ノート(指輪)/
木立 悟
両手の指のひとつひとつに
小さくやわらかな輪が回り
手を振ると鳴り
息を吹くと鳴る
午後の雲を聴いていると
輪も静かに聴いている
降る言葉に触れ
少し揺れる
握ることができず
ひらいている
風がすぎ
輪は唱う
ねむりのうた
めざめのうた
目をこすると
輪は消えていた
うたのあとが
あたたかくにじむ
見えるものはいつも
うれしく悲しい
前
次
グループ"ノート"
編
削
Point
(11)