ノート(冬からの手紙)/木立 悟
 



特別な時が終わり
あなたは宴を胸にしまった
遠のくのではなくはじめから遠く
その遠さの上を行き来していた
うたや笑顔や踊りが過ぎ
原や道や水たまりが
火と響きを片目にしまった


かつて抱えきれずに手放した
さまざまなかたちが痛みとなり
残そうとして残されたものたちへ降り
やわらかく重い色にまたたき
内をゆるやかに変えはじめる


春のようなあなたが春を語るたび
冬のようなわたしの苦しさは増し
どこにも居ることのできない季節が
またひとつ加えられたことを知る
眠れば死に 起きれば生き返る
生き返らなければそのままの日々に何かを失い
あなたを咲
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