標識さん/ななひと
ない。私は思った。
「いや、あの標識はね。やっぱり誤解をまねくし、何の意味もないから、一度撤去しようとしたんですよ。しかし、撤去しようとすると、撤去しようとした人が突然謎の痙攣を始めて病院送りになってね。全くしゃべれなくなったんです。別の人もやろうとしましたが結果は同じです。あの標識を動かそうとすると、祟りがまっているんです。土地の人は一時期、「祟りの標識」と呼びました。しかし、触らない限りは何の悪いこともしないから、放置しているんです。今ではここらへんの人はあの標識を「標識さん」と呼んでいます。「標識さん」のおかげでこの町が繁盛しているんだ、という人もいるくらいです」
「標識さん」…「標識さ
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