ノート(冬礫)/
木立 悟
割れた雨と陽
鳥を揺らす
踏切はつづく
水紋へつづく
奥まる家に
人は帰る
枯れ井戸の石
円く凍る
こぼれ散る音
消えることなく
枝の陰の火
夜を醒ます
土の下を
鳥は見つめる
緑つなぐ手
羽に濡れる
双つの景が
逆さにまわる
擦れあう光
遅い光
どこからか来る
ひと葉 ひと葉
うた運ぶ水
指のはざま
憩い 戸惑う
滴のなかを
ひとつのこだま
鉄と馳せる
色と足跡
空に消え去り
まだらな心音
道に置かれる
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