ノート(灰緑)/
木立 悟
鳥の声
若葉の陰
見えている
見えている
まるい晴れ間
地をすぎる羽
曇のかたち
飛び去る声
灰に引かれた
緑の線
唱がひとつ
はじまるしるし
原に踊る
小さな渦
互いに離れ
曇の息を吸う
ひとつを取り
ひとつを置く
さかいめは埋まる
街へあふれる
置き去りにされた鏡の底に
星は遠く生まれ出て
空と道を呑みこみながら
原の午後にかがやいている
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