あそこらへん ほら
崖にでかい南無阿弥陀仏が彫られてるだろ
何百年も前から難所でなぁ
道が狭いっつうのもあるんだが
化けものが出るとか出ないとか
まあ昔から危ないところなんだわ
五十年前に ....
お風呂上がりで椅子に座る
目の見えないハルさんが
ドライヤーで髪を乾かす僕に、言いました。
「新しい靴もねぇ、
毎日々々撫でてやったら
だんだん馴染んで来るんだよ・・・」 ....
自宅の階段で転び
{ルビ痣=あざ}で膨れた顔になり
10日ぶりにデイサービスに来た
杖をつく、お婆さん
手のひらの神経が痛み
昨日の深夜に目が覚めて
寝不足のままデイサービ ....
かなしみの果て
絶望のふち
そういう言葉は力を持たぬまま
波間を漂う海藻の切れ端
近くなればなるほど恐怖は
足元から冷気のように立ち
悔し紛れに吐いた言葉の中で
今逃れられぬものと対 ....
キコキコ、と
鳴る音で目が覚めた
薄目を開けて見ると
夫が一生懸命に
わたしのねじを巻き戻している
なにをしているの? 、と
聞くと
どき、とした顔で
こちらを見る
大丈 ....
ぼくが
何をしてきたとしても
何を望んできたとしても
今の
ぼくの心を 信じて下さい
ぼくの心を 許して下さい
もし
あなたに信じて貰えないのなら
あなた ....
椿の葉は 硬い
椿の葉は 強い
花は落ちて 屍をさらす
強く かなしいものたち
その
せんじょうを
ゆるやかにたどる
双葉にゆるりと
人さし指をひとつた ....
ママが、ガン検診から帰ってきた
ガンかも、しれないと
腫瘍が、みつかったんだと
足が、宙に浮いた気がした
脳みそが、縮んだ気がした
ぼう、として
え、としか言えなか ....
股の左側が痒い
その言葉だけを残して
君は消えてしまった
黙っていたけれど
僕は右側が痒かったんだ
ひょっとすたら(訛ってみました)
心が通じあえたかもしれないのに
もう君は ....
故意か否か、“努力”という文字が上半分だけ見えるように放ってあったメモ書き
条件反射に背けた視線で過敏に“怒り”をそうぞうした
母ひとり子ひとり、テーブルと椅子のいびつな互換関係に、穿った ....
自分を変えてみようと思った
所謂
イメチェン
前髪を短く切り
後ろ髪すこしパーマをかけた
受験生でしょ!って
どんなに時代が変わろうが
古典的で身だしなみにうるさい母に
大 ....
私の本名には樹木の樹という字が入っている
私の父は長く長く生きてほしいという願いを込めて
私の名前に一本の樹を植えたのである
いや本当のところ詳しい理由を訊いたことはないが、たぶんそうだと思う
....
生きていくために必要なことはふたつだけで
まず 恥をしらないこと
これによって 人生で不成功をおさめたり
能力的に他人より劣っているために
さげすみの視線を受けたり
無礼だが能力で勝る後 ....
たくさんの嘘からできてた
わたしのひとつひとつの細胞を
あなたは愛してくれた
たくさんの真実からできてた
あなたのひとつひとつの細胞を
けっきょくわたしは
最後まで愛すことができなかっ ....
小さな下らぬものが
寄り集まってデカくなったとしても
それがどれ程の力となるのか
下らぬものは所詮下らぬ
力と言ってもついぞ散漫になるばかりである
最初からデカ ....
宛て名のない手紙ばかり書いている
行く当てのない手紙を
誰にも当てられやしない
誰かを選ぶこともできない
誰に対して書けばいいのかわからないそんな手紙を
わたしは読む
宛て先はここだ
....
ハミングバード
鳴き声を知らない
激しく羽ばたいて
空中でとまり
蜜を吸う鳥
小さな鳥
ハミングバード
忙しく飛ぶので
翼が見えない
何を言おうかと思って
何も言えないと知 ....
池にほうりこんだ鏡みたいにキラキラ
お昼休みの太陽
君の髪もキラキラ
手前からとればいいのに
わざと後列から取るパンには
迷う手が示すように少しの罪悪感が見えるね
缶コーヒーのプル ....
大阪に引っ越してきてから
足元を注意深く見るようにはなったが
以前のように、空を見上げることは少なくなったかもしれない
目まぐるしく流れていく時間に憧れて
気付けば270円の足に依存してい ....
彼は男子校に通っていた。中学の頃、彼は異性がそのスカートの辺りにまとわせている過剰な毒に体中を侵されていた。異性がその微笑みの表面で彼のあらゆる衝動を跳ね返すことに精一杯抵抗していた。異性がその声に ....
碧く淀んだ沼の天空に
鈍く光る月明かりを
じっと受けている猿一匹
沼の水面から首を出し
辺りに潜む得体の知れない瘴気を伺い
この沼が池だった頃の
(猿の)古老の話を思い出すも
早くこ ....
書くべきことを
失ってしまった僕の
肉体が
透きとおってみえる
血管を切り落とせば
赤く染まる
というのならば
リンパ腺は
黄色に染まるのか
言うべきことを
しまい ....
パンクした ぼくの可愛い自転車
引きずって 帰り道
墓地の門の前で佇んでいた 女の子
荷台に乗せて ガタンゴトン
タイプライターのキーだけが不満の吐け口
「ぼくは大詩人にな ....
日曜の午後
まだ若かった父と
釣りにいった
一尾の鯉を釣り上げた
家に持ち帰って
僕が釣ったんだよと
母にいった
さっそく料理してくれ
父がいうと
きれいな川なの ....
俺は警備員だ
街で 死んでいる
怪我することなく工事現場を走らされた
けれど あきらめた 人の手に
怒りを燃やした
そしていつしか 消えた
俺は 夢を
破った 絵に幸せはな ....
はたらく お兄さんよ
わかいうち 修行さ
はたらく お兄さんよ
下っ端は 修行さ
上からみりゃ まだまだ
頼りないのさ
下からみりゃ なんでも
知っているのさ
はたらく ....
診察台の上では
まな板の鯉だ
あたしは
力を入れぬよう
ハッ ハッと
息を吐きつづける
早く 終われ
看護婦さんはやさしいが
あたしは
あられもない姿で横たわっている ....
充電中の星たちは
プラズマにあとを任せて
光らない速度で
都市と都市をつなぐ
その間にあるのは
エベレストナイルの船団
誰もたどりつけない海に浮かぶ
生まれてこの方甘やかされて育てられてきたから
苦労という苦労をしたことがない
ややこしいことに巻き込まれることはあっても
いつもかならず着地だけはうまくゆく
だからひとの心だとか貧乏の辛さなど ....
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