「読んだものは読んだ」とは言えないのである。/ななひと
、例えば「ロミオとジュリエット」を翻訳するときに、ジュリエットが「城」にいて、「嗚呼、あなたはどうしてロミオなの?」と有名なセリフを言うとする。これを「城」と訳すと当時の人にとっては非常に「滑稽」なことになってしまい、困るというのである。ちょっとピンと来ないかもしれないが、今の人は映像やなにかで、「ロミオとジュリエット」のシチュエーションを何となく理解している。しかし、そうした予備知識がない当時の人に、「「城」にジュリエットがいる」と書くと、当時の人は、日本の「大阪城」とか「江戸城」のような、日本のいわゆる「城」を想起する。すると、ジュリエットが、着物を着て、大阪城からロミオに語りかけている、よう
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