ノート(腹話耳)/木立 悟
 


星の雲と砂
夜の水かさ
わたしが生まれた理由より
さらに遠くへ
離れゆくもの


サーカス 移動動物園
肉から物から聞こえはじめる
わたしではないわたしのかたち
ぬかるみのなか
つづく足跡


はたかれるように記憶は覚める
現われてはすぐ消えてゆく
地平を染めるとどろきから
どこにも人のいないほうから
打ち寄せつづける羽のたより


ふたつはふたつ
受け取りつづけ
やがてまちがいに気が付くと
雨上がりを待ちテントをたたみ
ある日どこかへ去ってしまう


人工の風が空に重なり
はざまとはざまのつらなりに
異なるはざまを浮かべはじめる
わたしに見えるいちばん小さな
わたしの音を映しながら









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