4.みっつ数えて/朽木 裕
「そういうこと、嘘でも云わないで」
「こういうの、やだ?」
「やだ。絶対にやだ。居なくならないでよ、傍に、いて」
弱弱しく半泣きになる彼を心から愛しいと思う。
この人に守られたり、この人を守ったりして
生きていくのだな、と思う。
時に強く、また時に酷く弱弱しい目の前の人間。生命体。
この人は私と同じ地球に生きていて同じ国に生まれていて
似たような生活圏にいながら会うことなく、それぞれの時代を生きて。
そうして最近、出逢った。
ようやく出逢うことが、出来た。
死なずに二人が逢えただけで充分過ぎるくらい、奇跡。
ひとつ ふたつ みっつ
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