ノート(熱芽)/木立 悟
 


まとわりついてくる光の粒を
まとわりつくまま歩き出せば
光はしびれをきらしたように
ぽつりぽつりとうたいはじめる


ああもうこんなに沈んでいたのか
足を持ち上げ
足のかたちが
無数の渦に満ちるのを見る


はばたきの重なりに身をくゆらせ
こすれあう音のなか気を失う
どこにもいない
どこにもいない


はたはたと午後にめざめると
ひとつのうたに絆されて
ひとつの熱が
咲こうとしていた


小さな祝いのあつまりが
いつのまにか樹を囲み
隠れている陽の名を呼んで
土を少しだけあたためる


まわるように咲いてゆく
からのものがいっぱいになる
みんな みんな
いっぱいになる











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