思い出す
女子高生の頃
道路に急に出てきた
サッカーボール
ボールを拾いに来た
利発そうな小学生
”ありがとうございます”
そうていねいに挨拶してくれた
なんだか とっ ....
{引用=(自動扉の開く気配
夏の口が開き熱っぽい舌が僕をなめる
揺れる木漏れ日 吹き出す汗 シャツを流れる風
即興的に産まれたノイズ まぶしいタイル
葉の擦れ合う音 靴ひも 蝉の声はさらに重 ....
【gravity】
僕たちは引かれ合う――見えない何かに導かれて
宇宙に浮かぶ無数の光のように
僕たち一人一人はとても小さな星さ
無数の ....
きき手の手首が
にぶい痛みを届けてくる
午前二時に起きて
針を持つ
からだの芯部から
花びらが
溢れて
とめどなく溢れて
殺風景な部屋を赤やピンクに
踊らせる
女は陽炎を抱えき ....
うちで飼っているヤマトヌマエビが脱皮した
と嬉しそうに妻が脱け殻を箸につまんで見せてくる
食卓に置いとくから見てね
暫く飯喰いながら脱け殻を見るようになり
ヤマトヌマエビの脱け殻に慣れてきた頃 ....
君には見せたことすらなかった。
僕の中にいる君には見せることが出来るのに。
大袈裟になる前に消したかった君を抱けない僕の右手。
触れられるほど近くにいたのに僕を打つことが出来ない僕の左手。
....
遠距離恋愛ができても
遠距離セックスができない
これが人類の大きな欠点だ
昔、友人とお笑いコンビを結成して
「エスパーのキス」とか「エスパーのセックス」というネタをやったが
今 ....
ひらひら不規則にばらまいている
妙な笑顔で広告を振りまいている
いつも知らない振りして誰かの髪を飾る
家に帰ってくっついてきたものが何か知る
割れ物がばらばらになるまでに何があった
....
月よ
落ちてしまえ
星よ
砕けてしまえ
雨よ
激しく降り続け
空ほどの広がりも持てぬ俺は
こんなにも小さい
幾ら言葉にすがろうとも、まま ....
ある夜、突然目が覚めた。
AM3:25、まだ寝始めて2時間程度しか経っていない。ふと横で寝ている彼女を見ると驚く事を観付けてしまった。背中に大きな紙が1枚、なぜだか貼られていた。
『?』
....
まだ見ぬ女性に電話する
「あなたは、マグリットが好きでしょ。」
確信を持って私は伝えた
当然間違えるはずなどない
羊水に浮かび私達は遊んだ
35年間ぶりに再会した
ATGCの配列が ....
{引用=
五月の渚を
散歩する白い幽霊
恋人の笑顔で振り返って
消え去る
現実ではありえなかった情景に
こんなにも度々顕われ
胸を痛ませる
....
5時間後には職場にいる
向こうから
朝が轟音たてて近づいて
午前4時のカラス、鳴く
励ましてくれるひと、ありがたい
応援したくなるひと、たいせつだ
沈んだ気持ちにさ ....
言葉ではない 詩が
僕の尻尾の先をかすめて
逃げてしまった
もういくら耳を澄ましても
ただ車の往来が鼓膜を揺らす時間がきて
うなだれた首に、夏の風が下りてきた
どうか、大好き ....
あなたが私にくれた
最初のプレゼントは命
あなたが先につくっていてくれた
私の住む地球
世界は広いだろう
この目で見えないだろう
まだ知らぬ空間をもっているだろう
....
鯨に住んではや十八年。
十八年間ひきこもり。
一度も外へ出ちゃいない。
積もり積もった借金のがれに、苦肉の策で鯨に住んだが、こいつが案外居心地がいい。
絶対安全な隠れ家を貸します、ってんで ....
世界さいごの日
こどもたちが手をつないでうたっている
あぶらまみれの海に清い輪がかかる
「いってらっしゃい」「さようなら」
ひとびとはオルゴールの粒になる
こども ....
かつてあったというその映画館は
なんとなく美的イメージをもっていて
しばらくの沈黙を
みんなに与えた
よぶ声のない
うちゅうみたいに
ただただぼくは
えがかれることのない非在を散歩した
いつも君を見ていた
君の笑顔を見ていた
君を愛していた
君の笑顔を愛していた
君を守る
君の笑顔を守る
そのためなら
命も惜しくはないと思った
君のためなら
死んでも ....
新緑の季節
五月の朝の陽光を浴びた
ニコライ堂 緑青に覆われたドーム屋根
明るい陽光に
くっきりとした陰影を残した
コンドルの遺産は
一二〇年経った今日も
聖橋から靖国通りに向かう坂 ....
青い月が微笑む夜
オレは
路地裏で
死ぬのを待っていた
どこがおかしかったのか
考えても仕方がない
彼女は
バラの花束を抱えるオレを
鈍いナイフで突き刺した
火傷のよ ....
蒼白の掌に
重ねられた
日に灼けた褐色の掌
襞と襞が結び合うように
地中を流れる
一本の水脈となる
生い茂る雑草の
繁殖の力に
おののきながら
人々は
草刈機で切断する
親指 ....
窓の外が開くと膝の下でないた
ひとりぼっちのあの人は優しい眼をしてる
なんでために手から汗が滲み出すんだ
乾いた空気は噛んだ声ははらたれた雨かもしれない
雨が大好き 命を食らう
風が大好き風を食らう
小さな人になりたい叢のりょうてにたりたい
地を滑る ....
隣では男が死んでいる
私は蓋を探している
どんな蓋だったのか
男を見て形を思い出している
見かねた男も探している
隣には男ほどの大きさの窪みがある
そっと触れるとまだあたたかい ....
剃刀の刃で喉を裂き死ぬという、いかにも凄惨な最期を遂げた人に僕がかけるべき言葉はなかった、はず。
夜は野卑な信号の群れをくぐって淫靡な闇の中に車を送り出している。
1
絵に何一つ抱くこともない思いを、人は車で追いかけるのだろうと、私もハンドルを握っている。
2
味方が敵軍なのだと思った陣地から、兵士たちは帰ってこない。
3
やつれ果 ....
とある日
郵便受けに入っていた種
石灰と肥料と期待を土に混ぜ込み
成長を見守る
木の葉を器用に全身に巻き
住居と食料を兼ねる
木はやせ細り
わずかばかりの蕾を儲けた
ふい ....
バスタブに沈むさみしさはやはりぼくの唇のふるえと共鳴する
今日も暗色に温もりのかたちを教えてもらいながら眠ることになるだろう
この手で歌うことに慣れたぼくは
いつもそれを不協 ....
隣のビルに向かって叫ぶ
レモン!
酸味を含んだ飛沫が
届くといいと思って
レモン!
屋上で
柵に手をかけて
レモン!
箱詰めにしたレモンを
宅急便で送ってお ....
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