赤い塗り絵の重圧を感じる革張りのソファの硬さに比肩する
未だ消えず手に残る、万力の無慈悲な感触の記憶
事あるごとに呼び出されるそれらにより
サイバネティックの壁画はものの見事に完成された
....
先生と夜食事でもしなさいと今朝社長から電話があったのでユキオはカタヤマを食事に誘った
カタヤマは意外に乗り気で、ぼくもきょうそうしたいなと思っていたんです、と嬉しそうな顔をした
営業車にふたりを乗 ....
アイツが迎えに来るよ
もう随分と前に捨てちまった
あの手をふりほどいてやったはず
最近私を引き戻すために
記憶から今に飛んでくるの
お ....
二番目の器の中で
笑っている子供たち
悠久の久しさは 星と星の小径のように
細く 遠い
それでもきっと声は届く
道を横切れば
そこは尖端
けれども進む
未開の道標を踏みしめ
膨ら ....
楕円の皿にわたしの指紋が乗る
楕円 私は 指紋のひとだ
ゆらゆらと少し苦い棒茶をすする
大鉢の下は銅の網が敷かれ
光沢もない
格子戸から黴がこぼれる
吹き抜ける風と
カーブミラー ....
山脈のようなオウロラの荒波に生まれる渦の中心へ
螺旋状に繋ぎ合わされた音符が捻れた旋律となって注ぎ込まれる
歓声と悲鳴 奇声と怒号
明動 脈動する大気
その揺れを揺り篭にして触れる空気 ....
自分らしさ見失いかけて
もがいた日々に終を告げて
今
真っ白な心の景色に身を委ねて
降り重なる悲しみの雨
打たれて崩れ落ちる無残な有りさま
とめどない心の叫び声
....
ガラスのコップ
飲み物を入れるためのもの
注がれる液体に
おまえは愛情をこめるのか
でも
おれは
缶から直接
おいしくいただくのだ
おれにはコップなんて必要ない ....
刺激さえなく
入り込む余地さえなく
雨音だけが満たす
平衡感覚の欠如
はじめから普通でなかったこと
心なしか不安
室内香の香り
もどかしさだけを抱え
その先を見遣る桟橋のたもと
....
空に墨を塗ったら
穴に住んでる鳥が鳴いた
「病気はどこにでもある
赤い熱は誰もが持ってる
だから苦しまなくていい」
やさしい言葉をかけたいけど
フェルト生地ばかり重ねて
尖った万 ....
蝶には羽がある
カラスには羽がある
人には足がある
足が無くなって
夜を滑り込んで
昼に遊んで
友達がいなくなった
影法師
ノミに脳みそはいらねぇ
人には ....
ぼんやりと歩いている様な気のする
ある者たちは
間違った方向に向かっていることに気づいた
父と会おうとする日の道を思うことすら難しかった
ましてや出ることなど
駅の改札は入ったところから ....
俺だったのかと気づかされている
労働者ですらなくならされた時に
ロックバンドを畳んでは 公衆電話の前でため息をつかされた
感情自体を叫ばされるようなロック自体を見かけなくなったものだ 運送会 ....
お前の長い黒髪を
撫でればズルッと抜け落ちる
わたしは屈んで拾い上げ
指に集めてブーケを作る
お前のネイルは艶消しの
触ればズルッと剥げ落ちる
死んでも伸びるケラチンは
貝殻みたいな ....
母の夢の中に
わたしは現れました
たくさんの人たちの
夢の中にも
わたしは現れました
母の夢の中に
ふたたび現れたのが
妹でした
彼女も同じように
数えきれな ....
3時に営業所に戻るとユキオの向かいの席に薄い黄土いろのスーツのカタヤマが座っていた
カタヤマがほんとうにどこかの国の蛇つかいのように見えた
ゆるいオールバックがターバンに見えないこともなかった
....
あなたを待っています
わたしは
いつまでもあなたを
果てしなく続く海の底で
苦しかった呼吸が途絶えた
締め付けられるような肺の痛みも消 ....
三月は忙しい
頭がだんだんごちゃごちゃしてくる
寝てる間に
パソコンにするように
デフラグできたらいいのにな
フラグだらけになっちゃうかな
何かわからなくても何かいいことの
予約が出来た ....
人を
愛さないと
決めた瞬間・・・
悲しみと同時に
強くなれる
4月 黄色い帽子とランドセル
小さな君たちの担任になった
何も心配しないで
私が守ってあげると約束した
校庭の桜も 笑っているよ
だから もう泣かないで
5月 日時計はゆるりと春を刻ん ....
ただでさえ寒いのに
雨がしとしと降りやがるわけで
レインコートを羽織ながら駐車場へと急ぐ道
雨が引き起こす微風が骨身にしみて
しかしその冷たさを
なにやら純粋に感じてしま ....
クラゲの夢の中で
わたしは一輪のタンポポでした
ぽかんと風に吹かれて
空を見上げているばかりでした
タンポポさん、と幼い声で
男の子が手を振ってくれました
わたしには振り返すた ....
卒業シーズン
周りがそつぎょうそつぎょうとうるさいので
俺もなんだか卒業しなきゃいけない気分になる
先生、僕は今、何を卒業すればいいのでしょう?
もう幼稚園も小学校も中学校も卒業したし ....
雪ん子 一人 顔 見せた
ピンクのネンネコ羽織ってる
ほっぺの赤い雪ん子一人
外は吹雪で氷点下
何を目当てで顔見せた。
雪ん子 一人 顔 見せた
おまえの目と目は細すぎて
どこを見て ....
御託
幻
塊
美意識
狼
努
はたまた、
夢
合図だよ
たかが
合図
たかがね
スイッチを
先っぽが冷えてしょうがない
そのままに
動かさない
眼も
指も
....
わたし自らが灯となる時
周囲の人の瞳の内に
不思議なほど無数の灯が
同時に ぱっ と、ともります。
初めに。
始めから言い訳を述べる時点で僕の情けなさがわかる。
いつかの君のように一言『ごめん。』と言えたらよかったのに。
必死に考えた言い訳を述べるよりよっぽど簡単で、
お互い、楽になれた ....
長い間、入院している痩せた男は
夕暮れ時の屋上で
かつて自分が働いていた
スモッグの乳色に覆われた
街の広がりを、眺める。
見下ろす玄関には今日も
無数の人々が蟻の姿で
....
ペンを持つ手が震えている
私は私に もうすぐなれるのだろうか
一歩一歩積み重ねることの大切さは
今更、わかった気がする
でも 一番大切なものは
こんなものじゃない
幻が、呼ぶよ ....
みぞれと言うのか
雨が凍っているというのに
こんな夜にも走る男がいる
気が済まない、
習慣に中毒したのか自己啓発強迫なのか
こんな夜くらいはさぼろうという気がない
上空で
雨が凍るという ....
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