ノート(指輪)/木立 悟
 


両手の指のひとつひとつに
小さくやわらかな輪が回り
手を振ると鳴り
息を吹くと鳴る


午後の雲を聴いていると
輪も静かに聴いている
降る言葉に触れ
少し揺れる


握ることができず
ひらいている
風がすぎ
輪は唱う


ねむりのうた
めざめのうた
目をこすると
輪は消えていた


うたのあとが
あたたかくにじむ
見えるものはいつも
うれしく悲しい














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