰めの言葉をかき集めるつもりの帰省で
何のことはない
旧い友人たちを精一杯なぐさめる酒を飲んだ
思えば卒業をきっかけに
故郷を彼らに押し付けて
都会へ来た俺はまだ幸せものだったのかもしれない ....
水母ゼリーの月光振動
白濁のパルス苦く静かに
クレーターあける
クレーターあげる
春くらい咲く前に
暗い桜咲く前に
クラッシュの後輪は
フラッシュの光輪に黒く
クリーチャー苦し ....
言葉は発するそのたびに
重さを無くすものだろう
夕暮れを黄昏と言い換えて
寂しさを知ったフリをした
恋情に過去を積み重ね
大切さを説こうと試みた
引き出そうとする単語は
聞き覚え ....
数千億の水の龍が
大地に嫁ぐ音で
安らかに{ルビ微睡=まどろ}む
頭蓋の裏窓から眺めるよ
天よりただその為に落ちる
水の龍達よ
すまない
君らを救えないが
私は救われた
頭蓋の裏 ....
弁護士も消えてしまって
拘縮の妻をなでている月
声が聴こえる
笛のように震えている
それは孤独の笛だ
うつろな瞳孔が
ぎゅっぎゅっ動いている
哀しみが踊る
孤独を見つめていた
雑踏の風の中で少女を買った
手のぬくもりも
胸の厚さも
すっかり覚えてしまった
わたしの中には
いつも兄ちゃんの声がある
兄ちゃんの呼吸がある
むかしむかし
あるところに ひとりの少年が
おりまし ....
手が汚れたら手を洗うのと同じように、君は身の回りのものを捨てる。
私はそれと同時に、美容院で夏に傷んだ毛先をケアしてもらう、
ある人はカラオケに行くのかもしれない、
またある人は衝動買いをするの ....
日本語を趣味にするなら趣味として
対象は正しく愛玩しましょう
全ての言語が誰かの母語であることを
忘れないで欲しいのです
日本語は美しいと
容易く
あまりにもお気楽に口にしてしまう ....
堕ちていくのは
時計の針かはたまた
砂時計の砂か
どちらにせよ結果は同じ
両方時を刻む魔法器具
君の小さな手の平を
繋いでふさいでもいいですか?
曖昧な返事は ....
どうすればいいのかわからなくて
立ち往生する
極楽往生じゃない往生だ
この往生はどこに往って生まれるのか?
地獄か? だとしたら何故地獄なのか?
問題を解決できないのは悪いことか?
何に対 ....
蔦を植えた君を風が抜ける
触れる者を待ち
褪せたドアノブに
風上となって立つ貴方の水滴が滑り落ちる
ゆっくり
さわらず、
傘立ての底が濡れてゆく
一滴を撫でた貴方の皺より ....
煙草を一本、灰にするあいだ
曇りの夜空、見上げているのは
この道で自分がしでかしたことへの
悔いと純情を見つめるためなのだ
風のうわさ、本当にあるんだな
秋の雨はどこ ....
「はい、じゃあ、としゆき君、春に咲く花といえば?」
「スパイ女房!!」
僕らの季節はそれなりの音を立てながら
狂ったメリーゴランドのように ....
エゴイズムでも自己満足でも
悪者でもひねくれ者でも
勝手でも自由気ままでも
傍若無人でワガママでも
避けられても外されても
笑われても貶されても
蔑まれても罵られても
恨まれても憎ま ....
冷蔵庫の中を見つめながら僕はため息をつく
怖かったのはきっと製氷器が動くことを止めなかったから
文字を辿るのと食べ物を詰め込むことは
どこに違いがあるのだろうか
伸びてゆく爪も髪も既に私の支配 ....
窓の遠くでコスモスが揺れざわめいている
君はそこへ行きたいと云う
行くがいい 君になら似合うだろう
あの優しい色あいも それを揺らす風も
すべてを照らす初秋のあかるい陽射しも
僕はこ ....
今日最後の光が
暗闇に飲み込まれる時
僕の左側は
ありふれた原風景に帰りたがる
無闇に掻きむしられた
胸の裏地のヒリヒリを
残業前のコーヒーブレイクで
なだめすかす
今日最後の ....
冷えていく
必死で確かめる手の感触は
歩けば歩くほど不快なものになるのに
決まって早足でわたしは向かい
同じ歩数
同じスピード
同じ肩の強ばり
同じ白蛇の悪寒
噛み締めた歯が痛い
一時間前には笑って ....
夜中のうちに
鍋の底で腐っていくとろけた大根が
少しでも悲鳴をあげてくれれば
わたしはすぐに火を点けて救いだしてやれるよ
*
流れる景色を見つめている
次々と集まり出すこの電車内の人、ひと、ひ、 ....
夜の散歩中に迷い込んだ名も知らない小さな神社は
まちあかりも遮ってしまう茂みに覆われている
自他共に認めるリアリストのわたしでも
物の怪の姿を探してしまいそうになり
風で葉がこすれるか ....
・
空が脱脂粉乳のように
薄く万遍なく引き延ばされてしろい日
うすぐらい部屋のなかで洗濯機を回している
色とりどりの洋服は不要になった皮膚のように
集められ濡らされ浮かんだり沈んだりし
渦 ....
お互いに危険と快感を欲しがっていたから
何かとよく話すようになったけれど
近頃は足の踏み場を探すようになった
笑えないジョークに相槌を打ちながら
暇潰し程度に逃げ道を作ってみる
本当はこ ....
ひとつのメルヒェンが世界を往復するあいだに
路地裏の女はひらがなで大きく書かれた
しなないという文字を
街の中心地へと押し出そうとしている
(光の海で星と泳ぐ少女の物語も日が暮 ....
{引用=アラフォー美女軍団が集う とあるアスレチックジムの昼下がり
美しさを競い、年収を競い、つかの間の恋人を競う彼女達の今日の関心はチーズだった}
丸チーズですわね
赤いセルロイドに入ったので ....
よく晴れた日曜日の朝
洗い立ての心臓を
物干し竿に干した
切り離された動脈と静脈を
洗濯バサミでとめて
(ぶらぶら)
風に揺れるその動きが鈍い
滴る雫が陽光に照 ....
朝の薄闇の中
漸く日の光にあたるはずだった蛙は
また暗く深い井戸に
引っ張られ
ボッチャン
暗い闇と死骸の腐敗した臭いの充満した井戸
這い上るはずの壁はあるのだが
真っ暗闇で ....
「あなたたちは鵜飼の鵜だ。
もしくは、
温かい食べ物にラップをして出来た、
内側の水滴だ。
私達が発する言葉を思いを、
ただはね返すだけ。
やる気が見られない。
....
それは弱まるものである
経年的な金属疲労のように
だが軽視するものではない
それは強まるものである
果樹園に漂う芳醇な風紋のように
だが羨望するものではない
それは見え ....
一篇
どこに
詩 は
....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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