ノート(冬鳴 ?)/木立 悟
 


落ちては昇り
また落ちてゆく
雪は少しだけ
雪でいられる


傾きが降り
ひとときが降る
音は音のまま
姿を散らす


ひとり離れ
ひとり着き
ふたりにならぬ足跡の
冷えた明るさを土は見つめる


遊び 遊び
うたに触れ
溶けたものらは消えることなく
溶けたかたちにかがやいてゆく


海風と怖れを振りほどき
震える針と刃を抱き寄せ
雪は雪から醒めつづけ
消えかけた灯を抱き寄せる


覆う手ひとつ 冬ひとつ
己れひとつにとどろかせ
見えない涙 見えない血
見えない軌跡を鳴らしつづける











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